週刊少年チャンピオン2018年20号

  • 表2は単行本広告かー。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/ようやく連載移籍前に話つながったって感じかね。軽いな、しかし。

板垣巴留BEASTARS』/いいねえ、熱い青春だね。エルスの啖呵が気持ちよいなあ。VR使って自分をいやらしくまなざされた()から彼氏と別れる、みたいな聖母幻想ひきずったヒロイン観丸出しな作品とはえらい違いだ。ビルについては連載続くにつれキャラが成長した面もあろうが、だからこそここまで読んできた読者にとっても“リアル”なわけで。光も闇も描かれる作品だからこそ、清濁併せ飲む覚悟と意志と情がまぶしいわけで。新聞の掲げる文章も頭いいし(笑)。あと野球文化存在するのか、草やきう。

●原作・板垣恵介、作画・山内雪奈生『バキ外伝 疵面』/連載再開、といっても今回は挿話というか代原というか。一般人相手にどうこうはいいだろ、もう。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/いや、社会生活とけ込んでるのかよ、えらいな。作品当初の内面ないからこそのスラップスティックノリが楽しかった身としては、この点目と直接的奇行の絵力で笑わせにくるのは希望の星なのかキッス姉さん。

●中村勇志『六道の悪女たち』/乱奈さん年上だったんだっけ。チャンピオンでタクシー運転手といったら手塚治虫の『ミッドナイト』という作品がですね。

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/普通にホラーなのでは?

平川哲弘『ヒマワリ』/露骨にデレだな、おい。

●水森崇史『太陽のマウンド』/露骨に手の平返しだな、おい。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/おもしろいしすげえ上手いんだけども。ここまで構造としてのギャグの地平ひた走られると、もはやギャグマンガですらキャラ萌えメインでしか消費できない今時の読者層とかどう思うんだろう、てのもね。無用でしょ、キャラの内面。作れるでしょ、構図と背景でテンポ。

桜井のりお『ロロッロ!』/そもそも食の喜びもないロボ娘が、このような形で人の形に沿ってしまう悲劇というのもSFかもしれん、違うかもしれん。

荒達哉『ハリガネサービス』/まあつながるだろうとは思ってたけれども、負傷かあ。ここ勝っても2セット残ってるんだけどな。相手の技を使うことを「ホセ・メンドーサ戦オマージュだな」と言う者はいないのか(いないよ)。主将はここまでくると、チートキャラだから試合に出せなかったのかという気も。

増田英二『週刊少年ハチ』/初めて発した声がこの内実、というのがいかにも増田作品。同じパンダでもゴウヒンさんと比べちゃいけない。心象で着ぐるみ脱げるのは弱ペダのヘルメットメソッドでもあるな。作品批判はね、少なくとも私が“作者のため”という意識で書いたことあるのはエロマンガ雑誌のアンケート欄くらいだ(真顔)。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/球道バント、得点。逆転か延長か。(結果はわかってる。)

木々津克久『開田さんの怪談』/日常ガジェットオチから逆算で作中作つくるのも大変そうだな。バグじゃなくネタとして仕様の裏技だろう、これ。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/母親かなあ。曽田正人作品を引き合いに出してきた身としては、『MOON』での母親との対面思い出しちゃうけど。

●川地和樹『タナベと先輩』/読み切り。初見だと読みにくさが目立つが、時間軸の切り取り方に工夫が見られる。なんか類似パターン増えてくると、『からかい上手の高木さん』の守ってるラインというものが見えるね。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/ジンメン…。あ、この巨人が例の兵器なのか。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/相手を座らせる、という自負。

週刊少年チャンピオン2018年16~19号

※16号(3月15日発売)

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/新連載。表紙刷った時点では新タイトル未定だったのかな、と思ったが巻頭カラーにも載ってるか。/6年生女子という異形。まあほら、ガキの世界のギャグ領分に性的存在としてのオンナは必要ないものだから。ただなあ、13号に載った桜井のりおとの対談での大人の世界の手前って話や、前号の大人の男女が子供レベルの遊びしてる読み切り見ると、その辺りの自覚からあらためてこういう振り切り方みたいな、意地めいたものにも読めるのよね。あえてカラーで小汚なく描いてくるキャラの未来像(ウソだけど)とかさ。あ、あと本田。

