週刊少年チャンピオン2019年32号

  • 付録ポスターの「地下闘技場力士絵巻」は何の再掲なんだっけ、と確認したら新宿駅に出した単行本広告か。そりゃインパクトはあるよな。
  • 表2広告はダウンタウンDXの企画「芸能人バキ化計画」。
  • 日向坂46って46人いるわけじゃないんですね…。



板垣恵介グラップラー刃牙』/セルフリメイク企画。初っぱなの大きなケレンでもあった食事描写、それこそ小池一夫梶原一騎にも連なるディティールなり設定解説なりに重きを置いてないあたり、物語としてのリアリティラインがすでに別物ってことなんだよなあ。この点は作家性に限らず、時代性や読者論も込みでの話だが。末堂のビッグネームぶりよ。独歩は松尾象山っぽい。/作者インタビューでは刃牙1話についての話が、前号掲載の沢考史のそれとあわせて両面的に読める内容。

板垣巴留BEASTARS』/女性、もといメスのみなさんたくましいことで。ドンファンって呼称はありなの。

桜井のりお『ロロッロ!』/勘違いネタの破壊力の強さで、ギャル先輩のかわいい一面とか新しい友達誕生とかがかすむよ。猫ぬいぐるみのお婿さん探し、微妙にBEASTARSとシンクロ。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/「元気を売れなくなった」と政界を引退した猪木をリスペクトしての、国会議員のウンコが硬貨(現金)形というネタ。おい。

西修『魔入りました!入間くん』/こうまで露骨に上目遣いで媚売られてお腐れ様はうれしいものなのだろうか、普通に喜ぶんだろうな◯◯◯◯とかは。それはさておき、この地割れなどやはり重本ハジメの画風のように見える。

●中村勇志『六道の悪女たち』/緊迫の状況からこの絵の落差は笑うわ。そういえば椰子谷は自滅状態で主人公から退いたんだっけ。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/顔がいい(用法違い)。この重ねコマや枠線はみ出しも、構成力ある作家だからこそ読みやすく描けるのだよなあ。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/サイコの方がノリノリで描ける作家なんだから、恋愛担当キャラだけまともぶらせなくても。というか、これ系の展開ってファンには嬉しいの?

●阿東里枝『うそつきアンドロイド』/読み切り。無表情ヒロインと熱血男子のラブコメ、というと自分は『団地ともお』に出てくる二人を連想する体質になってしまっているが。展開のテンポと笑いのはさみ方が小気味良く、絵と構図と構成の使い方にも自覚的。上手い。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/もう8ページ連載形式に変えてもいいんじゃないの、『団地ともお』みたく。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/修学旅行編、動物出すためだけのイベントだったのかな…。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/役立つなあ、警察。しかしやり直すにしても火種は健在。

●中村たつおき『愛か肉か』/読み切り。ギャグ。顔芸ラブコメ

●灰谷音屋『ジュニオール』/最終回。前回の内容で、長いスパンの伏線を見事に畳んだな!と思ってたら予想外のオチだか落とし前だかだよ。物語としては前回でやりきり、最終回は美学で痛快に結ぶと。最序盤の未回収の伏線を最後にちらつかせるのも、このカタルシスの後ではショーマストゴーオン、カーテンコールの凱歌とも映るわけで。/いやー、上手い作品だった。面白かったです、お疲れ様でした。正直このレベルの新人作家なら、他誌で描いた方が正当に評価されるし売れるだろうとも思える。


鴨川つばめマカロニほうれん荘』/リバイバル掲載。今見てもこのギャグ連射ぶりはすげえな。このヒロインがかわいい、という感覚はまだ通じるんだろうか。


週刊少年チャンピオン2019年31号

  • 日向坂46全メンバーによる創刊50周年お祝いコメント企画。「ゲーム批評」誌が通算50号目のカラーページをモーニング娘。特集に割いて総スカンくってたの思い出すなー。まあ“グラビア”は当初から少年誌の華とはいえ。



高橋ヒロシ、鈴木リュータ『WORST外伝 グリコ』/体育テスト編。『バキ』みたいな流れ、というかそもそも授業受けてるのか。

桜井のりお『ロロッロ!』/水着姿でパンツ掲げは変態的発想。

●中村勇志『六道の悪女たち』/ちゃんと収拾つくのか、これ。ノーマライゼーション唱えりゃいいってもんでもないし、乱奈登場の前フリでもあるんだろうし。

渡辺航弱虫ペダル』/こういう初体験の心情の活写は、やはり経験者ならではか。

板垣巴留BEASTARS』/食は生命。それはそれとして義理は守る。

西修『魔入りました!入間くん』/これ、モンスター描いてるアシスタントが重本ハジメだったりしない?

