- 付録は上野顕太郎の十年カレンダー、10周年号と同じく!10年もったぞ、次の10年もよろしくってことだな、粋!
- 巻頭言(岩井編集長執筆?)&奥村編集総長からのメッセージあり。奥村氏いわく「俺と現編集長の岩井の師匠は、秋田書店の壁村耐三というトキワ荘時代の編集者だった」。つまり、かつて週刊少年チャンピオンを200万部に押し上げたイズムの継承者達が、現在はエンターブレインでちょこちょこヒット出してるってことかもしれん、違うかもしれん。
- 編集総長メッセージ脇には、マンガ家の執筆する手の写真がずらりと並ぶ。圧巻。
●桜玉吉『スイッチョ』/読み切り。自然界だな。環境描くエッセイ漫画フォーマットは変わってないわけだけれども、生物と自然物の中間としてなんか見ちゃうというのはわかる。私も毎年夏にはカナブンが部屋入ってくるか部屋の前で死んでるかしてるのよ、引っ越しても毎年。/ゲイツちゃん最終巻出るのか。あれも終盤はO村氏出てきたりするのよね。週刊アスキー1/3ページのあの枠で連載開始した『ドロイどん』(越智善彦)という傑作があってですね。/ニコニコ生放送の桜玉吉イベント公開期間、残り1ヶ月強!(※有料)
●おおひなたごう『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/餃子のタレ。そもそも餃子食を広めた店舗にあったのは、て話でもあるよな。主人公の苦境とリンクするようなしないような、で続く。
●伊図透『銃座のウルナ』/並べるのもなんだが、『白い街の夜たち』のような強い女性を描いてゆく物語になりそう。
●三宅乱丈『イムリ』/そうか、イマクは唯一の生還者になるわけだ。ここから大反乱が始まる、のかな。悪役、善人、おとぼけ役の表情描き分けに味がある。窓の外に見えたつげ口イコルが階段上がってきてセリフ言うページ、画面構成とか光源とかオノマトペによる視線誘導&動作経過の表現とか、すごく巧い。
●新井英樹『SCATTER -あなたがここにいてほしい-』/ここまでためにためまくっただけあって、カタルシス半端ない。世界もバトルもロマンスも重く歪みつつ純粋で、そうか、愛しのアイリーンの現代的再演にも近いか。
●ほりのぶゆき『人間の20年 漫画誌の20年』/読み切り。創刊以来20年皆勤はすごいよ。作者の20年前といえばスピリッツで描いてた頃ですか、あの頃はマンガ業界自体もな…。これもまた歴史ギャグと言えるのかも。
●須田剛一・竹谷州史『暗闇ダンス』/Sudden death。この躁鬱ぶりが須田テイストで、この即退場にどれだけキャラクターを込められるかが軽くない死を描くことなわけで。狂った世界だなあ、よい。
●三家本礼『血まみれスケバン・チェーンソー』/バックドロップで見せパンサービス、いやいや。イムリとダブる展開…か?
