週刊少年チャンピオン2016年44号

  • 刃牙25周年アニメ化企画は、最凶死刑囚編冒頭とのこと。/で、この発表掲載号の発売翌日・9月30日は馬場と猪木のプロレスデビューの日であり、このマンガがすごい!web内の「きょうの一冊」には『グラップラー刃牙 外伝』があげられていた。(レビュー執筆・粟生こずえ氏。)今にして思えば、刃牙外伝で描かれた往年のスターレスラーの幕引きという物語は、90年代のおはなしの内圧としてありえた“リアル”、その終焉の象徴でもあった。そして、続く最凶死刑囚編より始まる『バキ』は、ドメスティック民話たる少年マンガの“外部”と対峙する作品になるのだ。/とまあ、この辺の視点を俺に植え付けたのは、間違いなくBSマンガ夜話みどりのマキバオー』回なんだけれども(笑)。だからね、俺が寂海王や味噌汁決着や強本部に対して肯定的なのも、そのおはなし文脈への回帰という側面をこそ強く感じるからなのよ。

安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』/新連載。何もしない部活に集まってダベるパターン。一切突き抜けた所ないのがすごいっちゃすごいんだけど。/ところで『猫神じゃらし!』をイカ娘枠だの評していた界隈は、実際同じ誌面に並んでもまだこの両者の作家性が同じものに見えるんですか、ねえ?
桜井のりお『ロロッロ!』/集中新連載センターカラー。異(常)人・美少女という要素を友達ロボ設定で、相変わらず可愛くもギャグ魂。お尻から噴射はアトムオマージュだから!ひさびさに作品見たけど、浜岡賢次リスペクトしてるだけあって画面構成しっかりしてるよな。かつ舞台としては、美少女ロボット主人公の周囲に、「森の中の科学者」、弾痕ある交番、遠景の自然と西洋風建物、とカオスなメルヘン配置されてて『みつどもえ』との描き分け感じさせる。おもしろい。/女の子が乳首取って差し出すネタどこかで読んだことあるぞ!と、必死に考えて思いあたったのが鮪オーケストラだった時の気持ちがあなたにわかりますか?(悲哀)
福地カミオ『猫神じゃらし!』/巻頭から三作品かわいい系コメディ続けての掲載は意図的か。(というか、前号での刃牙オマージュの読み切りと浦安の間が場違い過ぎた。)飼い猫ゆきち一途かわいい、なのだが、作者も二十歳前後でよくこの純真をてらいなく描けるよなあと。そして、それを見映えさせる構成上手いよなあと。ここ最近は主として吹き出しとキャラの配置に魅了されているが、もちろん冒頭あせるこまりの服の乱れと足袋とかも絵としてかわいいし、かつ今回の展開の密度と緩急は作者に見せ方への意識ないと無理だし。単行本化を前に、私が福地カミオを好きなのは技術が高いからだ、と今一度述べておこう。あとパンツは見せないのね、というか猫神は何はいてるんだろう。
板垣恵介刃牙道』/刃牙の「生き延びちまってくれッッ」というモノローグはつまり、作中の観客も読者もアドリブ優先の作者も勝利はないだろうと確信しつつ、でも“善戦”は、物語としての達成は見てみたい、という心境でね。本部側もペースに巻き込まないことには攻撃できないんだよなあ。
山内雪奈生『バキ外伝 疵面』/読み切り。おっさんの殴り合い、て花山はまだ若いんだけど。この作品も『バキ』外伝としてチャンピオンREDで連載開始、と上に述べたよう少年マンガの「外部」でもあるわけで。
●中村勇志『六道の悪女たち』/えらくキレイにまとめたな。幼田はヒロイン枠から脱落で、その決別こそ改心=ハッピーエンドというね。
浜岡賢次毎度!浦安鉄筋家族』/いつもなら2ページ前できれいに(?)オチてそうなもんだが、この引きずった上での地味オチがキャラクター性か。
水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/ここで対比させる為の一球の好調と山田の一人練習だったのか、うーん。
板垣巴留BEASTARS』/血統て、洋式便器て。鼓動についてのモノローグは、小動物のそれが速いって話にかけてるのかな。遺電子の方の家畜の話と微妙にリンク。
●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/なんかツボにはまった。初期浦安でも笑ったもんな、飢えたトラ。
増田英二『実は私は』/CLANNADかあ、ていやいや、学園ラブコメ少年マンガにおいてこの未来図出してくるのは。だからさ、恋愛でなく情なのよ、青春でなく生き様なのよ、状況論でなく生身の体温のあがきなの。その幸福はあるけど、という“正義”のお題目の前で、でも捨てられない人たちの息づく地平。秘密を知った上で彼女の友人として、今度は彼に声をかける存在、その価値だ。たぶんね、この叫びも第一話のリフレイン風とか座りいい描き方あったろうけど、もう感情的でやるって作者もなってるし、読むって読者の俺もなってる。黄龍院という名字も設定ではなく、おはなしであり。さてしかし、チートギャグキャラたる校長の退場(?)はなあ。連載初期にこの作品のコメディ軸を確定させたのは間違いなく彼女なわけで、それが失われてしまう、ということは。
●山田胡瓜『AIの遺電子』/カバー着けておけばよかったんでは、という価値観自体ゆさぶる構造、そも違うものを見ていた、という話である。最後のページは正直蛇足に思うが。いや、ここまで言わなきゃわかんない読者(3巻表紙の話のオチ理解できない層)の存在は認めるけど、言葉に出すと、じゃあそういう“人間性”を異常と見なす権利はヒューマノイド側にはないのかって話で。
小沢としお『Gメン』/楳図かずおも最後の長編連載から20年くらい経ってるよな。それにしても絵柄が合ってねえ。
●掛丸翔『少年ラケット』/他校への威嚇も目的の一環でしょ、これ。
藤田勇利亜『ミドリノユーグレ』/割とあっさり寝返った、というか説教役の似合う主人公ではないよな。親子という軸の対比はわかるが。


  • インタビューコーナーのプロレスラー、終盤の展開は何。
  • 巻末コメントの桜井のりお著者近影、どうした。