増田英二『週刊少年ハチ』/まあねえ、稼業として漫画家の道を選ぶ、ペンの力を信じる、というからにはそれなりの自意識や業は必須だろうけれども。

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』/そういうウェットな面もやるんだ、オチの前フリとはいえ。見せ方も普通に上手くなってるしな。じゃあ『ロロッロ!』の方が徳弘正也における『ターヘルアナ富子』なのか。(わかりにくい)

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/巨大花粉。世の中には花粉を女体化したエロマンガだってあるんだ。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/センターカラー、巨大生物とバトル。ダイナミック構図といい、さくっと決着つく展開といい、読んでて気持ちいい。

板垣巴留BEASTARS』/真・異種格闘大戦、もとい捕獲術。ディティール解説つきのバトル描写は燃えるね。そして再会。冒頭で匂いに対するモノローグ出しておいて、この状態・境遇にあるからこそ気づけなかった、という。

桜井のりお『ロロッロ!』/音声はテキスト化して送信、テキストは音声化して受信、と機能としては存在するものではある。ここでは人型ロボットだから、というネタの構成になるのがすさまじいけど。食卓に同席してもちとせのご飯しかないのは割と寂寥感、からの友達発言でほっこり、からの安定のひどさ。

西修『魔入りました!入間くん』/「注目」と書いて「カリスマ」とルビをふる語彙レベルの作品で、理想と野望は違う、とか意味不明な説教読まされるのも普通にイラッとくるな。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/殿馬の連続秘打、しかし捕られるかー。ちょっと前の岩鬼の空振りといい今回といい、ミスの方がいきいき描写されているように見える。拮抗してるから描いてて楽しいのかねえ。オノマトペ勝負の感も。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/おお、ここでこの相手とぶつかるのか。熱と意志を継ぐからこそ止まれない、というのはなあ。『真田丸』にも似たような面あったけども。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/建築系吸血鬼再び。何パターンくらいバリエーション作れるかな、とそういう目線よくない。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/虫の影武者…。作風違ったら死体とか利用してそうな単語ではある。女子供というくくりにちょっと笑った、対してダンディズムではあるのか。




※17号(3月22日発売)

板垣巴留BEASTARS』/2号連続表紙1回目、巻頭カラー。「文化庁メディア芸術祭賞マンガ部門新人賞受賞!!」人気投票2位がハルか、ちょっと意外。/尻尾!歓喜!狐と油揚げという小ネタもであるが、民話っぽいがゆえに効果的な表象でもある。

渡辺航弱虫ペダル』/「にくまっしぐら!!」というセリフが同じ地平に立つことを意味するのか、そうなのか。

増田英二『週刊少年ハチ』/そういや美大でヌードデッサンの授業あるのは18歳以上だからか。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/おなじみ花粉症ネタ回、しかも今回はあわせて刃牙ネタ回。緩急というか、勢いの瞬間として読ませる構成は技術だねえ。しかし大笑いする勢いでソファ引き裂く勇次郎なら、クシャミでこれくらいの被害も出すのではって気も…あ、例の全身血管でこらえる?

平川哲弘『ヒマワリ』/甘いもの好き。プリンの因縁はそこか、アニマスオマージュじゃなかったのか。(でしょうね)

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』/なんかほのぼのラブコメっぽくまとめた!あんな汚い出発点から!

板垣恵介刃牙道』/そういう理屈もいいけど、烈先生の立場は…。

桜井のりお『ロロッロ!』/真面目な話、猫カフェで問題視されてるのは老猫の扱いの方だよな。パンクなオチだ。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/達観してしまったか。強者の特権というより、バトルマンガ文法を生き方にまで位置づけた、物語としての宿命であり業だわな。刃牙における“強さの最小単位”という理屈は、その意味では余地でもあるわけで。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/山田捕られる。あと、「うおおおお」と筆擬音のぶつかり合いに挟まるベンチ反応のコマがちょっとおもしろい。

→ああ~(ゴシック)、づら(ペン字)、やば~~(フォント)の三様。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/三つ巴頭突きはいいね。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/忘れられていた脇役パターン。ケラと地下でバトル、と生態と合わせているのか、一応。

●伊科田海『GREAT OLD~ドラゴンの創り方~』/最終回。なんかとっ散らかっちゃったなあ。

小沢としお『Gメン』/卒業式。童貞喪失つながりで回想ターン入るのは、連載開始当初の主人公の目的がそれだったからか。話畳む前に各キャラそれこなしたのは律儀っつうかなんつうか。





