月刊コミックビーム2014年11月号

三宅乱丈イムリ』/捕捉・殺害・回復・支配という攻防描写。ニコの夢は、デュルクが母の最期見たのと同じ仕組みか。悲劇がさらなる悲劇の予兆に。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/食への興味。ある意味“孤独”のグルメとは逆のテーマなんだよね。久住昌之の食マンガがプライドの領域なら、こちらはコミュニケーションに近い世界。折れない二郎はちょっとステキ。
イシデ電『逆流主婦ワイフ』/12ページでこの構成はお見事。猫マンガの新たな地平やもしれん。
山田参助あれよ星屑』/この劇中にあっての女性のたくましさは救いか。
松田洋子『私を連れて逃げて、お願い。』/ロマンと現実と、確かに恋模様ではあるのかね。作者もツイッターで公言してますが、小さな恋のものがたりパロディが。
鈴木みそ『ナナのリテラシー』/作家集めて編集者と出版社の役割を個人で、というビジネスも可能なんだな、もはや。紙の単行本は出版社、電子書籍は作家個人、と名義変えて出した件について編集側から言及させてますが、まあ現実はそうだよなあ。あくまで本作品が特例。新キャラは作品ジャンルに関わる話かな。
丸尾末広トミノの地獄』/宗教と見世物小屋、主人公の双子の別離、と異相が現れてきた所で第一部完。再開は来年初春とのこと。
須藤真澄『庭先塩梅』/玉迎えシリーズ中の一篇を別視点から。そりゃ気づく人もいるでしょうが、なんつうかそのお約束込みでのおはなし世界ですからな。じいさんの視界から描かれる家族の姿が抜群だな、どのコマも。
唐沢なをき『まんが家総進撃』/共同製作が常となってる出版状況では、そりゃ多少はね。それでも日陰の身、と言うしかない方もいるんでしょうなあ、やはり。
河井克夫近藤ようこ『蛍の僧都のこと』/河井克夫を原作とする、女性作家シリーズ連載。歴史もの、不思議な味わい。意味、とはなんぞや。
羽生生純『ジュウマン』/急転直下の突き落とし。消化吸収でなく同化?あるいは感染?
●市川ラク『白い街の夜たち』/女性の部屋というものの描写には縁遠い読者である。ベリーダンスへの偏見ってのはわかる話。
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/落語マンガ、て本当に落語してる描写のみの漫画だよ。パロディという形の創作落語、かつテキストとして絵としてこう開くってのも独自の表現である。
鈴木マサカズ『鼠、』/こういう結びになるのか。どうにもならない運命、という昔話の形。
竹本泉『シンリャクモノデ』/運んで来たのは侵略に入るんだろうか。心を侵略され、環境を侵略した、とかそういうことだろうか。そんなふにゃふにゃしたノリのまま、次回最終回。
●カリブSONG・田辺剛『コンペティション』/シリーズ読み切り。今回のネタはなんだかリバースエッジっぽい印象。歪んだエロスから芸術、て話はワルキューレでもやってますか。


  • 編集総長コラムは映画『TATSUMI』について。今月、辰巳ヨシヒロ短編集も出るとのこと。
  • 次号より、山川直人新連載。再びコーヒーの模様。