越智善彦『ドロイどん』66

週刊アスキー No.919(2013 3/5)53ページ

  • 雪景色中です。

  • 木に巻き付けられたワラを「カサ…」とめくるひなたちゃん。そこには「もぞもぞもぞ・・」が!という二コマです。
  • この同じ構図で縦に並べた二コマの落差ですね。ひなたちゃんは黒点目から丸目で顔にタテ線へ、背景は白から黒へ、オノマトペはゴシックカタカナから震える平仮名へ、そしてすべての対象となる黒ベタのブツは、ワラ表す無機質な四角から丸みと毛へ。このブツ自体の全体像も、ワラの位置よりは上に描かれているわけです。
  • そして次のコマ、ひくひなたちゃん。木目とワラと縄と雪の地面とカケアミ背景のコントラスト、の中のアニメ調デフォルメキャラ。
  • いや、もちろんこの木目だって出自はアニメ絵よ。ただ、そこにどうディテール加えるかって作者が研鑽した上でのアニメ絵だからさ、これは。だから私は好きなんです。

  • で、もちろんこういう、いかにもな漫画表現もやれる絵だと。いいポーズ!
  • この「パッコシ!!」「ポスッ」のコマ内での位置関係と読む方向の違いが、キャラの絵を目に入れつつ視線移す際のタイムラグになるわけであり、それはまんまコマ内での時間的異層でもあるわけです。
  • 今週はラストのアングル変化もすごく好きですが、まあそれは(ここには)上げずに。