週刊少年チャンピオン2018年16~19号

※16号(3月15日発売)

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/新連載。表紙刷った時点では新タイトル未定だったのかな、と思ったが巻頭カラーにも載ってるか。/6年生女子という異形。まあほら、ガキの世界のギャグ領分に性的存在としてのオンナは必要ないものだから。ただなあ、13号に載った桜井のりおとの対談での大人の世界の手前って話や、前号の大人の男女が子供レベルの遊びしてる読み切り見ると、その辺りの自覚からあらためてこういう振り切り方みたいな、意地めいたものにも読めるのよね。あえてカラーで小汚なく描いてくるキャラの未来像(ウソだけど)とかさ。あ、あと本田。

増田英二『週刊少年ハチ』/まあねえ、稼業として漫画家の道を選ぶ、ペンの力を信じる、というからにはそれなりの自意識や業は必須だろうけれども。

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』/そういうウェットな面もやるんだ、オチの前フリとはいえ。見せ方も普通に上手くなってるしな。じゃあ『ロロッロ!』の方が徳弘正也における『ターヘルアナ富子』なのか。(わかりにくい)

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/巨大花粉。世の中には花粉を女体化したエロマンガだってあるんだ。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/センターカラー、巨大生物とバトル。ダイナミック構図といい、さくっと決着つく展開といい、読んでて気持ちいい。

板垣巴留BEASTARS』/真・異種格闘大戦、もとい捕獲術。ディティール解説つきのバトル描写は燃えるね。そして再会。冒頭で匂いに対するモノローグ出しておいて、この状態・境遇にあるからこそ気づけなかった、という。

桜井のりお『ロロッロ!』/音声はテキスト化して送信、テキストは音声化して受信、と機能としては存在するものではある。ここでは人型ロボットだから、というネタの構成になるのがすさまじいけど。食卓に同席してもちとせのご飯しかないのは割と寂寥感、からの友達発言でほっこり、からの安定のひどさ。

西修『魔入りました!入間くん』/「注目」と書いて「カリスマ」とルビをふる語彙レベルの作品で、理想と野望は違う、とか意味不明な説教読まされるのも普通にイラッとくるな。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/殿馬の連続秘打、しかし捕られるかー。ちょっと前の岩鬼の空振りといい今回といい、ミスの方がいきいき描写されているように見える。拮抗してるから描いてて楽しいのかねえ。オノマトペ勝負の感も。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/おお、ここでこの相手とぶつかるのか。熱と意志を継ぐからこそ止まれない、というのはなあ。『真田丸』にも似たような面あったけども。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/建築系吸血鬼再び。何パターンくらいバリエーション作れるかな、とそういう目線よくない。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/虫の影武者…。作風違ったら死体とか利用してそうな単語ではある。女子供というくくりにちょっと笑った、対してダンディズムではあるのか。




※17号(3月22日発売)

板垣巴留BEASTARS』/2号連続表紙1回目、巻頭カラー。「文化庁メディア芸術祭賞マンガ部門新人賞受賞!!」人気投票2位がハルか、ちょっと意外。/尻尾!歓喜!狐と油揚げという小ネタもであるが、民話っぽいがゆえに効果的な表象でもある。

渡辺航弱虫ペダル』/「にくまっしぐら!!」というセリフが同じ地平に立つことを意味するのか、そうなのか。

増田英二『週刊少年ハチ』/そういや美大でヌードデッサンの授業あるのは18歳以上だからか。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/おなじみ花粉症ネタ回、しかも今回はあわせて刃牙ネタ回。緩急というか、勢いの瞬間として読ませる構成は技術だねえ。しかし大笑いする勢いでソファ引き裂く勇次郎なら、クシャミでこれくらいの被害も出すのではって気も…あ、例の全身血管でこらえる?

平川哲弘『ヒマワリ』/甘いもの好き。プリンの因縁はそこか、アニマスオマージュじゃなかったのか。(でしょうね)

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』/なんかほのぼのラブコメっぽくまとめた!あんな汚い出発点から!

板垣恵介刃牙道』/そういう理屈もいいけど、烈先生の立場は…。

桜井のりお『ロロッロ!』/真面目な話、猫カフェで問題視されてるのは老猫の扱いの方だよな。パンクなオチだ。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/達観してしまったか。強者の特権というより、バトルマンガ文法を生き方にまで位置づけた、物語としての宿命であり業だわな。刃牙における“強さの最小単位”という理屈は、その意味では余地でもあるわけで。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/山田捕られる。あと、「うおおおお」と筆擬音のぶつかり合いに挟まるベンチ反応のコマがちょっとおもしろい。

→ああ~(ゴシック)、づら(ペン字)、やば~~(フォント)の三様。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/三つ巴頭突きはいいね。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/忘れられていた脇役パターン。ケラと地下でバトル、と生態と合わせているのか、一応。

●伊科田海『GREAT OLD~ドラゴンの創り方~』/最終回。なんかとっ散らかっちゃったなあ。

小沢としお『Gメン』/卒業式。童貞喪失つながりで回想ターン入るのは、連載開始当初の主人公の目的がそれだったからか。話畳む前に各キャラそれこなしたのは律儀っつうかなんつうか。





※18号(3月29日発売)

渡辺航弱虫ペダル』/新開と小鞠の方は勝負の大勢に影響なさそうだが、肉に触らせない、この場に引き留めることが目的としては正しいか。

板垣巴留BEASTARS』/挺身であり意志を継がせようとするルイに対し、捨てない・あがく者である所のレゴシと。いい主人公だよなあ、やっぱり。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/何この熟年イチャイチャ夫婦。エイプリルフールネタだけど数日後オチ(内容はいつもの)。

