先期アニメ雑感

備忘録的に。

先期、最も楽しんで見れた作品。ラブコメでみんな仲良しでいい子でかわいい、その延長線上のズレとしてあるギャグが大変おもしろかった。想像という行為は創造である。
同時に、この男女関係の成立が人生で一瞬の輝きである、というあすなひろし的脈絡もつい読んでしまって。その意味ではまごうかたなき“青春もの”なんである。ちゃんとときめいたよ!

二期目。相変わらず実験的つうか努めてなめきった世界でしたが、きっちりエンターテイメント見せてくれました。
好きな話は、ウクレレ男(信本敬子脚本でカウボーイビバップ6話風味)、海外ドラマ(歌いまくりミュージカル&ゲル生還)、魚釣り(クライマックスBGMの馬鹿熱い盛り上がり)、死の世界(幻想と衝撃の結末)、二次元&四次元(カッコいいじゃんよ)。最終回エンディングも映像と曲がすばらしくて、5分くらい見ていたかったなー。
個人的には、一期目はあくまで「死亡オチありのギャグアニメ」だったのを、二期目での言及・ネタ化により「様々な平行世界、というSF設定描くアニメ」にしちゃったのが秀逸だと思います。

ダンディ総監督でもある渡辺信一郎が原案・監督で、菅野よう子が音楽。こちらについてはちょっと期待し過ぎてた感は否めないが、それでもいい作品であった。
渡辺監督作品において、カウボーイビバップのラストでは鳩が飛び去る。坂道のアポロンのラストでは鳩が旋回している。で、残響のテロルのラストでは、二羽のカラスと一羽の鳩が飛び去った過去を前提に、最後に白い羽根が舞う。そういう作品だ。ビバップが終焉、アポロンが再誕ならば、残響のテロルのそれはかつて存在した、という表現である。「俺たちを覚えていてくれ。俺たちが、生きていたことを。」という言葉の、その“残響”なのだ。
テロリストを描くという設定については、映画版カウボーイビバップ「天国の扉」と共通であるともいえるが、天国の扉は、過去を失ったテロリストがそれを取り戻す話であった。残響のテロルは、過去すら抱けなかった者たちのテロルという叫びであり、それを通じて“過去”となれた、という話なのである。一瞬だけ輝く絆、というモチーフ。その印象は、やはり鮮烈であったのだ。

熱血青春スポ根。丁寧な感情描写、敵チームも含め皆が物語を背負っている世界のあり方に、胸が熱くなり申した。16話の道宮結と池尻隼人の姿に、目頭が熱くああもうすげえかったですわ、あの回。ぶち抜かれたわ、その真っ当さに。とうとい作品だ。

  • プリパラ

土屋理敬がシリーズ構成として参加する、という理由で見始めた作品なので、前シリーズとの関連等についてはさっぱりなんである。
ホビーアニメという前提でありギャグ要素強めながらも、児童作品としての王道を邁進する様を楽しんでおります。友情・努力・勝利!そふぃ解放よかったですよ。ああいう馬鹿の特権としての熱血たる“おはなし”、大好きなのよ。

太田雅彦、ナンセンスギャグ路線に復帰。本当くどい作風だな、この人は。全面肯定するには微妙だが、ちょこちょこハマりましたよ?(なぜか疑問形)

  • 暴れん坊力士松太郎

怪作。とりあえず最終回の投げっぷりはひどい、山松ゆうきちじゃないんだからさ。

2分という尺にギャグ詰め込むハイクオリティっぷり。



あとまあ『弱虫ペダル』と『まじもじるるも』で、渡辺航作品はその文法自体が映像化に向かないんじゃないか、という気がしてきた。というか私は、マンガの中でも渡辺航作品については特殊な読み方をしてたんだな、と自覚させられた。独特なんだよね、あのリズムと文法は。
いやでもなあ、音楽面での演出については、両作とももう少しこだわり見せてくれてもいいだろうし。それこそ太田雅彦監督で『ゴーゴー♪こちら私立華咲探偵事務所。』とかやったら、また違うおもしろさ引き出せそうだしなあ。



余談だけれど、ニッポン戦後サブカルチャー史も歴史のふり返りとしていい試みでした。コメンテーターとナレーションの存在が、例によって難ありでしたが。