※18号(3月29日発売)

渡辺航弱虫ペダル』/新開と小鞠の方は勝負の大勢に影響なさそうだが、肉に触らせない、この場に引き留めることが目的としては正しいか。

板垣巴留BEASTARS』/挺身であり意志を継がせようとするルイに対し、捨てない・あがく者である所のレゴシと。いい主人公だよなあ、やっぱり。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/何この熟年イチャイチャ夫婦。エイプリルフールネタだけど数日後オチ(内容はいつもの)。

増田英二『週刊少年ハチ』/リツイートでなくいいねという点に意図があるのかどうか。確かにこの作者の作品は、おおっぴらに語るより個人でひっそり楽しみたい芸風だが。(※個人の印象です。)

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』/萌え4コマフォーマット、タイトルデザインを別に用意する点が細かい。没案かな。チャンピオンでこれやってるのベルリンは鐘なんだけど。女子が男子に向ける視線の嫌悪or無感情ぶりがいい。(いいの?)以降はチャンピオンクロスで連載。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/この設定は後付けかとは思うが、上手いこと因縁とドラマを織り込んできたな。キャラの成長というやつか。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/シーニャさんは昔も今も救う役。(いい&ひどい)

桜井のりお『ロロッロ!』/何重のすれ違い関係だこれ。

●水森崇史『マウンドの太陽』/そもそもの話の筋が止め絵並べてるだけで構成の体なしてない所に、解説を図と文章でだらだら挟むって、これはなあ。初連載の作者よりも、編集側の指導力のなさが問題では。

小沢としお『Gメン』/最終回。『クローバー』に続いて(?)結婚式エンド。アフリカ行きはなんだ、80年代アウトローの系譜か何かか。ストーリーライン準備してた前2作が打ち切りでこれが続いた点に思う部分がないわけじゃないが、楽しい作品であった。お疲れ様でした。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/1匹ずつなら強いのか、という敵のセリフ、逆に考えれば当初から乱戦描写の巧さをメインにしてる作品ってことだよね。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/寄生能力。グロ描写メインの作品じゃなくてよかった。(うっかり描けちゃうでしょ、この人の画力なら。)意志の力でやることが土下座というのも美学ではある。

石黒正数木曜日のフルット』/生物兵器ってやつか。


  • 読者プレゼントに「シルバー2425」があって、そういえば沼田純先生が巻末コメントで、シルバー事件25区はいつDS移植されるんだ、とぼやかれてたことあったなあって。

  • 『開田さんの怪談』の予告文、甘酸っぱいじゃなくて「甘く酸っぱい」なのがなんつうか。あと一方的受けで「せめぎあい」じゃねえだろ、高木さんじゃあるまいし。(しっ)




※19号(4月5日発売)

板垣恵介刃牙道』/最終回。全編が次シリーズの予告ナレーションで締めって。何年か前、相撲中継の観客に板垣先生映り込んでたって話あったよね?武器なし、ノールール、概念、と諸々の“強さ”を描いてきて、改めてそれを問うとしたら、超限定状況下でのそれにディテールやフォークロアとしての“リアル”も復権させつつ…みたいなことかねえ。ひとまずお疲れ様でした。

板垣巴留BEASTARS』/きっついなあ…。結局肉食側に抑制強いることで成り立つこの世界の歪さ、という話でもあるわけで。レゴシが(目隠しされて)リズに襲われた際テムのこと回想してたけれども、二匹共に等しく見せていたその態度が異なる結末を、という対比であり悲劇で。1話冒頭と比べると、リズの回想は途中から幻覚で、それすらリズは自覚してしまったからこそのこういうモノローグ、という読み方でいいのかな。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/えー、あっさり。新規読者用の世界観解説役なだけのキャラだから、もはや用済みってことかいな。

渡辺航弱虫ペダル』/いや、その程度の鉄道知識は普通にあるのでは…。これ系の条件付き勝負は言い出した方が負けフラグの予感しかしないぞ、さすがにもう。

安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』/入間くんとかこれとか見ると、豹変するとかわいいヒロインてなベタ展開も画力なきゃやらない方が正解だよねって。

