ハルタ 2017 JULY volume 46

  • 裏表紙『ハルタカルタ』は、「みからでたさび」でロボ娘の金属体日焼け跡、もとい潮風による錆。フェチかもしれん、違うかもしれん。

佐野菜見『ミギとダリ』/新連載。二人一役養子。
八十八良『不死の猟犬』/言われてみりゃ、生き返りのある世界ではループものなんて流行らなそうだわな。でもFPSは存在する世界なんでしょ、それはどうなの。
大武政夫ヒナまつり』/高橋ヒロシじゃねえんだからさあ、と思ってたら「不良少年」という自己ツッコミ。格ゲーというよりリアルタイムストラテジー感(ヤクザユニット)。
森薫乙嫁語り』/雪原にて騎馬による鷹狩り。絵になるなあ、と思えるのも作者の画力あってこそだが。結婚資金の問題は今も昔もと。
なかま亜咲『カニメガ大接戦!』/集中新連載、次回最終回!(おい。)まあ単行本化の為の掲載だろうしな。
●サワミソノ『丁寧に恋して』/はしらーのきーずーはもちいーえのー♪親戚間でも金銭感覚、環境の格差、と地味にきつい所を突いてくる。台湾に行った友人といい、外国人居住者も多い町、という舞台設定なのかな。/だから編集はシメのページで雰囲気ぶち壊しの柱つけてくるんじゃないっての。
九井諒子ダンジョン飯』/扉絵は本編前、シュロー付き添い勢の(見守る)一幕。パーティー間の情報共有もとい、外野から見たライオス勢がいかに特異な存在なのかを今回あらためて。/当初はある意味、魔物食という一点押しのメタコメディ作品でもありえたのにねぇ。モンスターとの契約、各人の因縁、強敵退治、黒幕との接見、禁忌の秘術、と背景&世界観レベルでどんどん物語の内圧と密度は増していき、それを連載速度、主人公視点の熱から一歩離れて見てみると、と。しかしながら今回の展開ふくめ、それらが作者の手元で制御され的確にアウトプットされてきた点は、読者には筋書きとして見てとれるわけで。/今回は会話主体の内容かつ登場人物も多い為、“視界”の挿入等、構成・構図による見せ方の巧さがより際立つ。話の緩急もなあ、ギャグ顔や漫符オノマトペをいいタイミングで入れてきて、本当マンガ表現の使い方が上手い。秘密や思惑というシリアスの部分は、多人数間での「視線」という絵としても描写。ここで和食、おむすびに吸い物にみりん干しというメニューもまた緩急効果。アセビはやりとりから察するに獣人かな。ファリンはやはりそういう状態か。
●菊池まりこ『公安部特異人種課56』/アイドルでNewMewといえばプリパラですね!
●高江洲弥『ひつじがいっぴき』/DQNこええ。夢と現実の世界における、恐怖と逃避の担い方も序盤とは入れ代わり。二重世界の構造変化で読ませていくのかな。
山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/闇の中を行く馬車の列、その中の寝床で回想する主人公から開幕。いい絵だなあ、パッカパッカ。/主人公の修行ターンにあたる今回。新たにテンポ(という概念)を体に覚え込ませる、より統率された動きにする、ということで、作中の経過時間を長いスパンとして読ませつつ、その中でオルガの反復行動を描写する。そこで効果発揮するのが、意外や指導側・レオのモテ設定。サブキャラ、モブキャラの女の子を次々と替えつつ添えつつ、一貫して練習中の、定形行動とっている主人公の傍らにくり返し登場することで、その反復期間の長さを表す。その状況おさめる横長コマも、空間の絵として視線の滞空時間として、オルガとレオ(&女の子)の間の距離を意識させる。

→しかし、オルガはレオの真意に気づき(この辺、いかにもこどもの世界という感じでかわいい)、結果的に二人のパフォーマンスは成功。オルガのワイヤー渡りの一貫して集中した動きを、レオの手品が見栄えとしてサポート、という形ながら、 同時にパートナーとしての芸の生かし合いでもある。二人それぞれの芸の方向性、精神力&身体性とイマジネーションの融合、という点でもうまく設定されてるな。練習の成果にして信じて協力しあえた結果を、自らの進化を客からの大歓声により実感する主人公。オノマトペちょっとドカベンっぽい、と思ってしまってすまん。紅潮した頬と目を閉じての陶酔、ニヤッとした笑顔、と新たな表情だよー、あの女の子がこんな顔をするように!そのカタルシスを見せてくれる物語なのだな。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/ 酒よ(吉幾三&へうげもの)。今回はバーが舞台である、だから主人公二人はお休みである(だからて)。飲みニケーション、もとい酔ったコンジュは素直かわいい。酒のもたらす和は本作の醍醐味ながら、そのカップリングできたか(カップリングて)。洋酒ver(barにかけて)。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/えいこの回想、A君との思い出(日常・去年の同時期)。美大時代に好評を得た絵、公的な承認は置き去りにし、忘れる彼女であるけれども、A太郎にほめられた、しかし自己にとって恥である、中途半端なものは手離せずにいる、と。気にしている、考えている、ぶれない現実であり過去であると認識している、それが「大切にしている」ことだと。ふむ。元カレのA太郎との縁でもあるそれは、しかし今は、今カレA君の元に「大切だから」預けられている、という点がおもしろい構造。距離をおいている現状でありつつ、ゆだねてもいるのだよなあ。その態度がどう目されるか、という話をここしばらくはやっているわけで。
中村哲也『ネコと鴎の王冠』/ 商工会クリスマスイベント、クリストキント。ヒロインがクリスマスに見せるのはサンタコスだけじゃないんだ!ビール工場が家内制手工業としてあるなら、そういう団体との関係も必然か。
●浅井海奈『5分間の悪夢』/読み切り。サイコホラー。
西公平『ゲス、騎乗前』/ 最終回。えー、いい話っぽく畳むのか、なんかゲスい。まあその「努力」「大変」の内実は問うてない点と、前回泣いた際の回想は地続きなわけだが。当初どうなるかと思っていたが楽しめた。お疲れ様でした。


  • 次号、緒方波子新連載。あの衝撃の結末からの続編か。