2013年ももう4分の1が過ぎてしまいましたね、いやはや。
さてタイトルにも挙げておりますが、先月一番読んでいてやられたルーキータイトル第1巻、作者の初単行本がこちら。
- 作者: KAITO
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2013/03/04
- メディア: コミック
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読んでみて、しみました。ウルッときました。やられましたよ。これはおもしろい。
で、そのおもしろさが語られる際、同時に「ジャンプ作品らしくない」点がよく指摘されるのが本作です。今回は、私的位置づけ脈絡づけの意味でも、『クロス・マネジ』を読んでいてどんな作品を自前のマンガ体験の中からダブらせたか、をあげてみるという試み。
- 佐原ミズ『鉄楽レトラ』
まずはやはり、私的にはこれ。挫折した若者たちの「夢のつづき」の物語。『クロス・マネジ』と同じく、ボーイ・ミーツ・ガールの構造でもあります。この作品では、一度きりの出会いと会話でまだ遠い存在(=希望)というのがキーになってますが。
一方で『鉄楽レトラ』では、現在周りの友人たち(彼らもまた挫折をあじわった者)の物語が展開していて、これも個人的に印象が重なります。私が『クロス・マネジ』1巻で最もグッと来た話って、「決意」なんですよ。夢に挫折した主人公といつも一緒につるんでた、ただ側にいた二人の友人が支えでありえた、という話で、まず彼らにこそ、新たに歩き出せるようになれた意志を、主人公が告げるのです。この構成がものすごく好き、というか泣けた。友人・男友達というキャラクターをこういう形で立ててくれたことにグッときました。
同時に、この手法はジャンプ作品らしくはないよな、ともありありと感じましたが。そういう形の絆を見せる、というのはアッパー系では難しい。
その辺、あえて針ふり切った青春路線作品、となるとチャンピオンの『さくらDISCORD』になるか。
- 村上かつら作品
というわけで、『クロス・マネジ』は“優しい”作品です。抱えた傷とそれに向き合うことを、その姿を情感もって描けているマンガです。
となると、私的にはこれ。村上かつら作品の世界観。やさしく切ない。温かみがゆえの、泣ける作品です。
感情の盛り上がり的には谷川史子作品とも近いもの感じる、というのは男性目線だからだろうな。
でまあ、これ以前のジャンプ作品で似たテイストといえば、やはりこれでしょう、『サムライうさぎ』。ヨメさんの為に立派な生き方目指す、人徳と熱意こそが人動かす時代劇フォーマット少年マンガ、もとい“おはなし”。
笑顔ヒロインとか一部キャラのファンタジック造形とかが重なる、というのもまた、それら偶像としてのディテールをも包括しえるレベルでのおはなし語りだからこそ。作者の自画像がかわいいバクなの見てビビッときましたね。福島鉄平の鳥自画像と同じだ、作者のその距離感と視線こそが語りうる物語なのだ、と。
『クロス・マネジ』はフォーマットとしてスポーツもの取ったからには、そこでもエンターテイメント見せなくてはならないわけですが、さてどう出るか。すいません、単行本から入った読者でして。最近の連載の方見ると(主役がマネージャーであるからには)『GIANT KILLING』路線になるのかな、とも。
未だ『クロス・マネジ』における試合描写は見れてませんが、それでもいい作品です、これは。むしろ試合以外の描写がメインなのかもしれない。
いわばBSマンガ夜話『リアル』(井上雄彦)回の公開収録で、夏目房之介氏が「構造は『深夜食堂』だからね」と発言したようなもんです。
あ、あれは本放送時はカットされてたんだっけ。
とまれ『クロス・マネジ』、今後の展開も楽しみであります。
だから、もう少し、前の方に載って!(切実)(ジャンプだし)
おもしろいよ!