山口貴由『エグゾスカル零』4巻

エクゾスカル零 4 (チャンピオンREDコミックス)

  • 山口貴由『エグゾスカル零』は、重い作品である。かつて人類を救い、眠りについた「ヒーロー」達が、滅んだ未来に目覚め、放浪し、戦う相手もわからずに“人類だった怪物”や“かつての仲間”と争い殺し合う物語。
  • 虚無と悲劇の色濃かったこの作品はだが今、次第に熱を帯びつつある。意志を見せつつある。現代日本のマンガ表現において、このようなヒーロー物の解体と再構築を(しかも『シグルイ』を経た山口貴由の重い絵柄で)行うのはそれだけで闘いである。それは理想を抱くからこその行動だ。作者はあとがきで書く。「遠い日、彼らを見上げていた自分が、かつての憧れに対し忘恩の陵辱行うのは、記憶の彼方で色褪せてゆく英雄(ヒーロー)の姿を、もう一度揺るぎない存在にする為に他ならない。」
  • その言葉どおり、と言っていいかわからないが、作品に「マンガ」としての希望が、読み手である私には、ちょっと見え始めたのである。それはズバリ、ユーモアです。『シグルイ』にはついぞ現れなかったそれ、センス・オブ・ヒューマンとしてのそれが本当にちみっとですが、現れ出してるのです。
  • で、その場面、意志の発露が好きなんだ俺、という話。

  • いいメタネタですね。ちなみにコイツ、真っ先に主人公と殺し合った仲なんですが。すでになんかもう、かわいいし。
  • 以上のことにより私は、今後も『エグゾスカル零』追い続けてゆく所存。覚悟完了