増田英二『週刊少年ハチ』/リツイートでなくいいねという点に意図があるのかどうか。確かにこの作者の作品は、おおっぴらに語るより個人でひっそり楽しみたい芸風だが。(※個人の印象です。)

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』/萌え4コマフォーマット、タイトルデザインを別に用意する点が細かい。没案かな。チャンピオンでこれやってるのベルリンは鐘なんだけど。女子が男子に向ける視線の嫌悪or無感情ぶりがいい。(いいの?)以降はチャンピオンクロスで連載。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/この設定は後付けかとは思うが、上手いこと因縁とドラマを織り込んできたな。キャラの成長というやつか。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/シーニャさんは昔も今も救う役。(いい&ひどい)

桜井のりお『ロロッロ!』/何重のすれ違い関係だこれ。

●水森崇史『マウンドの太陽』/そもそもの話の筋が止め絵並べてるだけで構成の体なしてない所に、解説を図と文章でだらだら挟むって、これはなあ。初連載の作者よりも、編集側の指導力のなさが問題では。

小沢としお『Gメン』/最終回。『クローバー』に続いて(?)結婚式エンド。アフリカ行きはなんだ、80年代アウトローの系譜か何かか。ストーリーライン準備してた前2作が打ち切りでこれが続いた点に思う部分がないわけじゃないが、楽しい作品であった。お疲れ様でした。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/1匹ずつなら強いのか、という敵のセリフ、逆に考えれば当初から乱戦描写の巧さをメインにしてる作品ってことだよね。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/寄生能力。グロ描写メインの作品じゃなくてよかった。(うっかり描けちゃうでしょ、この人の画力なら。)意志の力でやることが土下座というのも美学ではある。

石黒正数木曜日のフルット』/生物兵器ってやつか。


  • 読者プレゼントに「シルバー2425」があって、そういえば沼田純先生が巻末コメントで、シルバー事件25区はいつDS移植されるんだ、とぼやかれてたことあったなあって。

  • 『開田さんの怪談』の予告文、甘酸っぱいじゃなくて「甘く酸っぱい」なのがなんつうか。あと一方的受けで「せめぎあい」じゃねえだろ、高木さんじゃあるまいし。(しっ)




※19号(4月5日発売)

板垣恵介刃牙道』/最終回。全編が次シリーズの予告ナレーションで締めって。何年か前、相撲中継の観客に板垣先生映り込んでたって話あったよね?武器なし、ノールール、概念、と諸々の“強さ”を描いてきて、改めてそれを問うとしたら、超限定状況下でのそれにディテールやフォークロアとしての“リアル”も復権させつつ…みたいなことかねえ。ひとまずお疲れ様でした。

板垣巴留BEASTARS』/きっついなあ…。結局肉食側に抑制強いることで成り立つこの世界の歪さ、という話でもあるわけで。レゴシが(目隠しされて)リズに襲われた際テムのこと回想してたけれども、二匹共に等しく見せていたその態度が異なる結末を、という対比であり悲劇で。1話冒頭と比べると、リズの回想は途中から幻覚で、それすらリズは自覚してしまったからこそのこういうモノローグ、という読み方でいいのかな。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/えー、あっさり。新規読者用の世界観解説役なだけのキャラだから、もはや用済みってことかいな。

渡辺航弱虫ペダル』/いや、その程度の鉄道知識は普通にあるのでは…。これ系の条件付き勝負は言い出した方が負けフラグの予感しかしないぞ、さすがにもう。

安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』/入間くんとかこれとか見ると、豹変するとかわいいヒロインてなベタ展開も画力なきゃやらない方が正解だよねって。

木々津克久『開田さんの怪談』/連載化。なんつうかお題もらっての創作落語、からの落語マンガ、みたいな二重構造じみた設定ではある。小道具を各種準備してるかと思うと入念だ、たいしたS気質だ。『フランケン・ふらん』の新作とか話してくれませんかねえ、本物のSFマンガを見せてやりますよ、とか言って。(言わない)

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/VTuberネタ、というかVTuberってこんなんなのか?ゲームキャラ風2次元ヒロイン(胸部)という人選で、そもマンガ表現でやるなよ、というメタネタながら。作者ツイートによると、最後のネタはオチが文字抜けであるそう。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/才能を越える努力=それだけ強烈なエゴイズム、か。『め組の大吾』言うところの、一度も疑うことのなかった者が夢を叶える、にも近い思想。

桜井のりお『ロロッロ!』/なんか不条理じみてるけどネタ元あるのかこれ。機器に桜が入ってきざくら、とか(適当)。

増田英二『週刊少年ハチ』/そもそも合作というのがハードル高いよなあ。まんが甲子園的な作品…もまた違うような。メンバーの質自体は、うん、まあ。

●中村勇志『六道の悪女たち』/そりゃそうなるよねえ…。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/里中相手にフォアボールで出塁。やっぱり明訓陣の苦戦をば楽しんで描いている印象。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/ボートの天井を橋桁にぶつけて外す、というアクション的見せ場が、同じ誌面の浦安鉄筋家族での、バスの天井をトンネルに突っ込んではがす、というギャグと微妙にかぶってしまうという。それもギャグマンガ的にはおいしい、多分。刑事(デカ)が駝鳥(ダチョウ)でやって来る。

西修『魔入りました!入間くん』/応えるのは読者の期待じゃない、信者の欲望だ、なんてな。

荒達哉『ハリガネサービス』/最後のアオリ、「万事休す」は間違いだよね?

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/決めポーズじゃなくて自動追尾だったんかい。新キャラはまたインパクトある登場で。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/根っからの悪人出てこないのは世界観もあるけど、やっぱり実在した武将の扱いとしてしのびないのかねえ。

石黒正数木曜日のフルット』/こういうネタの原形もまだ通じるもんかな。タイトルカットは山伏装束なのか。