ハルタ 2016-APRIL volume 33

  • 帯裏連載、入江亜季『多朗と多由良』は今回で最終回。一瞬の邂逅。

入江亜季『北北西に雲と往け』/あ、本当に、普通に探偵業なのか。ファンタジー要素はちょっとのぞくものの、地に足着いたドラマツルギー。様々な人生模様を切り取って見せるのが探偵もの(≠推理もの)であるからして、群青学舎的な期待寄せていいかな。
森薫乙嫁語り』/アミルさんも以前歌う展開あったけれど、口伝が前提ならば歌の概念自体現代とは違うはずで。ここでも即興含まれているし。そこに乗せられる言葉の深度、という話なのであろう。
九井諒子ダンジョン飯』/予兆、計略、腹ごしらえ、そしてラスボス出現。これまでシリアスと緊張はモンスターと出会ってからが本番だったけれど、背景立てを導入に大詰めが迫る。ドラマとディティールを見せる構成の映え。巨大生物に建造物を利用したリアルタイム戦闘挑む、とここに来てまた2D的“ダンジョン”から発想が飛躍見せたかな。3回出てくるマルシルの涙目の異相ぶりがおもしろい。メニューはカツ!
●戎島実里『今日のちょーか!』/集中新連載。四コマ。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/念の為に爆薬持ち歩くって、はいからさんが通るの結婚式招待客じゃないんだから(ツッコミ)。まあ道ならぬ道を行く小人なれば。なじみの行商隊に再会しに行く話。動物に乗る描写は、おとぎ話の雰囲気でやはりよい。狸とニホンザル、と和風しばりかね。
●宮永麻也『さすらいの魔女ニコラ』/読み切り。メルヘン。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/前回が一対一の電話の様子メインで、今回は電話による多人数間での情報回しメイン、心理戦かよ。このタッチで善人顔と悪人顔、もとい電話してる人物の内面現れた所作描き分けるんだよなあ。あいこの顔芸、終始正面からのカットで茫洋とした寝起きゆうこの天然悪意、電話受けたA子の同じ構図連続に伴う「……」あたり、上手いしそれぞれ対比にもなっていておもしろい。この業がラフにナチュラルに息づいている感。
●原鮎美『織子とナッツン』/で、↑に続けて、この鈍感ヒロイン天然ジゴロぶり掲載ってのもねぇ。
●木村みなみ『ちえちゃん』/読み切り8ページ。かわいい彼女。大切な存在がいることを見せる、その構成とテーマは一貫したものですな。今回も丁寧であたたかい。
なかま亜咲健全ロボ ダイミダラーOGS』/まあ秘め事ばれて結ばれるのはよくある事だから、エロマンガで。なんか初期のノリ戻ってきたなと思ったら、残り2話。
●サワミソノ『平成酒乱日記』/読み切り。タイトルで「平成」名乗ってますが、確かに現代劇としての闇は濃く出てるなと。堕落しかない日常と、そこからの生き直し。唯一の存在に出会う、というモチーフは前回の読み切りにも通じるけれど、それを支えるディティールがやはり秀逸。
●窪中彩乃『華麗なる虚偽』/最終回。有終の美は与えられず。すべては過去の輝きになる、というのは本当にねぇ。お疲れ様でした。


  • 持ち込み募集ページの森薫によるカットがエロスだと思います。
  • ハルタ編集部の「担当裁量制」が解説されてますが、え、そんなやり方なの。“評価”はどうくだるんだろうか。
  • 次号、紗久楽さわ読み切り掲載。