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/…サービス回なのだろうか。

手塚治虫ブラック・ジャック』/リバイバル掲載、単行本未収録作。この内容を未収録とするあたり、手塚の職能としてのエンターテイナーぶりではあるのだろう。『AIの遺電子』だったらドヤ顔で押してそうじゃん、この路線(笑)。/手塚プロダクション代表・松谷孝征インタビュー掲載。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/連載を5年間読んでておそらく初めて、誌面構成に上手さを感じた。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/屋台も出るイベントなのか、楽しそうだな。本編中で扉絵の意味を明かす展開がいい。

●川村拓『かわいい後輩に言わされたい』/先行出張掲載。この手のなんだ、対面クーデレ系?も流行りだなあ。だからこそ技巧の上で見せてくれなければ、しょうもなさしか感じないのだが。

●灰刃ねむみ『足芸少女こむらさん』/足延べ麺、足包み餃子。うん、これはフェチだな。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/夢の大きさが勝因、みたいなことだろうか…。

●灰谷音屋『ジュニオール』/次回最終回、なのだけども。ここまでの伏線の張り方見てると、この試合は杉浦と草野の見せ場にする、というのは予定通りの展開(のはず)なんだよなあ。それはそれで、物語を語りきる、という姿勢を貫いてみせたのではないかと。/構図の異なるコマ間を通じてのボールの挙動のポジショニング、その読ませ方と構成が巧い。

●大沼隆揮、内田裕人『Best Picture』/読み切り。両面にいい顔してそつなくまとめてみせたな、という第一印象になるのは難しい所。物語というものには文脈の優劣づけが入るんだよな、どうしても。

石黒正数木曜日のフルット』/初っぱなの競馬場のコマ、すげえな。




  • 9代目編集長・沢考史インタビュー掲載。
  • 今年の横浜商店街とチャンピオンのコラボは「ガチハンバーグ!」。で、西修のコラボ絵はナイフとフォークどういう持ち方してるんだよこれ。

  • 森脇真琴の入間くん主人公評、「「引き笑い」ならぬ「引き攻め」というか「逃げ殴り」(笑)というか…」はかなり本質を突いていると思う。入間くん含む、凡庸な異世界ものの多くは“奴隷の鎖自慢”をこそ読者も望んでいるわけだが、そういう言い方があるか、と。あと、「シリーズ構成・筆安一幸」のクレジットからちゃんとプリパラが消えていてよかったよかった。
  • レジェンド作品は『箕輪道伝説』『ウダウダやってるヒマはねェ!』。

コミックビーム2019年6月号

※先々月号です。


  • この表紙をめくった表2広告が貞子ってのもどうなんだ。

 

  • そして、裏表紙は2号連続ギャルゲー広告である。珍しい、というか初?



●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『クトルゥフの呼び声』/新連載。ラヴクラフトシリーズ。本作は話の聞き手という形の導入。以前インタビューで、作者はもっぱら絵を描いてネームの振り分けは編集者任せという発言もあったが、長らく担当だった岩井氏が外れた影響が出るのかどうか。

●伊図透『全速力の。』/物語は過去へ。このざわっとくる“恋愛”描写な。ウルナから通底する女性の内面もまた。

●谷口菜津子『彼女と彼氏の明るい未来』/そもそも対比となる主人公とのセックス描写はさっぱりだし、という発想はエロ漫画に毒されてますか?

