週刊少年チャンピオン2018年50号

荒達哉『ハリガネサービスACE』/シリーズ新章、新連載。やっぱりチートは強いぜ!はい。で、日本画風の顔つきな面子のやられ役一掃したところで、なにやら“グローバル”な要素もちらついているが。少年マンガが海外編においてパワーダウンする現象は、民話的な文法だからこそ起きるのであって、最初からチートならどこ吹く風、ということではあるのよな。無垢よりトラウマ持ちの方が強い(というか作者の筆がノリノリな)世界観だし。描き込み減った印象受けるのはあえてなのかな。/あとブロック時に大仏のビジョン浮かんでるけど、かつて大仏サーブという技出てきた卓球マンガもありまして。
球魂(4) (ヤングサンデーコミックス)
板垣恵介『バキ道』/バランスの問題か。鮫島で言ってた摺り足からの強さにも通ずるのかな。オリバがパックマン(わたしはマルになった!!)で対抗してきたらちょっと面白い。もう相撲じゃないけど。

夢枕獏(原案:板垣恵介、挿絵:藤田勇利亜)『ゆうえんち-バキ外伝-』/相手の骨も武器、痛い痛い。

西修『魔入りました!入間くん』/「己(うぬ)」の用法おかしいよな、やっぱり…。

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/で、角に精液ぶっかけるのと肛門に角ぶっ刺すの、どっちが好評なんですか?

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/よく知らないが、たぶんレヴュースタァライトネタ。地口。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/画太郎トラックネタをさらにメタ化だと…。

板垣巴留BEASTARS』/食肉の事実が隠されることで成り立つ学園生活、とユートピアとしての側面はやはりあるんだよな。で、そっちかー。サブタイトルがまたシニカルというか。

●中村勇志『六道の悪女たち』/そっちなのかよ。アイテム頼りでは理解者たりえなかった、ということではあるのかも。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/そもそも催眠の範疇だったのか、それらは。まあ腐っても吸血鬼の能力と。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/始まるワクワク感。いや、本当に全ページ視線誘導の技巧がキレキレなので、試しに“(構成・構図・コマ枠・物や描き文字や吹き出しの位置取りにより)自分の目線がどう動かされているか”を意識しながら再読してみてほしい。
/もちろん、ページ単位ではなく“めくり”またいでの構成も上手いわけで。

   

→たとえば、見開き中の左ページで不安定な構図からの、ページめくると視線直下、構図反転をはさむも枠線はみ出してキャラ入れ換えつつ重ねてスムーズに。

   

→あるいは、ページ五段にわけ、四段目まで人物に寄っていく絵面、四段目は顔と動線のみ、五段目は左と下方向に断ち切りのコマ内で背景のみ、という静寂からのページめくると顔・部位・見せる大ゴマでの技。これらが見開きの“使い方”である。

桜井のりお『ロロッロ!』/ハナ肇(古い)。で、そっちかー。いい人だけどね、トミー先輩…。内語こじらせキャラがようやく出てきたか、とも。

●瀬口忍『ボスレノマ~囚人リク外伝~』/新たな敵、と普通に長編連載で続ける予定なんだろうか。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/チャンピオン掲載まで読んでないんだけども、実は双子百合だった!というのは確かにまあ衝撃かも。萌え属性の血縁化(意味不明)。

平川哲弘『ヒマワリ』/そう来るかあ…。ある種の現状維持としての、共にいたい、という希望と、過去から保持していた自己実現としてのそれでは、後者が確固としてあるのも道理なのだが。しかし、前回ああ言っておいてなんだが、本当にそっちが勝るとは。
/そう言いつつ、アニマス24話春香回における“復縁”については称賛している私なんだけどねえ。あれはまず前提に、その回までに配置されまくった布石回収する全体通した構成があって、その渦中の理想なり幻影なりは虚偽だからこそ“おはなし”として真なのであり、最後の幸福な光景も「夢」というダブルミーニングに落とされるわけで、劇場版では全員がその夢から醒めるわけで。同じ脚本家が鉄血のオルフェンズにおいては、「教えてくれオルガ、オルガ・イツカ」と言う“夢を見続ける者”を描くことになるわけで。

●灰谷音屋『ジュニオール』/これも視線誘導を意識した構成が面白い作品。1ページ絵で堂々とファウル、確かに爽快感はある。

増田英二『週刊少年ハチ』/BEASTARSの方のキスシーンと比べると、作風に差出るわな。どちらもその作家らしさではある。モブに見覚えある前作キャラがちらほら…いや、よく見たらすげえいるわ。


  • レジェンド作品は『日本沈没』『BMネクタール』。前者は初めて知った。あと誌面紹介、「のちに~ブレイクする小林よしのり先生」て、もう『東大一直線』描いてたでしょ。
  • 表3自社広告写真集のグラドルは知らないのだけども、10年誌面グラビア張れるってのはすごいね。

