アニメ「アイドルマスター」24話、他

BS11の再放送企画、「劇場版公開直前記念!お正月だよアイドルマスター!」。第5夜(10日0時より)はついに24話!来るべくして来た!最終第6夜(10日23時より)は5話。そ、そこか〜、好きだけど。で、本放送枠(11日0時より)は14話でした。うん、これも好きだな。まあ全話好きだ。
というわけで、以下各話雑感を放送順に。2周目だからこそ見えるものがある、それがアニマス



…と書き始めたのですが、最初の24話「夢」感想に熱が入り過ぎて、思いの外長文になってしまいました。今回は24話感想を単独で。



第二十四話 夢

  • いわゆる重い回、ですが冒頭から緊張感に満ちた演出。あの春香がこんな声で語り続ける、という点で前半はもう泣けてきて。
  • 23話終盤からのこの悲しきメロディライン。
  • タクシーに乗り込んだ美希の、社長のセリフの内容に合わせての、表情の変化。心配気な顔が、一瞬で決意の表情へ。彼女は“進める”側。
  • この時点で、千早は春香の変化に気づいてるんですね。でも何も言い出せない。
  • 慟哭、のセリフ。この辺のカットインはもう、私的には鳥肌もの。
  • あと「時は過ぎて行く、人も過ぎて行く」の『男の操』(業田良家)連想したりもします。20話の『自虐の詩』連想に引き続き。
  • この春香の心が決定的に折れてしまう場面で向かい合う二人が、才能で進める美希と、アイドルから離れた律子であるのが象徴的。
  • みんなでやるライブ、への執着。
  • この「今までの倍、いえ、三倍頑張ります、だから!」という叫びが、もうどうしようもなく悲しくて。止まらない焦燥。
  • 中の人すげえ。
  • みんな春香を心配している。でも何もできないでいる。
  • 春香と千早のお母さんは出てくるんだよな。美希の「ご両親」も伝言だけは。それぞれのキャラの親として、いい立ち回りしてると思います。
  • これ、春香の出てる雑誌インタビューを細かく見ると、1stライブへの思いと次のライブへの意気込みが書いてあるんですよね。最後に象徴として出てきますが。
  • 初登場時から春香とぶつかってきた(物理的に)冬馬。ちょっと丸くなった。丸冬馬さん!「絆」。
  • 千早とプロデューサーの対話。山場です。
  • 千早の言葉、「転んだ時、いつも真っ先に手を伸ばしてくれた人が、一人で悩んでしまっているのに…。それを助けられないほど、みんなが遠く離ればなれに…。今なら、取り戻せるかもしれない。でも、それが正しいことなのか、自分にできることなのかわからなくて…」。
  • 千早は何を悩んでいるか。彼女は春香のことを助けたいわけです、心から。今、自分が動き出せば春香を助けられるかもしれない、とそこまでわかってるんです。でも、それが“正しい”のか、判断できずに動けないんです。「みんな」も春香を助けたいと思っているのか、春香のために自分と一緒に動いてくれるかどうか、わからないでいるんです。
  • だから、プロデューサーは千早に応えます。「大丈夫だよ」と。「きっと、みんな千早と同じように感じていると思う」と。こう言われた時に、それまで思いつめた表情だった千早が「はっ」とするんです。息を飲んで、顔に光があたるんです。
  • 本当にね、私は本当に、この言葉を言うためにプロデューサーというキャラクターはいたんだ、て思えるくらい、ここのやりとりが好きです。これを千早に言える、「大丈夫」とみんなに伝えられる日を迎えるために、ずっと765プロと一緒に走ってきて見守ってきたんだと思える、それくらい好きな場面です。
  • そして、プロデューサーと共に全話登場をはたしたキャラクターである小鳥さん。プロデューサーの病室にいた彼女は、千早に背を向けて立ったまま、カーテン越しに話を聞いていました。千早と同様に張り詰めた表情で、立ちつくしているかのような描写でした。しかし、プロデューサーと千早が「大丈夫、みんなのこと信じてるんだろう」「はい」というやりとりをするカットで、カーテンの向こうの小鳥さんは座っているんです。目をとじ、安堵の表情を浮かべてるんです。
  • きっと、小鳥さんも春香を助けたかった。でも、千早と同じように動けないでいたんです。だから、自分も伝えたかった「大丈夫」をプロデューサーがアイドルに言ったことで、救われたんだと思います。(そういえば、本放送時に配信されたボイスドラマでは、小鳥さん完全にプロデューサーLOVEでしたなあ。)
  • 飛行機雲。
  • 社長もまた、765プロの仲間として動いた。千早が最初に頼み込んだ律子も。
  • ようじょのみなさん。ここはキャラデザインといい声といい、よいですね。
  • この幻視展開と土屋理敬脚本という点から、私としてはアニメ版『団地ともお』の「父さんを召喚するんだともお」につなげたい。(20話は「幼なじみは元気かなともお」につなげたい。)
  • 千早の「春香のためだけじゃなく、これは私の願いなの」という明言。「願い」なんですよ。今みんなが集まっているのは、その形としての祈りの光景。意志なんです。美希がそれを「帰れる場所があって、そこで笑ってくれる人がいる」と表現することで、ここに集まった765プロ全員、「みんな」の心にその「願い」があるとわかります。だから、「できる」。
  • 「みんなと楽しく」という夢を自覚する春香。ここまできて、先の場面とあわせて、765プロが互いに信じあっている、という構造が浮かびます。春香が6話でプロデューサーに渡したキャラメルと、「大丈夫です!私たちを信用してください!」という想いは、20話でプロデューサーが「嬉しかったよ。もう一度みんなの仲間として、やり直そうって素直に思えた」と感謝をあらわにしたそれは、こうして彼女へと還ってきた。
  • 生中継の呼びかけは、もうアニメ製作側も視聴者側もわかってますから。いいんだよこれで。(ほほ笑みながら)
  • 「まっすぐ」。この演出はすばらしいの一言。最後の最後に、遠景で小さく描かれたキャラ達がちょっとだけ動くじゃないですか。美希はね、バンザイするんですよ。離れて立ってた律子は、口元押さえるんですよ。ええもう好きですはい。

…とまあ書いてきましたけれど、これは私、アニマスを一度最後まで見て、もう一回最初から見直す、という体験したから言えるわけで。キャラクター達の歩みを、ちゃんと心中に積み上げてきたから言えるんであってね。初見時は8話から見出したこともあってか、正直そこまで24話を肯定的にとらえられなかった。いい話だと思いつつも、甘い、という感覚が抜けきらなかったわけです。
でも、今は素直に称賛できる。それは上に述べた構成の巧さが見えたから、というのもあるし、あと純粋に、彼女たちのそういう姿が見たかったからです。仲間を置いたまま進まずに、仲間のために立ち止まり、振り返って手を伸ばしてくれる。そんな彼女たちだから私は好きになれたんだ、と信じたかったからです。「夢」を見せてくれたからです。
劇場版の内容は、予告映像見た印象ではもう一度この「仲間と進む」というテーマに踏み込んできそうです。美希のセリフ「だから春香は、美希のライバルなのかも。」が、24話の対立軸とあわせてどう“おはなし”としての結実を見せるか。楽しみに待ちたいと思います。



あと昨夜放送の「情熱大陸」、パフォーマー蛯名健一回がよかったです。冒頭で変に称賛コメントする人とか出さない、身一つで世界規模で活動してる人の回。そんな日本人が転がってるんだぜ、というノリの当たり回。怪魚ハンター・小塚拓也回思い出したり。