木々津克久『開田さんの怪談』/連載化。なんつうかお題もらっての創作落語、からの落語マンガ、みたいな二重構造じみた設定ではある。小道具を各種準備してるかと思うと入念だ、たいしたS気質だ。『フランケン・ふらん』の新作とか話してくれませんかねえ、本物のSFマンガを見せてやりますよ、とか言って。(言わない)

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/VTuberネタ、というかVTuberってこんなんなのか?ゲームキャラ風2次元ヒロイン(胸部)という人選で、そもマンガ表現でやるなよ、というメタネタながら。作者ツイートによると、最後のネタはオチが文字抜けであるそう。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/才能を越える努力=それだけ強烈なエゴイズム、か。『め組の大吾』言うところの、一度も疑うことのなかった者が夢を叶える、にも近い思想。

桜井のりお『ロロッロ!』/なんか不条理じみてるけどネタ元あるのかこれ。機器に桜が入ってきざくら、とか(適当)。

増田英二『週刊少年ハチ』/そもそも合作というのがハードル高いよなあ。まんが甲子園的な作品…もまた違うような。メンバーの質自体は、うん、まあ。

●中村勇志『六道の悪女たち』/そりゃそうなるよねえ…。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/里中相手にフォアボールで出塁。やっぱり明訓陣の苦戦をば楽しんで描いている印象。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/ボートの天井を橋桁にぶつけて外す、というアクション的見せ場が、同じ誌面の浦安鉄筋家族での、バスの天井をトンネルに突っ込んではがす、というギャグと微妙にかぶってしまうという。それもギャグマンガ的にはおいしい、多分。刑事(デカ)が駝鳥(ダチョウ)でやって来る。

西修『魔入りました!入間くん』/応えるのは読者の期待じゃない、信者の欲望だ、なんてな。

荒達哉『ハリガネサービス』/最後のアオリ、「万事休す」は間違いだよね?

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/決めポーズじゃなくて自動追尾だったんかい。新キャラはまたインパクトある登場で。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/根っからの悪人出てこないのは世界観もあるけど、やっぱり実在した武将の扱いとしてしのびないのかねえ。

石黒正数木曜日のフルット』/こういうネタの原形もまだ通じるもんかな。タイトルカットは山伏装束なのか。

ハルタ 2018-FEBRUARY volume 51

※先々月号です。


  • カバーイラストは宇島葉。擬人化ネコが氷上にてマス(?)釣り、そして本の帯を外すともう一段仕掛けが。こういう所がちゃんと“漫画”、カートゥーンなんだよなあ。
  • 帯裏マンガ、丸山薫『図書室のキハラさん』は節分ネタ。こちらもさすがのレイアウト活用。



●設楽清人『忍ぶな!チヨちゃん』/忍びのお仕事編。とはいえ、いつものコメディ路線なわけだが、まあ真面目に展開されても困るか。

福島聡『バララッシュ』/『ローカルワンダーランド』中の二人とは設定異なるのか。最終回も1話の「大団円」と全然違ってたりして。/主人公二人の出会い、というか物語的には始まってもいねえよ感。コマ割り自体は端正なのに、絵面の構成として見ると色々仕込まれている芸達者ぶり。フォーマットとしては普通だが、という部分で、“映像”として読ませる意図にも見受けられる。いちいち凝っているオノマトペの面白さも、マンガ表現における“消えもの”として、あくまで目立ちすぎないように描かれている印象。時代設定や風俗考証の面でも作者としては挑戦作になるかな。

樫木祐人ハクメイとミコチ』/動物が作物生産者で小人の八百屋にのせられる、という図もメルヘンらしさではあるかね。これ多分、アニメの方のチェックしてて出来たエピソードだよなあ。あっち(つまり過去回)ではキノコ投げまくってたし。

森薫乙嫁語り』/絵物語で冬の光景。堀ごたつは作れない。

●川田大智『彼女はお義父さん』/付着した細胞の状態如何ってことかしらん。つまり精子だと略。

佐野菜見『ミギとダリ』/目的に対するコストパフォーマンス悪すぎ、という点はギャグでもあるんだろうけど。この展開で引っ張るのかねえ。

●大槻一翔『欅姉妹の四季』/無感情と閉鎖性と記号でしかないエロ、という虚無ぶりに、安部真弘は8ページで相手がチャンピオン読者だからシャレで済んでるんだぞ(真顔)、と思ったが。これあれだわ、顔並べる構成とか芸風とか森や入江を真似ようとしてこんなんなってんだわ。あのなあ、あれは空間把握も構図も人体も描ける作家だからこそ許された演出であり手間であり表現なのよ。見映えごまかす手段じゃねえのよ。

