月刊コミックビーム2018年12月号

  • 『生理ちゃん』のポップ(?)な表紙めくると、とじ込み付録の生理ちゃんステッカーと、表2のホラー映画『来る』広告並んでる絵面がなんというかだな。


    

  • 付録により今号は80円値上げ。本当、ビームといえど昔は余裕あったんだな…。



●小山健『生理ちゃん』/新連載。生理のキャラクター化。のっけから苦い、無理解であることのつらさ。意外と、と言っては失礼だが、この手の叙情を上手く見せてくる作家性なんだよな。

いましろたかし『未来人サイジョー』/かつてのモラトリアムも今や搾取される側というかね。主題となるタイムスリップのきっかけが嫌すぎる。

●作:狩撫麻礼、画:いましろたかし『平成地獄ブラザーズ ハード・コア』/第1話特別再録。落下の夢からの幕開け。雰囲気から連想したのだが、掲載時期的にも『宮本から君へ』と重なるんだよな。

松田洋子『父のなくしもの』/新連載。その人の死を描いた読み切りから、こういう物語に続くのか。松田節がエッセイにおいてもより重く切なく。

三宅乱丈イムリ』/細緻な内面描写の回が続いたが、今回は設定にまつわる内容。ラルドの意志はこのような形で継がれるか。イムリ達のこの光景も、出てきたの1巻以来になるのでは。壮大な円環の落着に感嘆。

●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『時を超える影』/出現。次回最終回。

●伊図透『銃座のウルナ』/修羅の姿ながら、描写に矛盾が見られるあたり幻想なのかな。背景からするに前回の終盤から。

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/特攻開始、にしてもどういう絵面だ。『土竜の唄』の獅子舞バイクにも近いものを感じる。

桜玉吉『財布がぼろい』/確かに物との縁を感じる瞬間というのはあるよね。

丸尾末広トミノの地獄』/大見得切って決着ッッ、という感じだが。次回最終回。

●原百合子『繭、纏う』/断絶を示す笑顔がつらい。前回で“誰か”のものだからこそ願いの象徴とされた制服が、ここでは明確な相手がいるからこそ束縛としてあると。今、繭を纏っているのは彼女の方であり。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/ただただ地獄の日々。悪意や悪ふざけとしての描写の内は、まだ作為、メタとして読めてたわけだよな。

●谷口菜津子『彼氏と彼女の明るい未来』/この追い詰められ方はアカンわ…。

羽生生純(原案:片桐健滋・梅本竜矢)『ルームロンダリング』/最終回。おっと、シリアスな危機感出しておいてそっちに落としたか。ハッピーエンドである。縦長コマ連続による、スピード感と異なる構図の接続が秀逸。作者の旧作を知っているからこそ翻弄された感はあるが、楽しめた。お疲れ様でした。

上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/小学館学年誌の70年代投稿コーナーのパロディ。これが意外なくらいに「わかるか!」とはならないというか、自分が読んでた80年代の学年誌にも残ってたんだよな、このノリ。プレゼント品集め行脚とか(笑)。ただ作者の回想とは逆に、私の場合は5年の時に学年誌から学研の「科学」へ移行しており。/中身は前半が夜千的にもなつかしいノリのルポネタ。後半は漫画家や編集によるネタを受けての投稿コーナー体裁。さらに読者からも同様のネタを募集。このアドリブというか生の筆致の面白みは、やはり愛だね。/あと、この企画に関してか、巻末コメントで西尾雄太がビームにおける懐かしの読者コーナーネタを。はわわモリオカは現在ハルタ誌で福島聡を担当中です。