●山田参助『あれよ星屑』/前半と後半の落差というか、この世界の共存がたくましさであり。はだしのゲンでも背景のストリップの看板目立ってたもんなあ。レトロな表現で生かす文化。
●カネコアツシ『デスコ』/わりとあっさり決着。ほれるのね、そこは。次の相手はリーパーを狩る側かな。
●折口信夫・近藤ようこ『死者の書』/ほのぼの笑いあり。糸作りという実業への指示で片鱗見せると。
●松田洋子『私を連れて逃げて、お願い。』/抱擁。お巡りさんいいやつじゃん。空の二羽の鳥はトンビか、ママゴトのカラスと異なり。
●須藤真澄『庭先塩梅』/あ〜、この節目の号で彼女が再登場か。(エダマメで思い出した。)祝いに“来る”んだよな。マンガって絵に描けば「ある」んですよね、そこに。前回は存在が消えても物語としていくつも残ってて、て話でしたけど、今回は眼前にあるのだ、出会うのだ。それが20年間存在し続けたものに、言祝ぎとして載るのだ。
●上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/編集部員顔出し写真マンガ、ウエケンもいい顔。見開きグロいよ!というかセルフパロディになるのか。相変わらず切り貼りだそうで苦労がしのばれる。じきに連載200回記念だしな。(しっ)
●唐沢なをき『まんが家総進撃』/めでたい号掲載ということで未来のマンガ話、て、これはつらい。まあ漫画雑誌購入者が人口の何%で、とか、かつては大人漫画というジャンルが、とか考えるとねぇ。20数年前に夏目房之介は教育テレビでこれに近い解説やったわけだし。オチは先祖帰りというか、でも希望なんだよな、珍しく。
●イシデ電『逆流主婦ワイフ』/闇が内面にとどまらず引きずり出された、という意味では光なのか。
●羽生生純『ジュウマン』/すべてが、未来が終わって行く。次回最終回。
●山川直人『小さな喫茶店』/これも記念号におけるふり返りと言えるような、庭先塩梅とは逆方向にメルヘンだけれども。うつし世も夢、かしら。最後の絵はビーム10周年号掲載の『コーヒーもう一杯』、「ずっと後になってから」とつながってますね。
- 個人的には10周年号みたく作家陣の特別寄稿も期待してたのだが、それは前号の予告ページで公開して終いか。何が残念って、上野顕太郎は10周年号で20周年号への前フリしてたのに!て点だよ。
- まあそれは今回、作家の手の写真が意志としての代わりになるわけで。ということで、写真掲載作家は以下の通り。
上野顕太郎、倉薗紀彦、松田洋子、竹本泉、須藤真澄、田辺剛、羽生生純、やまじえびね、三家本礼、唐沢なをき、いましろたかし、いしかわじゅん、山川直人、吉田戦車、おおひなたごう、横山旬、朝倉世界一、しりあがり寿、寺田克也、丸尾末広、近藤ようこ、伊図透、三宅乱丈、カネコアツシ、おくやまゆか、鈴木マサカズ、河井克夫、竹谷州史、三好銀、安永知澄、高木ちえこ、桜玉吉、山田参助、鈴木みそ、和泉晴紀、市橋俊介、新井英樹、水野純子、鮪オーケストラ、古泉智浩、うすね正俊、金平守人、川崎タカオ、二宮亜子、市川ラク、ほりのぶゆき、森泉岳土、肉柱ミゲル
- ちなみにタイム涼介はこの件について、以下のツイートをしている(泣)。
コミックビームの20周年の漫画家の手の写真いっぱい載ったポスター。放置気味のメアドに連絡が来てたようで気付かなかった。というわけで、写真載れなかったです。モヤ?ん。
- また前号予告にて、祝20周年寄稿してた作家は以下の通り。
山川直人、しりあがり寿、三宅乱丈、丸尾末広、山田参助、羽生生純、竹本泉、志村貴子、須藤真澄、近藤ようこ、おおひなたごう、カネコアツシ、三家本礼、桜玉吉
- ついでに、10周年号で寄稿していた作家は以下の通り。嗚呼、なつかしい。そして未来へ。
寺田克也、森薫、須藤真澄、近藤るるる、竹本泉、志村貴子、吉田戦車、福島聡、岩原裕二、入江亜季、犬上すくね、唐沢なをき、うすね正俊、鈴木マサカズ、おおひなたごう、小池桂一、鈴木みそ、羽生生純、安永知澄、しりあがり寿、深谷陽、いましろたかし、カネコアツシ、タイム涼介、中島あつき、カイトモアキ、田邊剛*1、長田悠幸、鈴木健也、狩撫麻礼、竹谷州史、市橋俊介、新谷明弘、山名沢湖、山川直人、上野顕太郎、桜玉吉
- 次号、朝倉世界一新連載。
*1:現・田辺剛