昨日の教育テレビ

●朝、たまたま教育テレビをつけたら、上下白い服に身を包んだ男が、暗いスタジオの中逆光をあび、大きく手足を動かしながら何か語っていました。
なんだか聞き覚えのあるフレーズだなぁ、と思ってたら、『おしいれのぼうけん』おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ)を暗唱されていたのでした。いいのかそれで。
「ねずみばあさんです。」(両手を頭上にかざしながら)
●残す所5話にして、人形劇『新・三銃士』のおもしろさが最高潮。いやー、すばらしい。現在の内容ざっくり言ってしまえば“反戦”につきるのですが、その描き方が実によいのです。
三銃士の内、一人は実際に負傷して動きと言葉を失ってしまう。一人は仲間を救う為とはいえ、狂乱した老人を殺めてしまい、悲しみにくれる。一人は、すでに剣を用いた一対一の戦いの時代ではないこと、銃士という自らの役割が使命を終えつつあることを悟る*1。戦況とその結果は、冒頭数分のナレーションと描写でさっさと終わらせ、2週間かけてそれをば描くわけですね。
主人公の前にも、その点をこそ、より重厚に描くべく、ここに来て印象的なゲストキャラが連続で登場。しかも彼らの役割は“名もなき市民”なのです。息子を兵士にとられ、“殺されて”しまった老人。主人公に銃を向け、殺した相手と死にかけている自らの墓を掘るよう命令する男。彼らの台詞、心境の吐露は、非常に重いです。同時にそれは、戦争という状況の中では、そのような悲劇がいくらでも起こり得るのだ、という語りでもあり、より胸に迫ってきます。
ちなみに私、後者の人形の顔見て「太田じゃん」と思ったら、やっぱり太田光の声でした*2。正味そこまで上手い演技ではなかったけれど、名もなき一市民であり、いくらでもあり得る存在なのだ、という役割の効果は、非常によく出てたと思います。悲しいです、あれは本当。(そういえば「俺の墓を掘ってくれ」て、淀川長治爆笑問題に「あれを見てないなんて、二人とも死刑だ(笑)」といった映画、「桜桃の味」とも重なりますな。)
この番組、井上ひさしが最後まで見てたら、何と言ったかなー。ほめてくれたと思うんだけどなぁ。

*1:これは脚本家・三谷幸喜が、かつて大河ドラマ新選組!」終盤で「“武士”の時代の終わり」として描いた時代状況と、そっくり重なりますね。

*2:番組開始前の特番で、(相方・田中裕二がナレーションを担当するのを受けて)人形劇シリーズは俺の方がずっと好きなのに!と愚痴ってましたもんなぁ。よかったよかった。