アニメ「アイドルマスター」12話

アイドルマスター 5(完全生産限定版) [Blu-ray]

  • 第十二話 一方通行の終着点

●前回終盤の美希と律子のやりとりからの導入。「何か誤解してるみたいだけど」メンバーを増やす予定はない、と律子から伝えられ、走り去る美希。当初8話から見始めたものでよくわからなかったんだよな、このつらさが。
●ダンスレッスンルームの8人。春香いわく「美希、今日も来てないね」ということで不安そうな面々。響はすでにコメディリリーフだな。
●思案げな千早がちら、と見た先にいるのは電話をかけるプロデューサー。4話といい、千早はPの直接的な働きを注視してるようにも見受けられる。
●誰も出ない電話を切り、プロデューサーが目を向けた先にいるのはドア開けて手招きしてる律子。彼女に気づいてるのはドア脇にいた春香&やよい&雪歩と、やはり千早。手前の真&響は気づかず。
●プロデューサーと律子の会話。冒頭の美希&律子の会話と同じ場所。6話の回想が入り、ようやく原因に思い至るP。開いた携帯電話を握りしめる。
●レッスン室に戻ってきたプロデューサーに対し、美希のことを案じる8人。口々に出る心配の言葉に重ねて、正面からのアングルでさいなまされるPの姿。彼の弱さの描写です。閉じた携帯電話を握りしめる。
●ここで口を開くのは千早。「私達が騒いでも、どうにもならない気がするわ。」「美希には美希の事情があるのかも。私達にできるのは、ライブに向けて集中することじゃないかしら。」「そうですね」と笑顔の貴音。続けてプロデューサーも「千早達の言う通り、今は美希のことは俺に任せて、練習に専念してほしいんだ。いいか?」と言います。
●「はい!」とそろって返事する一同なのですが、ここで声にあわせて後頭部動く7人に対し、言い出しっぺの千早の頭だけが動きません。一瞬映るプロデューサーの苦い笑顔、状況の悪さ。
●続けて真の明るい声に重ね、笑顔の雪歩・やよい・春香に対し、千早のみ無表情の伏し目、というカットが入ります。千早もまた自分の発言が取り繕いだと自覚している。しかしプロデューサーを見ていた身として、事情を察した発言をしたわけです。春香のみが、そんな千早に不思議そうな視線を向けて気にします。
●お魚屋さんにいる美希。携帯電話にプロデューサーからの着信。事務所をぐるぐる歩いていたPと、ひさびさに言葉を交わします。勘違いを謝るPに「もういいよ。でね、美希、なんだかもうやる気がなくなっちゃったの」と美希。Pは語気を荒げて、「お前一人の問題じゃない!一緒にやってるみんなはどうなる!」「わがまま言うんじゃない!みんなに迷惑かけるのか!」と言いますが、美希は「バイバイ」と電話を切ります。
●終盤の展開ふまえてると、この時プロデューサーの発する「みんな」という言葉のまあ軽いこと。ただ、美希は「みんな」と関係なく一人で出ていって戻ってこれるキャラクターである、というのもまた正しいんだよなあ。
●「美希のやつ…」と一人ごちるプロデューサーに「今の言い方、かわいそうじゃないですか?」と声をかける小鳥さん。美希の受けたであろうショックに理解を示します。反論しかけるPにやや強い口調で、「美希ちゃんは15歳の女の子なんです。間違ってるとわかってても、感情的に動いちゃうことってあるんじゃないでしょうか?」これは説得力あると思う。大人な年長女性、音無小鳥の見せ場です。ようやく反省し、うなだれるP。相手は感情ある人間、女の子ですからね。
●ライブ用衣装の試着。前回の新曲視聴の時もそうでしたが、嬉しそうなアイドル達見て笑顔うかべる小鳥さんはよいなあ。入室してくる竜宮小町組。真美の衣装をほめる亜美、とこれは6話との逆転ですね。
●美希の不在を不審がる伊織、静まる一同。ここで、一瞬ぎゅっと目を閉じ、ぐっと両の手握った春香が「はいっ!」と挙手します。「じゃあ私が代わりに試着しまーす!」という明るい声に、なごむ一同。この時点でもう、春香は意識的に場を明るくしています。そんな様子をほほ笑んで見ていたプロデューサーも、険しい表情に。
●挿入歌。美希さんぽ。8話のグラビア効果は健在の模様。自身のインタビュー記事に表情輝かせる美希ですが、竜宮が表紙の雑誌見て沈んだ顔。ステージ衣装が届いた、というプロデューサーからのメールに嬉しそうになるも、ハッとして首振って怒り顔。このメール文面、「(衣装を)見に来いよ」という言い方はツボ押さえてますね。
●ライブステージを確認している律子とプロデューサー。あいかわらず美希とは連絡とれず。「でも、俺は美希にも絶対にこのステージに立ってもらいたいんだ」と真剣な顔のP。三階まで見える空の客席。
●タクシー移動中の律子とプロデューサー。携帯を気にしているPに、「あとの予定なら、私と小鳥さんでやっておきますから」と美希を探しに行かせる律子。時期的にわざわざ探しに出歩けないほど忙しかった、というのはあるか。
●よく見つけたな!
●街頭インタビューを受けている美希。アカペラ歌うのは彼女と千早。4話の千早のそれとは、だいぶ雰囲気異なりますが。
●逃げる美希、追うプロデューサー。さっきのアカペラを「あんなの全然楽しくなんかないよ!」と言うのは、千早と共通してるかも。追いつき、腕をとり、ひとまず頭を下げて謝るP。「怒らないの?」という美希の問いかけは、やはりそこが気に障ってたわけです。「今までお世話になりましたなの」と頭を下げて歩き去る美希、ついていくP。