●仁科彰太朗『君の前ではいつも赤鬼』/読み切り。ラブコメ。とりあえず、ものすごく読みにくい。


→作者も異なる全然別の作品に対して以前こんなツイートしたことあるが、同様に脳内映像ピックアップ並べられてる感。読者にどのように読ませるかという意識に乏しく、構成が見にくい。/一方で、キャラの身体描写の表現はデフォルメ含めこなれてるし、ロングとアップの切り替えによるテンポの転がし方もいい。つまり、話の筋は追えるしコマ単位での見映えはあるのでそれなりに読めるが、構成の技術がないので無駄とムラが目立ってマンガとして見にくい。色々ともったいない作品である。
/で、ハルタ編集部の作家育てる能力のなさ、絵柄と雰囲気しか目に入らない読者への迎合ぶりについてはこちとらいい加減察してるんで、この作家もしばらくしょうもない使い潰され方しそうだな、としか思えず。しばらく、と書いたのは、その内作家が自分で省略も視線誘導も会得して勝手に成長してほしい、という期待。

九井諒子ダンジョン飯』/マナーの悪いケモ娘が新たな仲間に!ファンタジーの定番!(そうか?)連載もだいぶ続いた上での新メンバー加入の際に、物語の流れとして、モンスター要素、魔術要素、食事要素、と従来のキャラとの接点属性しっかり仕込まれる点がよい。耳がいいのでは、という点も残るチルチャックと探索要素でつながりそうだし。
/緊張状態における設定解明、本作の異色さたる料理場面、食事のマナーの悪さでコマ構成の破調、バトル、新展開、と今回もよい緩急。紙製の魔物による自動攻撃というのは、絵による魔術と通じる要素だろうか。空中からの斬撃を描写する構図と構成も凝っている。ジョジョのシアーハートアタック戦における電気コンロを連想するなど、こっちは活用されているが。鍋は包丁より強し(意味不明)。

入江亜季『北北西に曇と往け』/会話の見せ方としての構成はすごく巧い。話は全然進まない。

●山本和音『星明かりグラフィクス』/表現主義VSマーケティング、という構造ではあるのよな。消費者としては選択肢が両方あるにこしたことないわけだが、発信する側は偏屈なまでに懸命で。

●冨明仁『ストラヴァガンツァ~異彩の姫~外伝』/こうして見ると、やはりアクションシーンの読ませ方はすごく上手い。読者の視線をどう誘導してその視界上にどう絵を入れていくか、ちゃんと考えられている。キャラとしてのマオはツマヌダ格闘街に出てきたアニメーター格闘家にも近そうだが。

八十八良『不死の猟犬』/うーん、この回のラストで逆転やショックを感じる読者というのは、つまり白雪姫まわりの展開すっかり忘れてるわけだよなあ。想定してる読者のレベルがそこだというなら仕方ないけど。

近藤聡乃『A子さんの恋人』/A君編。思えば交わされる言葉が主眼となる本作にあって、“翻訳”という行為がいかに描写されていくか、は重要なのか。今回の最後にA君が興味持った(やけくそ?)漢字という要素もまた。「第一稿」という章題すら、ものものしさを感じる。
/コマをまたぐ、もとい枠線により分割されたオノマトペ=笑い声というもののたどたどしさ(「わはは/は」「ふ/ふふ」)。左右のページで同位置・同形・同構図内を、「ウロ ウロ」する人物=現在と過去の対比。A君がエンパイア=高いところに誘った際のA子の反応は、A太郎と東京タワーへ行った過去との対比でもある。結果的に過去に励まされて行動へ、とA君の中では好ましい流れだが。
/ニューヨークの背景の中、回想との対比で孤独をかみしめるA君、とストレートに切ない描写もある今回。ちなみに作者の別連載では、この回(と作品作りについて)の裏話がなされている。


→本作中での回想と、『ニューヨークで考え中』における作者の想像との、アングル=視点の差もまたおもしろい所。
      
/ラストでA君の妄想?として登場したネコは、A子のクマ人形と同じ目をしているが、さて。

●高江洲弥『ひつじがいっぴき』/服装のラフさと接近してるイメージが故なんだけれども、なんかアラコータの体でかくなってない?設定あわせて星新一の「お地蔵さまがくれたクマ」連想しちゃう読者ですまん。

