「スペース☆ダンディ」8話、「アイドルマスター」21話、他

●なんかぎこちない進行の回だなあ、と思って見てたら、信本敬子脚本回だったのである。本作品の総監督・渡辺信一郎とは「カウボーイビバップ」「サムライチャンプルー」で組んだ“あの”信本氏。製作スタッフ発表時にその名前見て作品に期待寄せた私としては、こりゃみっちり鑑賞しなければ、というわけで見直しました。で、結論としては体力配分をずらすことで生み出されたカオス、という印象。
●そもそも予告で、「まさかの泣かせる話」とアナウンスされていたのがブラフである。いや、これもまた5話とは異なる文脈で泣かせる話にできたかもしれないのに、と思わせる余地があるのがミソなのだ。
●本編が始まると、いきなり星雲の画にテロップ「アンドロメダっぽい銀河」。すごい余分な感じ、調子っぱずれな演出、わざとっぽい。
●で、珍しいことにゲル博士からの入り。新発明についてビーが語り、ゲルが微笑み、絶叫し、安堵し、おどおどし、なんかリアクションぶりがかわいらしいのである。ここにきて信本脚本にて、初めて感情持ったキャラとして動かされた、てことでもあるんだが。請求書の画像もなにかのネタ?
●舞台のキカイ惑星。クズ鉄の山にテンション上がりまくりのQTに、カウボーイビバップのEDを重ねたり。そしてミャウが発見する冷蔵庫とその中の謎生物ですが、これビバップの「闇夜のヘヴィ・ロック」ラストで捨てられたやつですよね!あの全滅エンド回で!2回見るまで気づかなかったけれど!
●犬登場。ダンディの誘い台詞「お前さんメスだな、俺にはわかる、なんともいえないその濡れた瞳」。なぜそこでキザ。泣き真似して近づいてきた犬を宇宙人かと捕まえるも、犬だとわかると土下座して謝るダンディ。その顔をなめる犬、微笑むダンディ。いいムード。
●金色の野の中の兄弟。こいつらにはサムライチャンプルーの信本脚本回に出てくるアイヌを連想、というのはさすがに無理矢理過ぎるか。まあでも心象風景的にはさ、彼らはギャグにされちゃったけど。
●犬と遊ぶダンディ。いい曲調、ビバップの「Waltz for ZIZI」みたいな。QTのデータ確認時に映り込むゾンビ化ミャウ。メタギャグだのう。
●仲間になるワンコ。ダンディとミャウのやりとりひでえよな。ここもでも、ウェットなのよね、スラップスティックなドライさではなく。かわいいワンコ。
●再び兄弟。生き抜くために死にかけている大地から新天地を目指す、希望は捨てない、いやさシリアス。
●夕焼け。過去をふり返るワンコとあくまで能天気ダンディ。「世界中から嫌われて、誰もいない場所に捨てられちゃった」のは、ビバップにおけるあの冷蔵庫もそうであり、片や兄弟とは真逆の境遇でもあり。
●ワンコの語る、宇宙と「なんの為に生きてきたのか」というこの対比はすごくビバップっぽい。ダンディの開き直りも。
●死。このミャウの号泣はもちろん兄弟の方の伏線なんだが、泣く理由はハードボイルドかもしれん、違うかもしれん。
●いい曲だなー。
●巨大ロボ再登場。前回はほぼオチ要因でしたが、ここではちゃんと役立てるという。死体を宇宙へ飛ばす、というのでビバップの「ジュピター・ジャズ」を相変わらず連想する私であります。ここには置いていきたくない、てことなんでしょうが、そこも兄弟の設定と真逆になるわけだよな。
●唐突に歴史ネタ。しかし泣き出すナレーションといい、大がかりなネタ、でもあるのよね。
●うなだれてシャワーを浴びるダンディの姿に、ビバップ24話のフェイの以下省略。やっと見える表情が鏡の前で作る笑顔という、ここはダンディズムだな、素直に。
●発見されて逃走して戦うノミ兄弟。ドタバタ劇ですが、兄弟にとっては命がけ。ダンディのヘアメイクに巻き込まれ、兄のあっけない死。ワンコとのこの落差よ。
●この場面も、鏡の中の悲しげなダンディの表情が、髪をリーゼントにセットし始めると同時にいつもの顔つきに戻るんですね。つまり克己の場面でもあるんだと。その傍らの見えない死。風呂に入らないミャウから逃げたら、シャワー上がりのダンディに殺されちゃうという。いやね、意味づけ・深読みしたくなるのよ、信本脚本における人物の内圧は。
●ノミ弟に寄生されて暴れ回るQT。これもまた、ある種の活躍と言えるかも。ミャウも役立ちアピールしてくるし。またもあっけない死。
●また爆発オチか!と思わせて、意外!それはブラックホールッ!
●ダンディの女走馬灯に出てきてセリフを言う、最近出番のないスカーレットさん。やはり設定の再活用が目につく内容である。そして「妄想で回復」。どういうことだ、強いのか、メタなのか。
●あっさりワープで解決。ワープ空間でニアミスするゲル博士はお約束の死亡オチ。リアクションといい「なんたることおお!」の絶叫といい、やっぱり今回お茶目だな。
●そして、なんだこのオチは、お姉ちゃんスポットは。美少女を出せばOKだと思ってるのか!というツッコミ待ちなのか。楽しめる、思考遊ばせる広がりのある回でした。
●あと中島愛ラストアルバムのCMが流れて、ちょっとキュンとした。


