週刊少年チャンピオン2017年35号

板垣恵介刃牙道』/プロレス技で燃えられるのもどの世代までだろ、というのは正直あるが。フォークロアだな、やっぱり。握撃も出さずに決着?
板垣巴留BEASTARS』/かつて向けられた殺意を本能・摂理として許容するならば、それは殺される立場であることの自認でもあり。そっちの意味での“食べる”もかけてるんだろうけどね。「ポン。」と触れる手がな、この黒い瞳の胡乱さ込みでいいな。
森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ!』/新連載。昆虫に転生した武将をはさんでのボーイミーツガール。絵的な巧さでドタバタをテンポよく見せつつ、主人公の抱える寂しさとそこからの憧憬と、内面の切なさは前連載同様に息づく。長宗我部もトラブルメーカーとお目付け役、どちらにも転がせそうで期待。主人公の名前すげえなしかし。
●浦田カズヒロ『JINBA』/心臓二つって…いずれ片方失うのかな。
●瀬口忍『囚人リク』/大詰めも近いここに来て、おっさん二人、挺身に走ってしまいそうな気配が。ううむ。
●中村勇志『六道の悪女たち』/バイクで突っ込む不良漫画の系譜。そういえば番長継続中だっけ。器となれるかどうかの闘い。
浜岡賢次毎度!浦安鉄筋家族』/背景コマ分節芸。オチはまあ直球なのだが、空間の内と外として描写されてる(衝突の瞬間自体は“反応”しか見せない)のがちょっとおもしろい所。この子にしてこの親の感。
佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/敗れても客をわかせる、“人気”の形がいいねえ。それこそが陽で、客から見えない力士同士の因縁は陰、ということでもあるんだよな。
荒達哉『ハリガネサービス』/(相手の)言いなりにはならないよ!と叫んで、味方に言われた通りの行動で勝つという、はい。
●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/徹夜原稿明けハイ、て作者の実体験だったりするのか。これ系の印象深い描写といえばあれよ、さくらももこが自らの投稿時代描いた作品のオチ、「そう、デビューまでが夢…デビューしてからはただただ現実なのである…」でヘラヘラ笑いながら原稿描いてる作者。
水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/金的かよ!いや大変だけどさ、シリーズ最終作ラストゲームで脂汗流してふらつく岩鬼とか何事かと思っちゃったよ。山田も睾丸言うなよ、ロジックにつなげるなよ、その顔で饒舌に。
●吉野宗助『音速ノロノロ』/2号連続読み切り。純粋にネタの強さで読ませるショートギャグ。
福地カミオ『猫神じゃらし!』/なんか色々とピュアすぎてまぶしい。最後のコマ、ちょっと頭いいセリフじゃないか。
●掛丸翔『少年ラケット』/試合中のラケット持ち替えも、なかなか挑戦的な描写ではあるかな。
●山田胡瓜『AIの遺電子』/主人公二人の環境が大きく変わり、最終回も近いのかな。そもそも狂言回しみたいな主人公だと思うが。
サイプレス上野、陸井栄史『サウエとラップ〜自由形〜』/チャンピオン掲載のラップ漫画で、立原あゆみ顔(造形は)のヤクザからリリックほめられる展開と。いやまあ。
石黒正数木曜日のフルット』/カッパを釣る。感情のぞかせ萌えとかそういう。

週刊少年チャンピオン2017年34号

●浦田カズヒロ『JINBA』/連載化。血統も異端さも強さには関係ない、と反骨精神はまあいいとして異種間恋愛要素はどうなの。言語設定的には猫神と同様か。
板垣恵介刃牙道』/一泡吹かせたと思ったら、いつの間にか事切れていた、みたいな幕切れにならなきゃいいけど。本部といい、武蔵編においては強さ≒フォークロア感あるな。
浜岡賢次毎度!浦安鉄筋家族』/カールネタ。イメージ画像パロディの独特な狂い方よ。
板垣巴留BEASTARS』/勉強してたんだな…純朴な奴。対するヒロインはピュアに読ませつつ、やっぱり魔性っぽさある。それとの出会いが日々を変えた、と。エスカレーターの心象風景はなんか刃牙っぽい。
佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/力勝負決着。仲間の存在が力をくれる、ということでもあり。
福地カミオ『猫神じゃらし!』/水着回。臨海学校デフォルトみたいなものか。体型は独特なデフォルメ感、先生はきっちり競泳水着だし。オチはなんだ、幸せか。
●瀬口忍『囚人リク』/けじめを着けるのは、先へと進む為。
●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/メビヤツもだけど、そもそも吸血鬼とメカの共存関係てのが異色よね。
小沢としお『Gメン』/大食いチャレンジという若気の至り的バカ描写から、そこで名前を耳にしての暗転、過去との対比と。日常からの上手い話運び。
●炎堂たつや『この暗殺者がすごい!アヤメ編』/読み切り。暴走ロジックからのバカエロ、とこういうノリは好み。芸風色々試してるみたいだな、しかし。
石黒正数木曜日のフルット』/そういえば火曜サスペンス劇場の小京都ミステリーシリーズは、最終作の舞台がエジプトのナイルだったりします。