●緒方波子『ラブ考』/あんなに一緒だったのに。

中村哲也『キツネと熊の王冠』/作者の自転車好きの方が出てるぞ。14ページ目、自転車のタイヤが溝にはまる描写を、ページ右下に位置する縦に並べた二コマ内でやるのが巧い。

→ページ上部では、自転車で並走する二人の上半身&上からの構図を描き、それを追った読者の視線がページ下部へ、左上から右下方向へ移動するのとリンクして、構図も自転車の下部のアップへと切り替わる。「ザリッ」を読み、タイヤが右下方向にずれるのと「ドスッ」を読む。その描写を下方向に断ち切られたコマ内で見て、次のコマはまた人物上部。こういう効果的な構成が好みだ。
/この見開きからページめくっての1コマ目、上と右に断ち切りのコマ内で右上・右下・左上に物描いて視線泳がせる構図とか、ラスト1ページでの、外から聞こえるオノマトペ→近づいてくる吹き出し入りのオノマトペ&記号→セリフ吹き出し、で表される人物の接近も好きですね。

●サワミソノ『丁寧に恋して』/隔号連載化かあ。まあ好きな作品なのでじっくりやってほしいもんです。新キャラの方はなんか展開ぶれそうな感もあるけど。

●志岐佳衣子『すずちゃんとしろくん』/読み切り。足フェチ?

●菊池まりこ『公安部特異人種課56』/最終回。うーん。やっぱり今回読んでても、愚直な吐露の描写でこう、感じ入らせる部分があると思うんだよな。前作もそうだったけど。

だいらくまさひこ『グルタ島日記 大麦畑のジョディ』/読み切り146ページ、ひさびさの登場。前半の冒険展開で作風変わったなー、と思ってたら、後半のロストテクノロジー&記憶の再生というモチーフでしっかり繋げてくるという。映像から作画に。主人公もその際は、以前の主人公と顔つき近づいてる気がする。むしろ前半はハルタ作家にありがちな絵柄に溺れてる感で、物語としても後半メインでしょう。




週刊少年チャンピオン2018年15号

渡辺航弱虫ペダル』/「ビュッフェ!!」てほとんど浦安鉄筋家族のノリだよな、もう。

板垣恵介刃牙道』/今さらそんなこと言われてもなあ。だからまあ再三言ってるけど、シリーズ通して時代における“リアル”とおはなしの相克の中で翻弄され続けてる作品ではあるわけで。つまり『バキ』編アニメ放送前に、「ルール」に負けた、という物語やったわけよね、こっちは。(その意味では「親子喧嘩」という脈絡は“安定”をもたらしてはいた。)

浜岡賢次『先生―!〆切ですよ~』/読み切り。漫画家と編集者によるほのぼの日常ギャグというファンタジー(偏見)。あと編集長先代じゃねえか。

平川哲弘『ヒマワリ』/逆に前作では、バックの芸能事務所かさにきたクズ野郎出てきたような…。

板垣巴留BEASTARS』/単行本の方で言及されていた、異種間でも子供できるって設定に関わる話か。このタイミングで明かされるのはドラマツルギーとしてどうよ、という気もしないではないが。ルイとの対比にもなるわけね。

桜井のりお『僕の心のヤバいやつ』/新連載、というか実質出張掲載。中二病的モノローグから一転、翻弄ヒロイン系だったのかよ。大食いアホかわいい。

増田英二『週刊少年ハチ』/あれでしょ、理不尽な編集者に遭った時の訓練とかそういう。作風からのぞく作家の人格云々は、表現主義の世界であり個人の生身の領域だからこそ見れる読者はいちいちアピールしないよなあ。むしろ安直な芸風にほいほいのせられる読者ほど共有だの承認だの求めて、凡庸な作風を繊細だの先進的だの深いだのエモいだの言って自己正当化(笑)したがるでしょ。

桜井のりお『ロロッロ!』/すぐ脱ぎたがるキャラというと、チャンピオン的には覚悟のススメとかが連想されますが。あと冒頭で「ロボットだからね!!心がないんだよ」と言ってますが、チャンピオン的にはアトムは悪い心を持たないから完全ではないと言ったスカンク草井のカメオ出演したブラック・ジャックの略。

