コミックビーム2018年6月号



羽生生純(原案:片桐健滋、梅本竜矢)『ルームロンダリング』/いたのかキミヒコ、可変なのか顔。そういえば初登場時はキミヒコもホラー風貌だったな。鼎談でも触れられているが、羽生生なりのポップなあ。

●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『時を超える影』/クリーチャーふくむ、顔力(かおぢから)。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/月見そば。我々は卵の黄身に振り回され過ぎているのではないか──なんて壮大なテーマなんだ…。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/↑にもかつて出てきたワードバスケット登場。扱いの差が作風の差。

三宅乱丈イムリ』/奪われた、という表現では足りない、その小さな体の知る世界のすべてが蹂躙されつくしたことへの嘆き。対して、まだ残されている命が救いになるか否か。絞め殺され(かけ)る表情がすごい。

上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/見開き大ゴマ分節。今回のネタも、着想から形にするまでの苦労がしのばれる。ナウいマンガ表現論的にはこれもフレームどうこうてな文脈になるのけ?

●おくやまゆか『むかしこっぷり』/子供たちと河童。ほのぼのとした筆致がはまる内容。不思議な記憶とそのくい違いという経験は確かにあるなあ。

●伊図透『銃座のウルナ』/チュリッカの一瞬の回想はそこか。読者の意識してなかった像と、それへの想い。幕引きが迫る。

森泉岳土『セリー』/あー、ひっくり返してくるのか。有限であることの内実の差。

加藤伸吉『橋の内臓』/読み切り。都心の人間模様を描く連作になるのかね。この絵で活写される享楽、あるいは世俗。比翼の鳥に対して、こちらのイメージは合体鳥と言うべきか。勝鬨橋といえば、『Q.E.D.』に「凍てつく鉄槌」という名編がございましてね。
Q.E.D.―証明終了―(9) (月刊少年マガジンコミックス)Q.E.D.証明終了(9) (講談社コミックス月刊マガジン)

●conix『青高チア部はかわいくない!』/お風呂&お泊まり回。ライバル登場っぽいが、露骨に対極の美の図示である。またそれがこの絵柄だと映える。

桜玉吉『たかがテントウムシ されどテントウムシ』/田舎には動物の起こすトラブルが諸々ありますが、虫によるこの併せ技って。地口ネタには『なげやり』のノリ思い出す。アオリに「ヘボヘボ漫画!!」と入ってるのはどうよ。

●原百合子『繭、纏う』/この光景、遺髪のような印象はぬぐえんよなあ。王子様ポジションも、継げなかった者としての振る舞いであるわけか。外れた者達を描いてゆく。

中野シズカ『In the Garden』/今回はいわば管理物としての庭であるが、そこでは執拗に描かれるのは室内の方になるわけね、いつもと逆に。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/ディティールがいちいち狂いまくってるんだけども、この速度と構成力で悪夢的世界に仕立ててくるんだよなあ。別れの時なのか。

●宮崎夏次系『培養肉くん』/出張再掲載。アオリによるとSF、想像力の世界だ。


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 先月号まで。
        
 今月号。