  • 次号、森田将文新連載!チャリティーキャンペーンのガラケー壁紙データ、まだ残してます。

ハルタ 2017 JULY volume 46

  • 裏表紙『ハルタカルタ』は、「みからでたさび」でロボ娘の金属体日焼け跡、もとい潮風による錆。フェチかもしれん、違うかもしれん。

佐野菜見『ミギとダリ』/新連載。二人一役養子。
八十八良『不死の猟犬』/言われてみりゃ、生き返りのある世界ではループものなんて流行らなそうだわな。でもFPSは存在する世界なんでしょ、それはどうなの。
大武政夫ヒナまつり』/高橋ヒロシじゃねえんだからさあ、と思ってたら「不良少年」という自己ツッコミ。格ゲーというよりリアルタイムストラテジー感(ヤクザユニット)。
森薫乙嫁語り』/雪原にて騎馬による鷹狩り。絵になるなあ、と思えるのも作者の画力あってこそだが。結婚資金の問題は今も昔もと。
なかま亜咲『カニメガ大接戦!』/集中新連載、次回最終回!(おい。)まあ単行本化の為の掲載だろうしな。
●サワミソノ『丁寧に恋して』/はしらーのきーずーはもちいーえのー♪親戚間でも金銭感覚、環境の格差、と地味にきつい所を突いてくる。台湾に行った友人といい、外国人居住者も多い町、という舞台設定なのかな。/だから編集はシメのページで雰囲気ぶち壊しの柱つけてくるんじゃないっての。
九井諒子ダンジョン飯』/扉絵は本編前、シュロー付き添い勢の(見守る)一幕。パーティー間の情報共有もとい、外野から見たライオス勢がいかに特異な存在なのかを今回あらためて。/当初はある意味、魔物食という一点押しのメタコメディ作品でもありえたのにねぇ。モンスターとの契約、各人の因縁、強敵退治、黒幕との接見、禁忌の秘術、と背景&世界観レベルでどんどん物語の内圧と密度は増していき、それを連載速度、主人公視点の熱から一歩離れて見てみると、と。しかしながら今回の展開ふくめ、それらが作者の手元で制御され的確にアウトプットされてきた点は、読者には筋書きとして見てとれるわけで。/今回は会話主体の内容かつ登場人物も多い為、“視界”の挿入等、構成・構図による見せ方の巧さがより際立つ。話の緩急もなあ、ギャグ顔や漫符オノマトペをいいタイミングで入れてきて、本当マンガ表現の使い方が上手い。秘密や思惑というシリアスの部分は、多人数間での「視線」という絵としても描写。ここで和食、おむすびに吸い物にみりん干しというメニューもまた緩急効果。アセビはやりとりから察するに獣人かな。ファリンはやはりそういう状態か。
●菊池まりこ『公安部特異人種課56』/アイドルでNewMewといえばプリパラですね!
●高江洲弥『ひつじがいっぴき』/DQNこええ。夢と現実の世界における、恐怖と逃避の担い方も序盤とは入れ代わり。二重世界の構造変化で読ませていくのかな。
山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/闇の中を行く馬車の列、その中の寝床で回想する主人公から開幕。いい絵だなあ、パッカパッカ。/主人公の修行ターンにあたる今回。新たにテンポ(という概念)を体に覚え込ませる、より統率された動きにする、ということで、作中の経過時間を長いスパンとして読ませつつ、その中でオルガの反復行動を描写する。そこで効果発揮するのが、意外や指導側・レオのモテ設定。サブキャラ、モブキャラの女の子を次々と替えつつ添えつつ、一貫して練習中の、定形行動とっている主人公の傍らにくり返し登場することで、その反復期間の長さを表す。その状況おさめる横長コマも、空間の絵として視線の滞空時間として、オルガとレオ(&女の子)の間の距離を意識させる。