安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』/幽霊ネタ回で指の描写あちこちおかしいと、心霊写真的演出か?と思ってしまう…わけがない。なんでこんなミスするかといえば、描く際に体勢や構図という要素は考えず、パターンの流用で済ます雑な作家だから。いつもはキャラ自体大して動かないし、手元までコマに入れない(顔のアップで済ます)し、動作自体パターンの範疇だが、今回は特殊要素入って別パターンの動作増したので、その拙劣さが目立つ。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/扉絵の「野球はツーアウトからだ!!」というアオリで、延長戦入ってるのに言うかあ、と思ったが、ここで逆光白丸目で描かれている沖田がしれっとブラフによる出塁&さっくりアウト、という処理見て、変わらんなあと。

●森田将史『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/役者やの~。吸血鬼ぶりでは吸死や六道より上だな、行動まんまだし。かつての敵が、な展開くるか。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/双方満ち足りた顔であるが、なればこそ、スポ根・熱血としての少年マンガ文法の物語はここまで、とも読めるわけで。親父からの因縁も綺麗に完結見せたし。

西修『魔入りました!入間くん』/「注目」と書いて「カリスマ」と読ませるセンス、普通に不安を覚える。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/正味これ系のワンシチューエションネタは、浦安の方で技巧ふくめて確立されてるからなあ。で、そのぶん自分の武器がインパクトと顔芸だと自覚したネタにはちゃんとなってる。

荒達哉『ハリガネサービス』/超技術に対する精神戦ってことではあるのか。

●重本ハジメ『逆襲インフェルノ』/ドMつえー。お約束な逆転劇ながら、絵面がやはりカッコいい。


  • 別冊チャンピオン広告に読み切りで名前載ってる杉浦洸って『巨大魚』の人か。チェックしとこう。

週刊少年チャンピオン2018年14号

板垣恵介刃牙道』/……なんじゃそりゃあ。郭海皇理論的にはこれも「死」を扱う武の範疇なのか?いやしかし。親子喧嘩の勝敗が浪花節的表象からの文脈なれば、こちらはファンタジー設定からの論理的帰結ではあるかもしらんが、だがしかし。あるとしたら勇一郎みたいに幽体降臨かねえ。

渡辺航弱虫ペダル』/前回の感想で、京伏の道中は回想か、とか書いてたら、それすら無しでネタ扱いの1コマ処理っていう。ここまで扱いの格差に徹するのもすごいっちゃすごい。

浜岡賢次毎度!浦安鉄筋家族』/本シリーズ最終回。締めはやっぱり転校ネタ。考えてみれば、毎回子供の教室という空間を最後の題材にとってるわけよなあ。ハッピーエンドにおけるひどさのさじ加減。さらっと2、3ページ目の対比みたいな構成出してくる点が好き。

桜井のりお『ロロッロ!』/美術部……現代視覚文化研究会みたいな名目だったりするんか。

板垣巴留BEASTARS』/断罪ではなく、こういう形の状況維持になるのか。ゴウヒンの食殺犯への扱い描かれたのはこの展開に向けてだろうね。やはり草食獣でも角付きは胆力あるって感じだ。守るべき者がまた一人。

●中村勇志『六道の悪女たち』/10代なのかよ…。

森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/センターカラー。敵方の恐ろしい野望が!なんだけれども、それに対する自陣のおバカさという安心感こそが、おはなしとしては強みよね。

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/一つの罪を隠そうとして新たな罪が云々。

水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/延長戦突入。まあそうなるわな。

増田英二『週刊少年ハチ』/うむ、増田英二のマンガだ。1話の感想で、この作者の作品ならばいつかくるだろうと書いた「主人公のその善性がガッチリ物語に食い込む、展開の駆動力となり爆発力となるタイミング」だ。意地の自覚だ、ここからだ。それはそれとして、生徒減らしたら学校儲からないだろうに。

佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/決着、もとい決別だよなあ、ほとんど。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/下ネタひど過ぎて一部カットされたのかな、とでもいうような謎のページ調整感が。

西修『魔入りました!入間くん』/え、何、貧乳化?というか以前から印象はあったけれどこの作者、服の形態頼りで体型・人体構造がろくに描けてないよね。コマ内で動かす、配置と分節で読ませるそれ自体が描けないのなら、そりゃ構成も構図もろくに作れんわ。

●伊科田海『GREAT OLD~ドラゴンの創り方~』/あれ、学長?