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/こいつらは学校別なんだよなあ、といった所で巻末コメントにて残り数回との告知が。『恋と問』といい、続編を上手く伸ばせない感がなあ。

中野シズカ『てだれもんら』/お仕事風景というかバトル描写というか。世界観と美意識の説明だな。

●小山健『生理ちゃん』/アイドル編。普通に勉強になる。進研ゼミDMばりの対比は笑うが、結果は別。

鳩山郁子(原作:堀辰雄)『羽ばたき』/日の光の下では偽りの姿。しばらく休載とのこと。

●原百合子『繭、纏う』/ラストページのこの顔よ。それを向けられる当人は一貫して描かれないのが効いている。

近藤ようこ(原作:澁澤龍彦)『高丘親王航海記』/ジュゴンかわいい。引き寄せるものという表象もあるのだろうが、音楽の表現がおもしろい。

桜玉吉『水芸』/銭湯の一コマ。通ってないと出てこないディティールではある。そうか、還暦も近いか…。

●朋さくら『すてきなアリス・ウォンおばさん』/読み切り54ページ。絵柄、間の取り方、吹き出しによる視線誘導とコマの接続あたり、海外コミック風と評していいのかな。物語の進行、状況描写としては構図とそのカットバックで読ませていく形だが。海外を舞台においての民話と異界、青春の懊悩。エスプリがかったセリフと展開も、この世界観なら地に足の着いたそれと言えよう。独特な読みごたえで面白かった。

羽生生純『この物語でネコに危害はいっさい加えておりません。』/ワンちゃんとネコちゃんの友情。人は死ぬ。

いましろたかし『未来人サイジョー』/あっさりこけるかー。そして、まさかのエロ劇画(大人漫画)編突入?最後のコマで、私が以前感想に書いたのと同じ内容を自己ツッコミしてあって、そりゃ作者が気づいてないはずないよね。野暮な読者ですいません…。

三宅乱丈イムリ』/そうか、イコルは対立を俯瞰してるのが現状なんだな。チムリが能力を使う(=チムリと話してる相手の顔描いたコマに線)傍ら、ミューバは重要アイテムを入手(=1コマだけチラ見せ)、という描写の省略が粋。

やまじえびね『かわいそうなミーナ』/集中連載最終回。王道。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/最終回。そういう締めか、“絵”としては。主観的な、ある種ゆがみの入った描線と、表現を生業とする人物というテーマがよく合っていた。面白かった。お疲れ様でした。

松田洋子『父のなくしもの』/最終回。『おかめ日和』クライマックスのあれを思い出す。圧巻のホームドラマであったなあ。お疲れ様でした。


  • 市橋俊介のコラムが衝撃の内容なんだが…。(もう続きは出てるんだが、まあ。)

週刊少年チャンピオン2019年30号

●触媒ヒロオミ『どらコン!』/新連載。ハーレム系。読み切り時と作風変わりすぎでは。

渡辺航弱虫ペダル』/新入生レース時の展開と重ねてきたな。主人公の執着という点ではシャカリキ!に近い内実かも。

板垣巴留BEASTARS』/ドアの穴、最後の抱擁。なんだろうねえ、選べなかった未来を子に託すという親のエゴでもありながら、種族や形質という生来の枠≒枷への抗いでもまた、生まれながらの異種たる彼女にとってはあったわけで。いずれ“本当の姿”で再登場しそうでもあるが。こういうエピソードがレゴシの器や性的指向の「原因」と(してのみ)目されかねない、というのがまたデリケートな領分ではあるのだが。

板垣恵介『REVENGE TOKYO』/再録、柳編。破格の扱いなのか、あるいはキャラとして別文脈に着地できず消失、と見るべきか。以前、対談中に「柳は死んだんですか」と聞かれて肯定してたしね。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/で、↑に続けてこのカラー扉はずる過ぎるだろ。どの柳の子供なんだっけコイツら、て、どの柳ってなんだよ。SAGA後の二人一蹴パロディって脈絡もあわせて見るべきだな、この自爆オチ。

浜岡賢次浦安鉄筋家族』/リバイバル掲載。野良ミャオ高速道路編。芸風自体はこの頃すでに定まってるよなあ、と思ったら22年前なのかこれ。作者インタビュー、子供が生まれてから大鉄が動くようになった、という話がおもしろい。


●村岡ユウ『もういっぽん!』/初戦突破。理想を共有する者として、技をかけた側・うけた側、双方ともに原点を自覚する様。ページのめくりや本のノドのまたぎが、演出として非常に上手く機能する誌面構成。

●中村勇志『六道の悪女たち』/性癖を逃避先として描かれるのも、ちょっとなあ。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/前回のヒキにはまんまと騙されたが、それとネタ自体のクオリティは別なので…。休載を挟んだのが生きたな、しかし。

