週刊少年チャンピオン2019年9号

  • 表2広告が作業着姿の新庄で店名は「自重堂」というね。で、左に乃木坂46のポスターはさんでグラビアというね。



●古田朋大『謀略のパンツァー』/新連載。ほぼ読み切りの焼き直しと言っていい第1話だが、目標の相手が一人から集団になったぶん、一途な馬鹿としての熱量は薄れてしまったなあ。あるいはこのヒロインをメインにいくのか。

夢枕獏(原案:板垣恵介、挿絵:藤田勇利亜)『ゆうえんち-バキ外伝-』/この概説も、板垣絵だと何ページ費やすのだろうなどと。

渡辺航弱虫ペダル』/えーっと、それは問題解決してるの?持てる者、強者でいること前提の答えではある。そりゃ見合ってれば覚悟だけどさ。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/仁ママはこうでないとな、絵力。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/強者の激しい攻防。アングル変えつつスムーズに動きを読ませるのが技術である。再会を無為にしないよう全力でぶつかる、という想いは同じ。熱い共鳴だ。

板垣巴留BEASTARS』/正義とは麻薬だからな。エゴと自覚しつつ迷いつつそれでも義をなす、といち生身としてあり続けることが誠実さなのであって。

山上たつひこがきデカ』/リバイバル掲載。身体性の世界だわな、まさに。10年前の、チャンピオン40周年企画時の新作が『中春こまわり君』がらみのメタネタだったのも考えてみりゃすごいよね。インタビューでは『光る風』と『喜劇新思想大系』の間にチャンピオンでギャグ発表してた、というのは知らなかった。

●安部真宏『あつまれ!ふしぎ研究部』/外開きだったドアが次のページで内開きになるの、2年も描いてるのに違和感ないんだろうか。

●灰刃ねむみ『足芸少女こむらさん』/水着回、てもう足ほぼ関係ないじゃん。

●中村勇志『六道の悪女たち』/同じ流派としてのプライドの戦い、と『もういっぽん!』ともちょっと通ずるな。

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/現状、病気ネタもやりづらい空気だが…。

西修『魔入りました!入間くん』/ブギーポップではこういう存在をこそ「世界の敵」と称します。

●灰谷音屋『ジュニオール』/大舞台か、そしてメガネさんはすでにそこまで入り込んでるのか。観客席とフィールドでにらみ合う選手達と、来もしない監督と背を向けたままの監督という対比。心境を反映して小さく見えるボール。一人だけにらまれまくるジュニオール。これら、一つ一つ演出としての見せ方考えながら描かれる絵がいいんだよ。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/紙の印刷だとなにがなんだか。

桜井のりお『ロロッロ!』/林田先生、実は馬鹿なのでは?

平川哲弘『ヒマワリ』/すげえあっさり終わったな合宿編、と思ったらそっちの展開のための差し向けだったか。

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/この殺し屋、実は無能なのでは?そしてお前かよ。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/汚い猫神じゃらし。2週休載とは、大丈夫なのだろうか。

吉田達弥『また姫がさらわれた!』/読み切り。ギャグ。この手のファンタジーネタも、ほとんどゲームのメタネタにあたるよなあ。

石黒正数木曜日のフルット』/刃牙休載時にデンのこういうネタ見せられると、より勇次郎っぽさを感じる。


  • レジェンド作品は『4P田中くん』『ANGEL VOICE』。
  • 電子書籍とはいえ、しまだ作品集が単行本化とは。『王様日記』『鬼さんコチラ』あたりもひとつ。

『団地ともお』完結によせてのツイート集


「7巻」にしておきます。






※関連ツイート→
原原カカリヤ on Twitter: "土屋脚本における“夢”の扱いはメジャーアニマスプリパラクラシカロイドデレマスここたま団地ともお鉄血Lostorageあたり一つ串刺しの“テーマ”ですからね、覚えておきましょう。あと、走る、家族、公園、幻影、扉あたり。"








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※関連記事はこちら。怒り狂ってます。 
genbara-k.hatenablog.jp








(了)

顔力/稲山覚也『アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover』4

きたよクライマックス!
アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 4 (電撃コミックスNEXT)
稲山覚也によるミリマスのコミカライズも4巻目。大きな山場である。その作家性には以前もふれたが、ともかく読んでほしい、この絵力とそれによる芸と遊びと構成力の巧さに裏打ちされた群像劇をば。






作品の冒頭152ページ無料の試し読みサイトはこちら!






