コミックビーム2019年2月号(その1)

  • 表紙&付録クリアファイルは『繭、纏う』。



●ストーリー:福富優樹、作画:サチナオヤ『CONFUSED!』/新連載。どこかの欧米の郊外、市井の一幕。端整かつオシャレという印象。

三宅乱丈イムリ』/ここで呼びかけに現れるのが彼、というのが変革の光景だよな。そして、ついに盟約、戦いの終わりの時が。でもまだ単行本1冊分は連載続くはず、と思ってしまうわけだが、さすがにここからの引っくり返しはないだろう…多分…。/全42ページの内ほとんどが対話の描写に費やされるわけだが、駆け引きの緊張感を盛り立てるカットバックの構成がしみじみ上手い。ニコとデュガロとの位置関係に高低差あるのが、見せ方においてすごく利いている。(以下、別記事にて展開予定。)

●原百合子『繭、纏う』/選手入場ッ!みたいなラストシーンであるが。相互承認の空間における超越者としての美、つまりは破壊者。怪力乱神としての見得だわな。

鳩山郁子(原作:堀辰雄)『羽ばたき』/このビジュアルのシンクロ、原作だとどういう描写なんだろうか。鳩のフンと死で殺し屋1を連想する読者で申し訳ない。

西尾雄太『水野と茶山』/田舎という空間の鬱陶しさとの対比構造が続くわけだが、別に百合そのものを聖と認識するでもない身からすると、ドラマツルギーとしてだからどうなの、という話で。ここら辺の個人的な違和感は志村貴子あたりのノリにも通じるんだが。

●とりのささみ。『N極物語』/新連載。シュール。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/手づかみ。本筋の方は披露宴の料理について話しているが、すわ美味しんぼ的な展開か!?

●小山健『生理ちゃん』/教育。何においてもまず存在を認める、というのが出発点だよな。

桜玉吉『参クリスマス』/聖夜の温泉。ひどい、そして物悲しい。

いましろたかし『未来人サイジョー』/僕は武論尊北斗の拳というかジャンプ作品でいえば、編集との関係もテンションに関わってくるだろうけど。

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/シルエットで8連続見開き、よい。さすがに空間転移はネロの技術もお門違いになるか。

●植田りょうたろう『卓球セラピー』/シリーズ読み切り三回目。今回はアクション味抑えめでウェット、卓球の描写は上手い。いい感じにしっとり。

●國本隆史『雌ライオンの牙』/読み切り。キャバ嬢とボクシング世界チャンピオンのバトル、のみの内容。生きる為の戦い、と熱さと勢いがあって面白い。読後に作者の旧作検索してみて驚いたぞ、しかし。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/文芸同人即売会の描写、この淡々とした距離感はさすが。将来の話からの、主人公のバイト姿ねえ。

松田洋子『父のなくしもの』/上京という夢であり決別。田舎の出としては共感します。

イシデ電『猫恋人』/最終回。作風は個人的に合わなかったが、技巧的には十分達者だったと思う、と微妙な言い方になってしまうのだが。で、自分の好みとは別にウケる読者が一定数いるのは理解できるし、なんなら需要層もっと広くてもいいのでは、と本当思うのだけどね。お疲れ様でした。

●伊図透『銃座のウルナ』/最終回。“見ない”ということから始まり、迫力をもって様々な情景描いてきたこの物語が、最後の像は見せずに終わらせるのだな。冷徹でありつつ、熱く激しい物語だった。お疲れ様でした。


  • 「コマンタレビーマー」、ええ話やないか。ジェームズ・ミランダ・バリー。