●田辺剛(原作・H.P.ラヴクラフト)『時を超える影』/新連載。表紙と巻頭カラーからクリーチャーが映える映える。『狂気の山脈にて』からダイアー教授再登場の場面は、連載マンガらしい魅力だな。冒険譚後に一冊の本という絵で完結した前作に対し、本作では山積みの本の光景から異界が始まる点もまた。
●伊図透『銃座のウルナ』/再び銃を手に、戦争として向き合う事になるのか。チュリッカは無事でいてくれ…。自覚とそれをもって他者と向き合う描写が、どのキャラも美しいね。
●市川ラク『わたし今、トルコです。』/コミコン初開催@トルコ。人脈を駆使しての手作り感が、いかにも在野の“好き”の熱という感じ。ゲストの名前と「コミコン」で検索すると情報も出てくるな。
●三家本礼『アイアン・ゴーストの少女』/生き残り&生き残らせをかけて、そこで手を組むか。敵陣突入。
●上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/海外コミックパロディでレギュラーキャラネタ3本。いかにもなヒーローコミック文法からのリトル・ニモは不意討ちだわ。
●原百合子『繭、纏う』/もういないあの人、をめぐる物語になるのかね。不可侵だからこその偶像性というか。いわゆる百合ものを読み慣れていないので、少女漫画メソッドで見せられると新鮮だなあ、と読んでますけども。
●三宅乱丈『イムリ』/暴威。前回に続き、無音かつ苛烈な光景描写の凄まじさ。人を兵器にした敵に抗うその姿もまた、という像が恐ろしくも哀しく。“木”はまさかの伏線だが、アイテムとしての能力のみならず、そこに存在した情の変質という表現にもなっている点で、物語として圧巻。
●新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/戦争の戯画化、にしてもまたグロテスクな図思いつくなあ。2巻以後の単行本表紙どうなるんだか。
●conix『青高チア部はかわいくない!』/チア部への野球部保護者の対応は好感度次第、なお好かれるキャラはこういう奴、とネタのシビアさがもう。展開自体は王道スポ根なのだな、しかし。あと、言ってもらう「かわいい」のつらさはアイマスシアターデイズで学んだ。(おい)
●藤咲ユウ『ちんちんケモケモ』/出張再掲載。これは投資のつもりで単行本買ってみたのだが、おもしろかった。
自分もほとんど支援気分で買ってみた『ちんちんケモケモ』であるが、描きたい見せたいだろう場面を適度的確に読ませてくる構成力の部分でわりと感心させられた。ネタ自体は他にも似たような作品ありそうだけども、基本の漫画力の部分で読んでて気持ちいいんだわ。
— 原原カカリヤ (@genbarakakariya) 2018年3月29日
ベタなファンタジー要素入りラブコメながら話をスムーズかつテンポよく回しキメとなる場面の見せ方も上手い構成力のあるマンガ、のほめ言葉としてとっさに浮かんだのが「ハルタの作家なら倍のページ数使ってる」だったんでよくない
— 原原カカリヤ (@genbarakakariya) 2018年4月1日
ページ右下のコマの使い方・読ませ方が上手いマンガ家(伝わらない賛辞)
— 原原カカリヤ (@genbarakakariya) 2018年4月1日
→読者の視線の動き意識した上で画面構成できているいい作品ですよ、あとちょいエロハプニングラブコメかわいいだし。
●金村連(原作・麻宮騎亜)『少年怪盗ル・ブレッド』/出張再掲載。プロローグ。
●オカヤイヅミ『ものするひと』/青高チア部の方の話と微妙に重なりつつ、決定的にずれてもいるな。見開きの構図のゆがませ方すごいな。
●森泉岳土『セリー』/この欠落はぞわっとくる。前作のホラーの闇よりも乾いた印象で、その為のSFという道具立てか。
●やまじえびね(原作テオドール・シュトルム)『みずうみ』/最終回。見開きのイメージはじめ、この断絶をこそ描く為の企画だったのかと。描写としてははまっている。
●中野シズカ『In the Garden』/目前にあるのに奥まではのぞけない、というロマン。これは私もだけども、田舎育ちの身こそ体感的に知っている光景では。
●山川直人『小さな喫茶店』/最終回。お疲れ様でした。いや、今回感想の書きようがないでしょ。山川直人の描く“普通”、というエンドマーク。
- 市橋俊介コラムはいい話なんじゃないかな、笑ったけど。
- 奥村編集総長コラムは文化庁メディア芸術祭受賞の話題。チャンピオンは2作品だけど、こっちは3作品だ!(張り合うな)
第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門におきまして、コミックビームより3作品が受賞致しました!
— コミックビーム編集部 (@COMIC_BEAM) 2018年3月16日
【優秀賞】
『夜の眼は千でございます』上野顕太郎
『銃座のウルナ』伊図透
【新人賞】
『甘木唯子のツノと愛』久野遥子
上野さん、伊図さん、久野さん、本当におめでとうございます! pic.twitter.com/rNgHsgvG9Z