→しかし、オルガはレオの真意に気づき(この辺、いかにもこどもの世界という感じでかわいい)、結果的に二人のパフォーマンスは成功。オルガのワイヤー渡りの一貫して集中した動きを、レオの手品が見栄えとしてサポート、という形ながら、 同時にパートナーとしての芸の生かし合いでもある。二人それぞれの芸の方向性、精神力&身体性とイマジネーションの融合、という点でもうまく設定されてるな。練習の成果にして信じて協力しあえた結果を、自らの進化を客からの大歓声により実感する主人公。オノマトペちょっとドカベンっぽい、と思ってしまってすまん。紅潮した頬と目を閉じての陶酔、ニヤッとした笑顔、と新たな表情だよー、あの女の子がこんな顔をするように!そのカタルシスを見せてくれる物語なのだな。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/ 酒よ(吉幾三&へうげもの)。今回はバーが舞台である、だから主人公二人はお休みである(だからて)。飲みニケーション、もとい酔ったコンジュは素直かわいい。酒のもたらす和は本作の醍醐味ながら、そのカップリングできたか(カップリングて)。洋酒ver(barにかけて)。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/えいこの回想、A君との思い出(日常・去年の同時期)。美大時代に好評を得た絵、公的な承認は置き去りにし、忘れる彼女であるけれども、A太郎にほめられた、しかし自己にとって恥である、中途半端なものは手離せずにいる、と。気にしている、考えている、ぶれない現実であり過去であると認識している、それが「大切にしている」ことだと。ふむ。元カレのA太郎との縁でもあるそれは、しかし今は、今カレA君の元に「大切だから」預けられている、という点がおもしろい構造。距離をおいている現状でありつつ、ゆだねてもいるのだよなあ。その態度がどう目されるか、という話をここしばらくはやっているわけで。
中村哲也『ネコと鴎の王冠』/ 商工会クリスマスイベント、クリストキント。ヒロインがクリスマスに見せるのはサンタコスだけじゃないんだ!ビール工場が家内制手工業としてあるなら、そういう団体との関係も必然か。
●浅井海奈『5分間の悪夢』/読み切り。サイコホラー。
西公平『ゲス、騎乗前』/ 最終回。えー、いい話っぽく畳むのか、なんかゲスい。まあその「努力」「大変」の内実は問うてない点と、前回泣いた際の回想は地続きなわけだが。当初どうなるかと思っていたが楽しめた。お疲れ様でした。


  • 次号、緒方波子新連載。あの衝撃の結末からの続編か。

コミックビーム2017年8月号

三家本礼『アイアン・ゴーストの少女』/新連載。機械人形に魂移しての異教徒バトル。今回は女子高生主人公。
●H.P.ラヴクラフト、田辺剛『狂気の山脈にて』/前回の迫力怪獣バトル(想像図)から、今回のミニマム(でもないのだけど)な眼前の違和感、というつなぎ方。
桜玉吉『六月の伊豆』/読み切り。幸せそうですなあ、些事もまた日常。
新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/思想統制・密告の横行する世界と、それに御されぬ形としての超能力と。新井作品といえば、背景や小物のディティール、セリフの内圧という形で情報量膨大だけれども、こういう“省略”、洗練に向かうか。この内面の向き合う世界の形は、というリアルでもある。
●conix『青高チア部はかわいくない!』/ちょっと熱いじゃないか。それあたしが欲しい展開(やつ)、には笑ったが。スポ根と女子コミュニティとでおはなし文法の相互作用効いてるのよね、馬鹿のガンバリズムとして相通ずるというか。
●おくやまゆか『むかしこっぷり』/汽車に揺られて善光寺参り。子供の悲しみをこの絵柄でクローズアップされると、くるねえ。
三宅乱丈イムリ』/言葉を失う、この絵、この展開。この物語をここまで紡いできた作家性たるや。/はあ(嘆息)。あと今回も構図芸抜群であるが、特に見開きの空中戦の迫力には、田辺剛とまた異なる良さを感じる。
おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/コミュニケーションのグルメ、なんだよな、この作品は。
カネコアツシ『デスコ』/放浪編か。しかし、この引きは。
●伊図透『銃座のウルナ』/おお、これは衝撃の展開。“手”と“質問”が意図と迷いを匂わせるも。戦場から離れた今、直視することになるのか。
山田参助あれよ星屑』/戦地と性。そこに哀しみを読むのは、結末を知っているからというだけではないよな。下ネタ都々逸の息づき方が流石だ。
須藤真澄『どこか遠くの話をしよう』/どこか遠くにある、在らせるべく、どこか遠くへと。重い、ではなく、切ない、として語れるのがこの作家性、ファンタジーたる筆致だ。
●市川ラク『わたし今、トルコです。』/なんか掲載のタイミング的にもインパクトあるゲイ、バイエピソード。セクシャルマイノリティじゃない、性欲あるだけ、というのは真理だな。男への性犯罪の多さという言及はなあ、ようやく先の刑法改正により同性間の強姦・男性の強姦被害者の存在を認めるようになった、日本の人間が言えた話じゃあねえんだわなあ。
松田洋子『大人スキップ』/その人の生が希望の形、か。これは、しかし物語としては、どういう結末に向かうんだろうな。
山川直人『小さな喫茶店』/御家庭のコーヒーを、時を経て三度。みな流れてうつろい、そして自らが出会えるのは常に側面のみである。だからこそ感傷を見るのも、また。
羽生生純『恋と問』/最終回。ひでえなおい、と作者のこれまでの作品における“物語”の扱い見てきた身としてはあらためてこれ読まされてもなあって意味で言ってもよい、だろう。真摯な刑務所オチ、ではあるかもしらんが。この“漫画”に相対する者として残るのは編集というプロのみ、と。


