越智善彦『ドロイどん』65

  • あいかわらず雪景色の中、作品世界は続いております。

  • 今回は、ドロイドくんが「じゃんっ!!」とクジラ形態のなにものかを取り出します。上部に曲がった、横向きのパイプがついています。/で、次のコマいくと筆文字で「ボババババ・・」と音立てながら、クジラがパイプから雪吹いてます。除雪機だったわけですね、かわいらしいデザインの。

  • さらにその次の二コマ。俯瞰のロングショットの中、「ボバババ…」と前コマより小さいオノマトペとともに、除雪続けるドロイドくん。これ雪の下の地面カケアミですね、奥が斜線かけあわせで手前がなんていうの、木目タイルみたいな描き方で。背景奥の木の根元の雪が、同じ方向のが溶け残っているとか、その辺の描写がいいんですね。
  • でまあ、うず高くつまれた雪に気づき線の漫符がついて「じゃーん」て感じでしょうか。ひなたちゃんの「パチパチ」という拍手に、ドロイドくんが片手上げて応えてるってのがくすっときます。どういうコミュニケーションだ。そしてこのコマではすでに、「ボバババ」というオノマトペは省略されているわけです、ことさら意識されないものとして。

  • で一段とばしてクライマックスいきます。ドロイドくんに「ピトッ」「ピトッ」と虫がはりつきます。このコマの背景見ると、ああ漫符と黒ベタってこういい描き方でいいんだ、と思えます。紙とインクだよなあ。
  • で、驚いたドロイドくんがパニクるわけですが、ここで「ボババババ」です、またデカい字で。大きく登場した擬音「ボバババ」が小さくなって消えて、またこのコマででかでかと登場するわけです。衝撃のぶり返しですね。1ぺージ連載、一枚の絵の中だから表現できるおもしろみ、ともいえるんじゃないでしょうか。