コミックビーム2019年6月号

※先々月号です。


  • この表紙をめくった表2広告が貞子ってのもどうなんだ。

 

  • そして、裏表紙は2号連続ギャルゲー広告である。珍しい、というか初?



●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『クトルゥフの呼び声』/新連載。ラヴクラフトシリーズ。本作は話の聞き手という形の導入。以前インタビューで、作者はもっぱら絵を描いてネームの振り分けは編集者任せという発言もあったが、長らく担当だった岩井氏が外れた影響が出るのかどうか。

●伊図透『全速力の。』/物語は過去へ。このざわっとくる“恋愛”描写な。ウルナから通底する女性の内面もまた。

●谷口菜津子『彼女と彼氏の明るい未来』/そもそも対比となる主人公とのセックス描写はさっぱりだし、という発想はエロ漫画に毒されてますか?

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/こいつらは学校別なんだよなあ、といった所で巻末コメントにて残り数回との告知が。『恋と問』といい、続編を上手く伸ばせない感がなあ。

中野シズカ『てだれもんら』/お仕事風景というかバトル描写というか。世界観と美意識の説明だな。

●小山健『生理ちゃん』/アイドル編。普通に勉強になる。進研ゼミDMばりの対比は笑うが、結果は別。

鳩山郁子(原作:堀辰雄)『羽ばたき』/日の光の下では偽りの姿。しばらく休載とのこと。

●原百合子『繭、纏う』/ラストページのこの顔よ。それを向けられる当人は一貫して描かれないのが効いている。

近藤ようこ(原作:澁澤龍彦)『高丘親王航海記』/ジュゴンかわいい。引き寄せるものという表象もあるのだろうが、音楽の表現がおもしろい。

桜玉吉『水芸』/銭湯の一コマ。通ってないと出てこないディティールではある。そうか、還暦も近いか…。

●朋さくら『すてきなアリス・ウォンおばさん』/読み切り54ページ。絵柄、間の取り方、吹き出しによる視線誘導とコマの接続あたり、海外コミック風と評していいのかな。物語の進行、状況描写としては構図とそのカットバックで読ませていく形だが。海外を舞台においての民話と異界、青春の懊悩。エスプリがかったセリフと展開も、この世界観なら地に足の着いたそれと言えよう。独特な読みごたえで面白かった。

羽生生純『この物語でネコに危害はいっさい加えておりません。』/ワンちゃんとネコちゃんの友情。人は死ぬ。

いましろたかし『未来人サイジョー』/あっさりこけるかー。そして、まさかのエロ劇画(大人漫画)編突入?最後のコマで、私が以前感想に書いたのと同じ内容を自己ツッコミしてあって、そりゃ作者が気づいてないはずないよね。野暮な読者ですいません…。

三宅乱丈イムリ』/そうか、イコルは対立を俯瞰してるのが現状なんだな。チムリが能力を使う(=チムリと話してる相手の顔描いたコマに線)傍ら、ミューバは重要アイテムを入手(=1コマだけチラ見せ)、という描写の省略が粋。

やまじえびね『かわいそうなミーナ』/集中連載最終回。王道。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/最終回。そういう締めか、“絵”としては。主観的な、ある種ゆがみの入った描線と、表現を生業とする人物というテーマがよく合っていた。面白かった。お疲れ様でした。

松田洋子『父のなくしもの』/最終回。『おかめ日和』クライマックスのあれを思い出す。圧巻のホームドラマであったなあ。お疲れ様でした。


  • 市橋俊介のコラムが衝撃の内容なんだが…。(もう続きは出てるんだが、まあ。)