 

週刊少年チャンピオン2017年33号

浜岡賢次毎度!浦安鉄筋家族』/サブタイトル「痛突風」。オチのCMネタからの逆算か。最後にカモメ出してくるのが心憎いような、そうでもないような。見開きの右と左でイマジナリーライン切り替えってそうやらないよなあ。
板垣巴留BEASTARS』/現れた、来てくれた、と思いきや、この選択は…。一度意志を曲げた、この世界に負けたということが、彼には人生の途絶に等しかったのか。ビースターズにふさわしくないという自覚が。そのタナトスと、主人公側の食事・性という対比がまた、な。
佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』/見開きの右ページ1・2段目で水平に視線移動、最下段3段目でキャラの体勢により左下方向に視線移動させつつ“溜め”を見せ、続く左ページの1ページ大ゴマでそのキャラが下から上方向に突進、次の見開き大ゴマで激突、と迫力の構成で見せる開戦。押し合い、力勝負で読ませるなあ。
福地カミオ『猫神じゃらし!』/一コマ目のSDキャラと畳は縮尺的には割と正しいのか。ちゃんと親まじえて話すのね。オチは、そういえばそうだ!(ほのぼの)
●中村勇志『六道の悪女たち』/女同士バトルは物別れか。惜しい気もするが、そのパターン貫き続けたらまた別の作品性にはなるかな。見開きタンカはいいね、もはや自分達だけ求めるべきものではないと。
荒達哉『ハリガネサービス』/なんでこう、この作品の過去エピソードは常にシリアスなギャグ感漂ってるんだろうか。ステレオタイプ露骨過ぎるのかな。
●瀬口忍『囚人リク』/なんかこう、抽象性と絵による話運びのノリが、もはや漫☆画太郎の領域に近い気がする。けなしてるわけじゃなくてな、分解して見ると。
小沢としお『Gメン』/生き別れの兄弟が暴力に染まり、とこれはまた重い話になりそう。
●縁山『切り札!なずなさん』/読み切り。押しかけヒロインボディーガード、と思いきやかなりギャグ寄りでいい感じ。色気全然ない絵柄なのがプラスだね。
藤田勇利亜『黒き薔薇の花束を』/読み切り。ハードボイルドとはドラマの地平を支えるたたずまいの事なんだぜ、たぶん。エスプリやユーモアに娯楽作家としてセンス感じさせるんだよなあ、やっぱり。
●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/ひさびさに話の転がしぶりとドタバタ感シンクロしてて好きなんだけどねぇ。正直、緊迫感やらシリアスやら出されると、いまだ構成力が不足してる点に読んでて意識いっちゃうんだよなぁ。
●山田胡瓜『AIの遺電子』/その“やさしさ”をつき詰めて描いたのが、業田良家『ロボット花子』の「人間は いらなくなるよ」であってね。
渡辺大輝『鳴ルモノ』/読み切り。吹き出しネタ。


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