●千早復活の報道と、高木社長、吉沢記者、小鳥さんの三人。この取り合わせは前回「約束」のエンディングロールで、765プロにて千早復活の報を聞いた三人でもあります。今回は冒頭でも終盤でも、裏方・大人としての立ち回りですね。
●イベントパンフ表紙に写真が並ぶ、新幹少女と765プロ全メンバー。並んだのだ。
●オープニングに新カット。千早、輝きの中へ!これは初見時、本当に笑みがこぼれてねぇ。嬉しかったなあ。
●イベント会場でトラブル。千早を一瞬気にして、みんなを引っ張る春香。Pへの笑顔は、この行動の背景でもある前回のやりとり踏まえてですね。(6話からの春香とPの関係とそこからの765プロ全体への作用、という構造が劇場版ふくめアニマスの核である、というのが私の見方。もとい泣き所。)
●みんなが千早を気づかっている。
●ひどいことするよなあ、黒井のオッサン。
●この律子のアイディア募集とみんなの盛り上がり方・落ち着き方も、成長だよねえ、やっぱり。竜宮小町は当初から実践していたことでもある。
●足で会話を見せる演出。
●千早の決意。熱い。それを受け入れるみんなも、また熱い。
●「眠り姫」歌い出しの直前に、劇場版来場者特典・眠り姫設定集についての告知テロップが流れるという。
●支えるものを思いかえしての、千早の決意の笑顔。「眠り姫」。ここも歌の力が爆発する演出の一つ。すばらしい。見守るみんなの泣きそうな笑顔がなあ、いいよ。
●千早の歌という到達点を背景に、黒井が決別される、という決着。この高木と黒井が出会い、対比される画、結構好きです。
●歌の終わりと、観客、Pとスタッフ、ジュピター、仲間の称賛。特に観客の反応については、たくさんの声援が個別に聞き取れる、というこのような描写は他にないはず。一人一人に受け入れられている、という演出が“復活”の表現として効いている。
●千早に「ありがとう」と微笑みかけられての春香の反応は、最終話でPに「頑張ったな」と言われてのそれとそっくりです。“できた”と自覚した、受け入れられた、とかいろいろ言えますが、春香的には一言「よかった!」なのでしょう。(だから劇場版のあの時の春香は、苦悩も混じってると思うよ。)
●いおちは。(違う)
●小鳥さんの歌。「大人のにおいがしますぅ」的展開。「歌う喜びは人それぞれ」とは、千早の歌唱シーンとの対比でもありますね。
●小鳥さんを見ての、復活した千早の「アイドルって、何かしら」。春香と美希と、小鳥さんの立ち位置。
●これ本当いいエンディングだよなー、と思ってたら、絵コンテはシリーズ演出の高雄統子氏。なるほど、音無小鳥という物語ですわ。よかった。



あと、「いなり、こんこん、恋いろは。」7話を見て、ああもうなにこの爆発しろぶりかがみふみをばりだな!(うふふ)と思ったり、「キルラキル」見て、ここしばらくメーター振り切りっぱなしだなすげえすげえよ、と思ったりしました。