●ダンスレッスンルーム、車座の8人。もし美希がこのまま来なかったら、という話題に。春香は「ねぇ、やめない?もしもの話しても不安になるだけだし…」と言います。彼女がこのような拒絶の態度をとる場面は珍しい。それだけ“みんな”とのライブへのこだわりがある、と言えます。「しかし、万一に備え対応を考えておくのも必要やもしれません」と反論する貴音は、前回といいこの輪の中では大人な役割。
●「そ、そんな!」とあせる春香の隣で、立ち上がる千早。「私は、今できることをやるべきだと思う。」嘆息する一同。珍しいですしね。「美希の事情がわからない以上、私達がそのことで動かない方がいいんじゃないかしら。」この言い方には、やや沈んだ反応がかえります。ここまでは序盤で千早の言ったことと同じ内容なんですが、それもつらく響く程、状況は切迫しているわけです。
●しかし、千早の続ける「私は、美希が帰ってくるまでに、できるだけライブの準備を進めておきたいわ」という言葉に、一同ハッとします。「みんな、美希を信じよう」と真。「そうだよ!絶対大丈夫だって!」と春香。「やれることをやるしかないよね」と響。千早が(後の発言にもあるよう)“プロ”として状況を動かす場面なのですが、みんなが反応するのは(いわば春香的な)美希を信じる、という側面なのです。そして24話で、もう一度“やれること”を選ぶ岐路が訪れます。
●美希とプロデューサー、コミュニケーションパート。アイドル好みのファッションを的確に選べる、というのはまあ理解と言えよう。上機嫌となるも竜宮小町のポスターにテンション落ちる美希。
●夕焼けと池と鴨。橋の上のプロデューサーと美希。最近の心境を「つらいこととか苦しいこととかあっても、それでもワクワクしたりドキドキするようなことをしたいって、そう思うようになったの」と語る美希。それを感じたものとして、竜宮小町に入れば「きっと、今の美希よりもっとキラキラ輝いた感じになれるって、そう思ったの」と言います。つまり彼女は竜宮というブランドではなく、自己実現が欲しいのです。
●ここでプロデューサーは美希に、「次のライブでみんなと一緒にステージに立って」歌えば輝ける、と言って、アイドルを続けるよう説得します。この考え方は、劇場版でも変わってないと思われる。「これだけは自信持って言えるんだ。美希も、みんなも、これからどんどんどんどん人気アイドルになって、キラキラ輝いていくって。一番そばで見てる俺が言うんだから間違いない。」夕焼け空を見ながらプロデューサーが語るこの言葉は、ああ、劇場版にて星空を見ながら春香に語ったそれとの対比だ。この先が「輝きの向こう側」なのだ、おそらくは。
●プロデューサーの“夢”に瞳を揺らし、ほほ笑む美希。「美希ね、みんなといっしょにレッスンしてる時楽しかったよ。ドキドキしてワクワクしたの。」これから一人で進む才能へと成長していく美希ですが、やはり原点にはそれもあったのです。ようやく「次のライブまで頑張ってみる。プロデューサーの言う通り頑張ってみる。その後は、美希にもどうなるかわかんないけど…」と宣言。その結果は次回をお楽しみに!指切りするのは雪歩と美希。
●事務所にて、仲間8人に頭を下げる美希。プロデューサーの謝罪と同じ図。「私たちそんな、何も気にしてないし…」とフォローする春香&隣で笑顔でうなずくやよいですが、「謝ってほしくない」と横から千早。慌てる面々ですが、千早は淡々と「それよりも、今は遅れを取り戻したいの。プロとして、ライブを成功させたい!」と続けます。笑顔でうなずき同意する美希。やっぱりこの三本柱だ。
●笑顔の一同。背景で会釈しあうプロデューサーと小鳥さん。竜宮の面々も帰ってくる。伊織の「あんた何やってたのよお!」という心配そうな声が印象的。「全員、そろいましたね!」と笑顔の律子。
●夕焼けの窓辺に立つ春香と千早。「ねぇ、千早ちゃん。もしかして、ちょっと怒ってなかった?」とかわいくたずねる春香。「全然。…て言ったら嘘になるけど」と返す千早に、ただほほ笑む春香。千早のそんな面も受け入れる、というのが春香なのだよ。
●「でも、私も春香と同じ。次のライブ、どうしても成功させたくて!」とほほ笑む千早。春香の顔に笑顔が広がり、「うん!」と大きくうなずきます。「絶対成功させようね!」二人で見つめる、ライブを成功させる仲間たち。そのライブへの想いはそれぞれ異なる形である、という話でもあるのですけどね。
●エンディングへ。社長の習字は先週に続き「一歩」のまま。ステージ衣装を着た美希の笑顔で本編は幕。
●のんびりしてた美希が、決意の表情で光の中のステージへ、というエンディング絵コンテ。
●次回は。ついに。13話。しかし予告映像、いっさいライブシーン流さないんだよな、流石。



…というわけで。本放送終了より2年9ヶ月、劇場版公開より8ヶ月、ようやく私の「アイドルマスター」感想も全話終了と相成りました。
ひさびさに読み返してみたら21〜24話のクライマックスについては熱入ってるのも当然として、18話(律子回)の気合いの入れぶりに我ながら驚いた。いやはや。