- 新刊はまるまる一冊使っての過去編。すでに歴史の範疇な舞台と道具立てにより語られる、主人公とヒロインのルーツとなるキャラクター、その人物像と生き様。
- 作者コメントに「人物がどこかに実在して、彼にこの物語を「描かせてもらった」ような感覚」「描きながら自分でも何度も泣いてしまった」とあるが、それはわかる。
- 話自体が悲劇的で泣けたとか意外性に満ちていたとか、そういうことではない。この作品は格闘マンガではあるけれども、同時にとても温かくやさしいまなざしに満ちた物語である。(語られる格闘術も、弱き者が強者に並ぶためのもの、というスタンスだ。)その世界観の背景にある人物像の“偉大さ”が、強さや技術ではなく、情や優しさという形で語られた一貫性。そこがおもしろかったし、ここまでこの作品を愛してきた読者としては「ちゃんと」やってくれた!だったのだ。
- さすがコロコロ出身、子どものために、を何年も描かれてきた人は立派だな、と思わされました。