コミックビーム2016年6月号

羽生生純『恋と問』/新連載。『恋の門』続編、なのであるが描写から推察するに、前作の主人公二人は別れていてその子供二人が主人公の模様、えー。初回はまだオマージュ色の方が濃いか。作品ごとに、その構造もふくめたテーマを掲げる作家性ではありますが、“絶対ハッピーエンドにする”という姿勢で描いた作品の、初挑戦となる“続編”をどう転がしていくか。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/タレと塩、後編。いろんなタレがあるのだよ(値段ふくめ)。多様性こそ至高、二分法はよくない、そう、主人公のことだ、とこれは作品フォーマットへの自己ツッコミでは。
●伊図透『銃座のウルナ』/読者も、主人公の回想で埋まる見開きは見れても相手の差し出す偲ぶ写真は見れないという。認識の差。
須田剛一竹谷州史『暗闇ダンス』/↑の内容に続けて、この死への特攻回載るのもすげえな。
竹本泉『夏に積乱雲まで』/新連載。眼鏡ヒロイン主人公で魔法学校で海辺、あと未来で火星。呪文あらわすふきだし内の絵、コマを浸食する模様としての絵、とファンタジー規定ではあるのか。/ビームでセンターカラーはひさしぶりだよな。
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/望月三起也追悼。今回はネタに昇華というより模写による魅力の絵解き。いいね、愛だね、好きじゃなきゃガゼー教授の例のネタ出てこないわな。巻末コメントで、望月氏から『さよならもいわずに』の感想もらった旨書かれているが、確かにマンガの絵という表現媒体への意識は通じあうかも。
新井英樹『SCATTER-あなたがここにいてほしい-』/飛び道具付きアベックパンチ、いやいやいや。なんつう絵面だ。戦い自体の“効果”は空疎な、凶悪な世界観なれど、それでも。
桜玉吉『アベビベビ』/読み切り。ネットカフェ生活事情(すでに過去編)。シモ話からのこの結びは重い…。
山田参助あれよ星屑』/新章は進駐軍の話か。考えたら『はだしのゲン』も(カリカチュア混じりとはいえ)よくあれだけ描けたよな。日常の中にいたということか。この一ページ絵はつらい。
ジュール・ヴェルヌ・倉薗紀彦『地底旅行』/“通信”描写。これに一話費やせる、というのがビームで古典やることの良さでしょうな。
三宅乱丈イムリ』/あ〜、ニコはすでにここまでの描写が萌芽としてあったわけか。船はこれ、何年ぶりの登場になるんだろう。イムリ側は異なる能力の2派が、それぞれ結集しつつあると。
●山本健太郎『天女さま、すんません!』/腹の虫って。『実は私は』みたい、というか近い作品なのかもしれない。
朝倉世界一『おれは たーさん』/そんな過去を背負っていたとは。単なる堕落じゃなかったのね。空中アクション!
唐沢なをき『まんが家総進撃』/初登場回からエンディングは決まってるキャラなんだよな…。
三好銀『土曜の夜空の贈り物』/読み切り後編。食欲、性欲、睡眠欲…というわけでもないか。男向けのもの、という。
いましろたかし『新釣れんボーイ』/病気はな…。肉体的不安の方が真にせまってる感はあるな。
山川直人『小さな喫茶店』/夢の中の恋人。そんな夢との別離、なのよね人生は。


  • 「コマンタレビーマー」も「ふろって」も今回おもしろい。
  • 奥村総編集長によるKADOKAWAアンケート企画の告知文、率直すぎ。
  • 次号より、あさのあつこ『バッテリー』を志村貴子がコミカライズ。はい。