発売からほぼ1ヶ月、普通にほめるレビューは色々出てますので。私が4巻で触れておきたいのは、本作でも大きな魅力の表情についてである。本作は、顔芸が細かい!

(画像引用:試し読みサイト公開・11話より)



このあたりの絵の詰め込みっぷりは、本当読んでて楽しい作風なのであるが。4巻の山場では、あえて顔を描かない演出がある。

主人公の可奈が、もう一人の主人公・志保から冷たい言葉をぶつけられる場面。ここでは、告げる側の志保の顔は見えず、言われた側の可奈の表情も見えなくなる。
その後、この二人がもう一度向かい合う場面は、このように描かれる。

志保の言葉にあわてた顔を見せる可奈が、志保の表情を見て真意に気づく。志保は可奈に正面から顔を向けられないでいて、それに対し可奈は口元のみのぞかせる、ここで顔つきを変えている。
この二つの場面、どちらも続くページのコマでは、可奈が表情の見えない角度で立っている。セリフを発する・受ける表情の、見せ方の対比となる演出。いつも細かい顔芸を描く漫画家が、表情を“見せない”ことをも使いこなしていると、なんだかうれしい上手さ!という話。



(了)



※ところでKindleの商品リンク貼れないのはどこの不具合にあたるんですかね。

コミックビーム2019年2月号(その1)

  • 表紙&付録クリアファイルは『繭、纏う』。



●ストーリー:福富優樹、作画:サチナオヤ『CONFUSED!』/新連載。どこかの欧米の郊外、市井の一幕。端整かつオシャレという印象。

三宅乱丈イムリ』/ここで呼びかけに現れるのが彼、というのが変革の光景だよな。そして、ついに盟約、戦いの終わりの時が。でもまだ単行本1冊分は連載続くはず、と思ってしまうわけだが、さすがにここからの引っくり返しはないだろう…多分…。/全42ページの内ほとんどが対話の描写に費やされるわけだが、駆け引きの緊張感を盛り立てるカットバックの構成がしみじみ上手い。ニコとデュガロとの位置関係に高低差あるのが、見せ方においてすごく利いている。(以下、別記事にて展開予定。)

●原百合子『繭、纏う』/選手入場ッ!みたいなラストシーンであるが。相互承認の空間における超越者としての美、つまりは破壊者。怪力乱神としての見得だわな。

鳩山郁子(原作:堀辰雄)『羽ばたき』/このビジュアルのシンクロ、原作だとどういう描写なんだろうか。鳩のフンと死で殺し屋1を連想する読者で申し訳ない。

西尾雄太『水野と茶山』/田舎という空間の鬱陶しさとの対比構造が続くわけだが、別に百合そのものを聖と認識するでもない身からすると、ドラマツルギーとしてだからどうなの、という話で。ここら辺の個人的な違和感は志村貴子あたりのノリにも通じるんだが。

●とりのささみ。『N極物語』/新連載。シュール。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/手づかみ。本筋の方は披露宴の料理について話しているが、すわ美味しんぼ的な展開か!?

