越智善彦『ドロイどん』2話


素人が目視で模写した2話のコマ割りの巻。



●えー、今回はまずタイトルから。タイトル下部のイラストですね。少女とロボット。これ1話目では無表情でした。少女は黒丸目で、ロボは白丸目。非常に端整というか、ロボなんて本当に描線一本で、平面的にすら見えちゃう。少女も目だけ、まあ眉とほほの赤みもありますが、ロボと並べて無表情。それが1話目でした。
●で、これが2話目になるといきなり笑顔です。なごやかに。一度会ったら友達で、的な。少女の目が横線ビャビャッ、と重なって、口が出てきてわかりますかね、口の中。左上で斜めに影入れてますね。この口も微妙にあごの輪郭はみ出して、で、ほっぺたがポコッと出てます。この顔の造形はまあ、アニメ絵的表現といえますか。かわいらしい。で、ロボの方です。これ、前回と明らかに違います。まず傾いてるんですね、右側に。少女に寄り添ってる。それで、目の、この白丸の位置が若干左に寄ってるでしょ?で、これ筆圧の関係なのかな、微妙に影ができてるんですよ。線のぶれが。あと、これは明白ですけど首元にラインが追加されてます。一本シュッと、それだけなんだけど、もう歴然と違う。こういう揺らぎといいますかぶれ、そういう有機的な要素を加える、描き足すことで前回の平面なままの造形にちょっと立体感がでてるし、もう有機的に見えるんですよね。これだけで。それはもう、1話目描いた時からこうする予定だったんだろうと思います。始めから。
●さて内容の方。今回は・・・なんていうかショート枠ですよね。『日常』のミニコーナー的な。うまい例え出てこないな、すいません。まあともかく、横に横に、と視点が進んでいく。しかしこの1コマ目・・・サイレントコメディって公式サイトでアナウンスしたのにねえ。オノマトペ、描き文字がしゃべっちゃってんだ、いきなり状況を。しかしまあこの字、ないならないでいいと思うんです。ちゃんと意味伝わる絵だしね。そこを文字で書いちゃうのは・・・まあ好きなんでしょうね。そういうのが。この人のオノマトペは見てておもしろいですよ、本当。
●でまあ説明するとだね。1コマ目が前回のオチから直結しての現状の提示。2コマ目で、対峙ですね。初顔合わせ。ていきなりふれ合ってますけど。ただ無表情ですね、ロボもこの娘も。いやまあロボは無表情で当然なんだれけども、そこがなんともコミカルなわけだ、このちょこちょこした動作が。で、3コマ目ではたと思いつき、僕が好きなのは4コマ目。これは女の子が向こうに歩いていきますよ、というコマなんだけど、1コマ目からずーっと左、左に進行してた読者の視線が、ここで右下に折り返すわけですよね。5コマ目に向かって。このコマがこの話の中で唯一、若干俯瞰から描いてあるんですよ。で、女の子がコマの右下に向かって歩き出すんです。読者の視線が折り返して向かうのと同じ方向に。でロボットは左上で待ってますね。ここで体は動かず、首のみ若干回転して女の子見てるってのが、僕は好きです。かわいい。で、ロボの視線は当然女の子見てるから、右下に向かいます。加えて、前回の砂場のへりですね。これまでが右下方向に傾けて描写してある、俯瞰だから。ここはちょっとおもしろいですね、徹底してて。描き手の技術として。
●で、ここからあとはまあ、えーと・・・おいおい、みたいなオチですねはい。あ、そうだ7コマ目。ここ枠線なしで開放されてるんですけど、ここのオノマトペ見てください。黒点5個。まあその、「間」なわけですね。開放された空間になっていて、そこがそのまま時間経過でもある。しかもこれ、黒点が縦書きですから。読むものじゃないけど、視線は追いますよね、上から下に。それはつまり左へ左へ、と向かってた視線がせき止められる、てことでもあるんです。で見た結果、頭に浮かぶのは“沈黙”ですから。もう「間」の表現以外の何物でもない。で最後のコマでやっ、とはじけてる。オノマトペが日本語で喝采叫んじゃってる。おいおい、てね、読者は。あとここね、女の子も初めて笑顔らしい笑顔ですね。ロボットは・・・よくわからんけど、ひとまずはじけてる。楽しそう。あ、この水滴の描写、僕好きです。この丸の中に丸、で水滴。別の作品で一度、泣き顔を下方向から描く、って言う場面があったんですが、涙がこれだったんですよ。しかもちゃんと粒が大きく迫ってきて・・・あれはよかったですね。機会があったら読んでみてください、『きてれつ村おこし』。
●えーそういうわけで2回目でした。まだ続くのかな?以上です。
ヴィオラートのアトリエ きてれつ村おこし (ブロスコミックスEX)