ハルタ 2015-MAY volume 24

  • 表紙絵&カバー・ストーリー一枚絵は木村みなみ。表1&表2で夢オチ、なるほど。“元”にない鯉のぼりが5月のトレードマーク。

佐野菜見坂本ですが?』/ホームドラマな回。男二人の美学で友情で、カッコいい話じゃないですか。ハヤブサ先輩の坂本への反応がギャラリー一辺倒じゃないからこそ、キャラクターとしては対等なのよね。そういえば作中の季節はゆっくり進行中なんだな。
●高田築『ひとふとみ』/新連載。ボーイ・ミーツ・ガール、王道な学園モノという体で正直意外。先生だけは雰囲気ぶち壊し枠を歪めるミュータントぶり発揮してますが。構成で読ませるんだよなあ、やっぱり。
西公平『ゲス、騎乗前』/このずっこけオチ成立させるのも技術よね。
九井諒子ダンジョン飯』/扉絵はファンタジーな髪型の編み方。ダンジョン内の水とは進行の障害、そして洗顔用(ひげもそるのか)。ケルピーにはPS版カルドセプトでお世話になりました。今回はライオスが冷静、て経験上かよ。魔物への想いと人間同士の情と。
大武政夫ヒナまつり』/友人の危機にこれまで隠していた能力=正体を見せてしまうという王道展開も、この世界ではギャグの前フリ。
森薫乙嫁語り』/ひえぇ、刺繍する糸と針、模様の描き込みの細かさがもう。ここまでのディティール描写することで、その行動と過程に込められた意志を伝える、て内容なのよな。妄想パリヤさんはかわいくて強い、その営みが人生に未来に回収されるのだ。物語の示す文化の内実なのだ。
●松本水星『グリーン・レッスン』/読み切り。『家裁の人』的な。共生てのはわかる。
福島聡『ローカルワンダーランド』/エロスとはなんぞや。妄想一強にしても、生身を添えての探求心がここでは重要なんでしょうな。ネットにエロあふれてる今では、もはやノスタルジーの領域かね。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/まあ確かに建造物しっかり描くこの地平にあって、(物理的に)もろいファンタジーではあったが。よかった、酒は無事か。(よくはない。)始まりにあった二つの内、卵は残り、ネジはその存続の謝礼として人の手に渡っていくと。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/二つある、片やとどまりつつ、片や歩きながらの電話での会話場面がおもしろい。つながりと断絶の描写。しかしまさかのBL展開(への描写の注力ぶり。逆に省略描写サイドも、それがちゃんと技巧になってるわけだが)。というかA太郎ドライすぎんよ、ゆえにA子への反応はマジってことかもしれんが。
●百名哲『Tig****はWEB上から消えた』/読み切り。語り手は作者。コメントに「盛ってます」とある様、スーパーエッセイみたいなものか。二人のAV収集家の物語。なんか山松ゆうきちみたいなおはなしの佇まいでグッときてしまった。馬鹿を生きる異人よね。
八十八良『不死の猟犬』/リョナ!その手があったか!(やめれ。)結局逃がし屋は不死設定なのね。新キャラがわざわざ斬撃使うのは理由あるんだろうか。性癖?
●長蔵ヒロコ『ルドルフ・ターキー』/金持ちの集まる船で決戦てのもお約束ですな、うむ。
●菊池まりこ『カプチーノ』/嗚呼、若者よ。恋する少年と少女よ。読者も主人公の友人同様、このピュアさをのぞき、見守る側なわけで。その彼岸は、でもやっぱりまぶしいんだわ。次回最終回。
丸山薫『事件記者トトコ!』/なんじゃいその地口は。しかし赤面かわいいのでOK。探し物もツンデレネタかよ。しかしこちらも赤面かわいいのでOK。怪盗組二人のやりとり見せる場面は構成が映えるね。
●梶谷志乃『想幻の都』/恋愛ガールズトークではあろう、異世界の。ビオロイド的には体に由来するのが“ぶれ”か。突発的行動とささやかな抵抗はその感情がゆえ、なのか。
●和田隆志『鬼市民』/読み切り。桃太郎パロディ、というか不条理ギャグに近いか。今回もドライで黒くてよい。
●浜田咲良『転職坊主』/えー、SF?
●空木哲生『鴨の水かき』/最終回。あがいて笑って、と忙しい日常で終わるのもこの作品らしさか。職業モノ、ではあったんだけれども、それ以前に生活と誇りを抱えた人々の群像劇だった。ユーモアと情の息づく、世界と筆致と作劇が好きでした。おもしろかったです。お疲れ様でした!


  • 次号より宇島葉新連載。