●小山健『生理ちゃん』/教育。何においてもまず存在を認める、というのが出発点だよな。

桜玉吉『参クリスマス』/聖夜の温泉。ひどい、そして物悲しい。

いましろたかし『未来人サイジョー』/僕は武論尊北斗の拳というかジャンプ作品でいえば、編集との関係もテンションに関わってくるだろうけど。

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/シルエットで8連続見開き、よい。さすがに空間転移はネロの技術もお門違いになるか。

●植田りょうたろう『卓球セラピー』/シリーズ読み切り三回目。今回はアクション味抑えめでウェット、卓球の描写は上手い。いい感じにしっとり。

●國本隆史『雌ライオンの牙』/読み切り。キャバ嬢とボクシング世界チャンピオンのバトル、のみの内容。生きる為の戦い、と熱さと勢いがあって面白い。読後に作者の旧作検索してみて驚いたぞ、しかし。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/文芸同人即売会の描写、この淡々とした距離感はさすが。将来の話からの、主人公のバイト姿ねえ。

松田洋子『父のなくしもの』/上京という夢であり決別。田舎の出としては共感します。

イシデ電『猫恋人』/最終回。作風は個人的に合わなかったが、技巧的には十分達者だったと思う、と微妙な言い方になってしまうのだが。で、自分の好みとは別にウケる読者が一定数いるのは理解できるし、なんなら需要層もっと広くてもいいのでは、と本当思うのだけどね。お疲れ様でした。

●伊図透『銃座のウルナ』/最終回。“見ない”ということから始まり、迫力をもって様々な情景描いてきたこの物語が、最後の像は見せずに終わらせるのだな。冷徹でありつつ、熱く激しい物語だった。お疲れ様でした。


  • 「コマンタレビーマー」、ええ話やないか。ジェームズ・ミランダ・バリー。

週刊少年チャンピオン2019年8号

●宮崎克、野上武志『TVアニメ創作秘話 ~手塚治虫とアニメを作った若者たち~』/新連載。まんまマンガで読める伝記といった印象。ブラック・ジャック創作秘話に漂ってたような情念はうすい。

高橋ヒロシ、鈴木リュータ『WORST外伝 グリコ』/原作ではカプセル怪獣だった呼び名がスピンオフ過去編ではポケモンって、それは脈絡としてだいぶズレてないか。申し訳程度に出る女も必要なのかどうか。

渡辺航弱虫ペダル』/そんな重要そうな回想を最後の最後にまわさんでも。

七三太朗川三番地『4P田中くん』/リバイバル掲載。開始も終了も本気!と同年になるのか。この心理描写と分節ですよね、オノマトペもおもしろい。作者コンビも近年だとDreams終盤が騒がれちゃいましたが、コテコテだった先週に比べるとインタビューもさわやかなことで。他の野球マンガは読まなかったと言える七三太朗、いいな。

安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』/こんな格好、て普段の巨大装飾ヘアピンと黒タイツに比べたら、ヘアゴムとルーズソックスの方がよほどまともな格好では。

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/空気の乾燥。スナァ。

浜岡賢次毎度!浦安鉄筋家族』/横長コマ2連で屋根やぶって姉の部屋に落下する構成好き。で、これより以前に姉の部屋の内装出てきたのいつになるんだろうか。雪像モアイといえばドロイどん(越智善彦)。野良ミャオ初回みたいな小鉄オチ、いかんぞ。

●中村勇志『六道の悪女たち』/お、これは主人公に素直に勝たせるのもありかな。

桜井のりお『ロロッロ!』/部長の家庭はみつどもえのおがちんみたいなものか。こっちも服をあずかるのはいかんよ。

●灰谷音屋『ジュニオール』/そういえば部活かけもちなのか。美術部の方で今後、とめはねっ!みたいな展開きたりして。素人の成長していく描写はいいもんですね。最後のは、女の子への誘い文句としてはどうなんだろう。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/男女両刀ならドラルクの師匠超えてないか。吉田さんがんばった、でも、やっぱり、ダメだった。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/試合の動きが流れるように視界に入ってくる画面構成だ、巧い。どちらにとってもいい先輩なのだな。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/まあチート主人公な時点でわかってた展開ではあるかもしれんけどさ。

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/テコ入れヒロインにも程がある。各人の精神世界が見ものか。

●荒井俊太郎『3』/読み切り。不良マンガである以上に独特な狂気に満ちてるな。


  • レジェンド作品は『ドッ硬連』『クローバー』。