当ブログで定期感想を書いている、「別冊少年チャンピオン」誌の2014年をふり返りたいと思います。
当ブログの感想記事は掲載作品のうち、私があえて言祝ぎたいと思ったものについてのみ言及する、批判しか浮かばない作品については基本スルー、という体裁をとっております。つまり言及回数が多い作品こそ、私の評価は高いわけです。
以下、2014年に出た全12号(2014年2月号〜2015年1月号)に掲載された連載作品を、感想記事中で言及回数の少ないものから順に並べ、感想を述べております。基準となるそもそもの掲載回数自体、時期により異なるわけですが、その辺はご愛嬌。
なお企画の性質上、基本的に賛辞しか載せない定期感想とは異なり、批判的な私見も多数ふくまれております。批評という形になるよう心がけてはおりますが、露骨な否定的物言いを嫌われる方は、以下読むのをご遠慮ください。
言及数1回
後半未単行本化の『眠らないでタエちゃん』『こんかつちゅう』は、まあそんなもんでしょ。『ダーウィンズゲーム』には我ながら本当に関心ないんだな、とびっくり。私が乗れない寸止め感・清潔感が、口当たりのよさとして人気なのだろうとは。
2回
『9デイズワンダー』は普通。『やさい学園』はネタは弱いけど、変なリズムはある。『疵面』は月刊連載ペースで本家の間延びやられるのはちょっと。
3回
『バキどもえ』は、キャラ固定化されたらそれへの属性反射しか反応起こさない、てことです。『少女聖典ベスケ・デス・ケベス』(読み切り版1回言及ふくむ)は濃いギャグで楽しい。
4回
『セトウツミ』、意外と少ないな。もちろんセンスは好きなんだけど、煮詰まり感じちゃってるのかしら。『ガンロック』は定型おはなし作法への添い方&破り方がすばらしい。今後も楽しみ。
5回
本家『クローズ』キャラカッコいい!で稼いだ感ある。連載はいよいよクライマックス。
6回
- 野呂俊介『スピーシーズドメイン』
- 渡辺航『弱虫ペダル SPARE BIKE』読み切り1回(9月号より連載開始)
- 吉沢緑寺『漫画家志望遊戯〜別チャン式漫画家養成講座〜』(12月号で連載終了)
『スピーシーズドメイン』、世界観に乗れてないのは相変わらずなんだけど、ゆるい日常モノとして誌面的にはいいかね。『弱虫ペダル SPARE BIKE』(読み切り版1回言及ふくむ)は人気キャラの裏エピソードってことでやっぱりよい、でも作者は心配。『漫画家志望遊戯』は本格的な内容でおもしろかったんだが、今更アナログ記述を、て面はあろうな。
7回
- ハジメ・とうじたつや『少年Y』
- 根建飛鳥『REBOOT』
『少年Y』はやっぱり設定の異常さで言葉引き出される。『REBOOT』は熱い王道ぶりがよかったのだが、次回最終回。
8回
まあこんなもんでしょ、うまいし、の枠ですが並べるとすげえな。アイディア・技術の小品と神話再生・華美のスピンオフと。私『THE LOST CANVAS』は読み始めたの前作終了間際からなんだけど、それでもキャラクターの背景と内面読ませる文法があって、だから楽しめるのよ。存在すると理解させるのがおはなしとしての見せ方で、ノット属性反射なのよ。
11回
いやー、我ながら意外(笑)。内容の好き嫌いはさておき、全話全力で際に球放り込んでくるのは確かだしなあ。その姿勢見えたら、ほめたくはなるよね。
12回
結局キャリア長い作家陣が安定しておもしろい、という結果に。『サンセットローズ』のケレンとカタルシスはやっぱり熱いし、アクションはカッコいい。「冒険」の興奮を物語り続けてくれている。『サクラサクラ』は萌えエロラブコメの皮かぶって、『幕張』ばりの下ネタ展開しーの、ちょいちょい世界観の闇と読ませる心理描写はさみーの。この絵柄の端整さとネーム力で世界一つまとめる手腕は、キャリア重ねてきた作家ならでは。『みつどもえ』はかわいい&異常なキャラ達と、うまい構成&ぶっ飛んだ発想が相変わらず楽しい。今年はふたおが。
連載として私が読むに嬉しい作品てのは、内面持ったキャラクターと深読みできる余地てのが大きいんで、こういう作家陣に好み偏るのもむべなるかな、ではあるがしかし。
読み切り群
今年はなんつーか、端正にまとめ過ぎた作品が多くてあまり楽しくなかった。一部で好評だった『決闘決議』にしても、個人的にはどん詰まり感と結局「かわいいは正義」のみかよ、で微妙だった。お約束をこなした、それだけ見栄えよくやった、てな枠におさまらない、そこからもれ出る作家性てのが好きなんですねわたしゃ。
そういう意味ですと、やっぱり今年は青木耕也『魔法少女 代打ダイダー』(3月号掲載)の馬鹿話カタルシスが最高だったかな、と。無茶苦茶でありつつ「物語」として機能するという、個人的には『ペーパーブレイバー』にも近い位置づけなんですけど、あれは読んでて楽しかった。中村総一朗『現実逃避な(非)日常』(4月号掲載)の、独特な画力によるスラップスティックラブコメぶりもよかった。萌えそうで萌えられない(フェチではある)、残念臭あふれる笑いと世界。
『マッドサイエンティストブギ』(4・7月号掲載)『危機管理能力者こまる』(10・12月号掲載)で計4回登場した西森茂政は相変わらず変、でも文法つけてマイルドになりつつあり、ちょっとおもしろい。個人的には『〜ブギ』の定型ノリの方が好み。斉藤的作『RB』(1月号掲載)、米井さとし『マッシュアップ!!』(6月号掲載)の生真面目さは路線変えたらどうなるか、という興味はある。
以上。