きたよクライマックス!
稲山覚也によるミリマスのコミカライズも4巻目。大きな山場である。その作家性には以前もふれたが、ともかく読んでほしい、この絵力とそれによる芸と遊びと構成力の巧さに裏打ちされた群像劇をば。
ちなみに、新規公開の11話で私が一番好きな見開きがここ。わかるか、この読者の視線の動き計算しつくされた場面≒画面の構成の巧みさが。>RT pic.twitter.com/KtuswZxxXS
— 原原カカリヤ (@genbarakakariya) December 27, 2018
作品の冒頭152ページ無料の試し読みサイトはこちら!
発売からほぼ1ヶ月、普通にほめるレビューは色々出てますので。私が4巻で触れておきたいのは、本作でも大きな魅力の表情についてである。本作は、顔芸が細かい!
(画像引用:試し読みサイト公開・11話より)
このあたりの絵の詰め込みっぷりは、本当読んでて楽しい作風なのであるが。4巻の山場では、あえて顔を描かない演出がある。
主人公の可奈が、もう一人の主人公・志保から冷たい言葉をぶつけられる場面。ここでは、告げる側の志保の顔は見えず、言われた側の可奈の表情も見えなくなる。
その後、この二人がもう一度向かい合う場面は、このように描かれる。
志保の言葉にあわてた顔を見せる可奈が、志保の表情を見て真意に気づく。志保は可奈に正面から顔を向けられないでいて、それに対し可奈は口元のみのぞかせる、ここで顔つきを変えている。
この二つの場面、どちらも続くページのコマでは、可奈が表情の見えない角度で立っている。セリフを発する・受ける表情の、見せ方の対比となる演出。いつも細かい顔芸を描く漫画家が、表情を“見せない”ことをも使いこなしていると、なんだかうれしい上手さ!という話。
(了)
※ところでKindleの商品リンク貼れないのはどこの不具合にあたるんですかね。