桜井のりお『ロロッロ!』/同居オチの前回から、まさかのすでに同居してた今回。ロボットギミック生かしたギャグ展開。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/アンチ魔法少女なあの能力で倒せてたのね。終わりも近いか。

●灰谷音屋『ジュニオール』/反則、そういうのもあるのか(おい)。コマ割りと誌面構成がキレキレ。最後のは相手のミスの経緯ふくめ、杉浦のつみ上げてきた結果か。これも終わっちゃいそうな…。

●荒井俊太郎『0 ゼロ<後編>』/シリーズ連載最終回。不良マンガ云々というよりは、作者の絵力注ぎ込まれたケレンとしての対立構造と異形、という読み心地であった。ビジュアルドラッグ感。

平川哲弘『ヒマワリ』/最終回。このモラトリアム主体のドラマツルギーで、業界内での成り上がりといったディティールは描けないだろうし、デビューで終わらせるのは適切なタイミングだろう。お疲れ様でした。

石黒正数木曜日のフルット』/甘味にあわせる飲み物は迷うことあるな、確かに。


  • 8代目編集長・樋口茂インタビュー掲載。グランドチャンピオンの名が。
  • レジェンド作品は『手っちゃん』『おやつ』。『おやつ』がカラーページ取って、『がんばれ酢めし疑獄!!』と同じ誌面に載ってたんだよな、あの時代。




※余談


先週こんなツイートをしたが、よく考えると「主人公所属のアイドルユニットデビュー」という展開までがかぶっているのだった、うむ。
 
アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 5 (電撃コミックスNEXT)  ヒマワリ 8 (少年チャンピオン・コミックス)

 てんむす 10 (少年チャンピオン・コミックス)

 クローバー 43 (少年チャンピオン・コミックス)

週刊少年チャンピオン2019年29号

板垣恵介『バキ道』/最後のページだけ見ると、独歩が渋川を裸にむいてニヤついてるみたい。

渡辺航弱虫ペダル』/ヘルメットとゴーグル外したら、また既存キャラそっくりの肉親だったりして。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/雨と鈴ちゃん。トラブル展開は回避しつつ作風と描写力は変わらず、となるとキャラとしては芸達者にもなるか。

●中村勇志『六道の悪女たち』/そりゃマゾだからなあ…。あるいは解放された結果がこれなのか。異性装のノリからの飯沼の説教といい、性的指向性的嗜好をごっちゃにされそうな危惧もないではない。

桜井のりお『ロロッロ!』/実はまだ、この家にいるのです(ポリさん一家)。エロマンガで見るやつ、という人の想定するエロマンガ、だいたい二次創作説。

板垣巴留BEASTARS』/ザ・女性作家の描く女の業。宿命の選択と代替の死という意味では、近い内面なのはイブキになるか。大皿を直箸で取り分けられる、という血縁を示すディティールが秀逸。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/個の世界から師の存在という描写へ。いい展開だけど、観客席からの指示は違反にあたらないかね。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/おこぼれでは価値がない、という描写なんだろうか。

吉田達弥『美少女戦士とパパ』/読み切り。ギャグ。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/↑と続けて掲載で、最後に設定ゆるがすような能力出てくるという。

●荒井俊太郎『0 ゼロ<前編>』/気圧される、という心理表現としてはなかなかよい筆致。

●綿貫琢己『鮫神鉄拳ジャッポ』/読み切り。まんまファンタジー連載のプロローグという感じ。

柳沢きみお『月とスッポン』/リバイバル掲載。幼なじみで長身で妹系ヒロイン、かもしれん。

石黒正数木曜日のフルット』/デフォルメなのは変わらずにディティール加えられるあたりが画力よな。


  • 7代目編集長・大塚公平インタビュー掲載。連載開始作品見ると結構なラインナップ。おおひなたごう施川ユウキもこの人の時代か。能田達規小沢としおのことを惜しがったり、本気!終了からの部数低迷の顛末を語ったり、わりと赤裸々な発言も。今でもどおくまんに電話する仲って話はいいね。
  • レジェンド作品は『不安の種+』『バイオハザード~マルハワデザイア~』。



※余談



アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 5 (電撃コミックスNEXT) てんむす 10 (少年チャンピオン・コミックス)
ヒマワリ 8 (少年チャンピオン・コミックス) クローバー 43 (少年チャンピオン・コミックス)