越智善彦『ドロイどん』79


●はい、今回はゆったりした雰囲気です。オチが衝撃的ですけどね。児童マンガ的ギャグというか、ほのぼのが基盤にあるからこそのふっ飛び方といいますか。ここでは触れませんが。
●今回は二段目からいきます。これ一段目の絵は総じて俯瞰と遠景です。そこからの二段目、その一コマ目から三コマ目です。/一コマ目。まずこのあまねちゃんとドロイどんの間の抜けた、もといあっけらかんとした表情が今時そう見れない絵だと思いますが…こういう所が好きです、私は。
●さて、これまず窓の中にいるお嬢さんが目に入ります。そこからコマ下段のひなたちゃんとドロイどんに視線が行くわけですが、絵の大きさが違いますね、これ。
●お嬢さんが上の階にいるので、という遠近の表現はもちろんなんですけど。でもこれ“読む”とですね、コマの中で絵の配置される範囲が横にガッと広がるわけです。
●そこでなんか不思議な感覚を味わう、視界が一段階広がるような。演者と背景みたいな絵としての落差に見えて、カメラがパンしてピントあらためて合わせたような見え方になるんです。だからこれ、一つのコマの中で違う次元にある絵なんですよね。
●続く、二コマ目と三コマ目。お嬢さんが「ピピ・・」スマホ(?)操作しています。それに対応してお嬢さんのセイバー、もといドロイドが「ピ」と起動したと。
●一コマ目のあまねちゃんとドロイどんから、カットバックによりアップになるお嬢さん。この、背景にしっかり窓と外を描いてね。
●そこから因果関係の三コマ目、なんですが、この「ピ」がきいています。このコマのメインです。吹き出し入りでトーン貼られたオノマトペ、で目を引き付けます。一瞬視線止まるんです。




●同じく二段目より、続く三〜五コマ目です。
●この二段目三コマ目は、この回におけるキャラクターが最もアップで描かれたコマでもあります。そこでメインはってる「ピ」、この字体もいいよね、半濁点のくっつき方とか。
●で、そこから次の四コマ目、カメラが引いてドロイドが「ごにょごにょ」ともがいてます。ここで出てくんのが「ごにょごにょ」てのがユニークです。みなさん想像してくださいね。ほら、縛られたドロイドがもがいている音が聞こえますよ、「ごにょごにょ」。いいな!
●で、そのドロイドが「ガチャッ」と転倒します。この字体の落差ね。二段目はお嬢さんの“ハッ”という衝撃表現漫符から、「ピピ・・」「ピ」「ごにょごにょ」「ガチャッ」ときて、三段目に続きます。





「ゴロゴロゴロ」「ゴロゴロゴロ」
●というわけで、三段目の1、2コ目です。集中線かましていきなりくる、それまでとのこの落差!そこがいい。以上。
●あとふれるとしたら、この「ゴロゴロゴロ」という字体自体が、キャラクター同様カメラ引いて二コマ目では小さく描かれる点、一コマ目で見える地平線がニコマ目では背景として機能している(オノマトペと横書き→縦書きと同期して)点かしら。以上。