週刊少年チャンピオン2018年49号

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/巻頭カラーか。コマ構成にセンス見られる点はまあ好きですね。

→この見開きも、バン・バン・バンと三連続で場面を見せてくるわけだが。右ページにて上コマから下コマへ、でワンアクションとその結果。ノドまたいで、左ページ右上の一コマ目にてワンアクション、コマ枠線またぐ所で同じ瞬間の別部位。左ページの二~三コマ目にて上から下へ、でワンアクションとそこからの連続動作。
/行動とその結果(すべて球技だ)を、分節として読ませる構成の一貫性。また、それらを視線の流れの中で無理なく読ませる位置取り、構図、コマ割り、集中線による効果。くわえて、それらのアクションと結果の描写が、構図の回転、瞬間のスクロール、アップからロングのショットへ、とそれぞれ異なる見映えであること。これをこなせるのは、やっぱり構成力あるからなんだよなあ。

→で、それをめくるとこのページである。異なる三つのコマであり構図を、特大オノマトペ「キャ~~♥」で接続。瞬間の連続で擬音しかなかった(無声の)カッコいい体の見開きからの、肉声・絶叫。この落差も巧い。
/でも私は本編の展開自体にはそこまで関心ないので、いい読者ではないよ。(正直)

板垣恵介『バキ道』/その溜め台詞でギャグかよ。オリバの廻し姿は、バキのアニメ化で柔道着姿見返してやりたくなったとかでは。

夢枕獏(原案:板垣恵介、挿絵:藤田勇利亜)『ゆうえんち-バキ外伝-』/空道、弟子(?)も使えるんかい。柳の株さらに下げてないか。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/浦安世界にも事故現場をスマホで撮影するようなモブがいるのか…大人視点のネタだからか?あー、タバコ値上げなあ。なんか大鉄もダウナーなノリの回だが、作者の気分的にもいよいよキツいのかな。オチのしょうもなさが流石。

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/強者ペダル。

板垣巴留BEASTARS』/バイト生活編開始。こちらの職場も濃い面子のドラマになりそう。食肉を勘づかれるのは、より“現実的”な社会ということではあるのかな。異種族婚については戸籍を気にしなければ、か。そこまで生態として影響出るんならなあ。じいちゃんの毒分けは『囚人リク』の血の盃感ある。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/オゲブリオゲブリ(地獄甲子園)。

●中村勇志『六道の悪女たち』/この展開のための前フリか!正直、ここしばらく迷走してんなあ、と思ってた。そして作者コメント、乱奈は遭難中なのね…。

●瀬口忍『ボスレノマ~「囚人リク」外伝~』/商売に寄付に若い代行のダブルドラゴンクロス。この緊迫感は絵と字の密度あってこそ。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/戦闘服が気合いを注入する。こちらも主人公と共有したい、という動機か。サブタイトルにあるよう「女神」なわけよな。
/コマ内での細かい遊びが楽しいが、これも構成力あってこそ。こちらは長いスパンとカメラワーク芸(=構図・視線誘導)で進行していく状況描写の面白さ。

(画像引用元:https://twitter.com/Weekly_Champion/status/1057591814369275904)
→冒頭のこのコマ構成も、視界内での映像としての流れと漫画としての分節、両方の読ませ方が入っている描き手だからこそできるわけで。話の本筋を読ませつつ、余技も見せていく技巧。

平川哲弘『ヒマワリ』/結局どいつもアイドル目指す動機フワッとしてるなあ、とは思ってたし書いてきたので、自覚した昔からの夢という顕現と、ここで対峙させるのは正しいと思えるが。

●灰谷音屋『ジュニオール』/勝負にエゴは大事。見せ場はきっちりカッコよく描いてきたな。

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/レイニーデイ・ドリームアウェイ(感覚を定着させる能力)。あれ、やってることが普通の吸血鬼、イコール作中最強の敵なのでは。『ヴァンピール』という、血を吸う為に町の住人の生活スケジュール把握して好感度上げていく激ムズゲームもありましたが。

桜井のりお『ロロッロ!』/どこでフラグ立ってるんだよ。親以外に恥じらい覚えるということは、このロボットには家族の概念がある(のかも)。

増田英二『週刊少年ハチ』/あ、これは終わりそうだな、『さくらDISCORD』メソッドに入ってる。アリス先輩のハグは、あれも恋愛感情じゃないから、という念押しなんだろうか。ハチが“弱者”として同志からの言葉かけられてますが、まあ私も不器用な作家が才能芽吹かせるのは嫌いじゃないですよ?同人時代のお友達ってだけで質も問わずに作家の肩持ってみせるのとかはけったくそ悪いけど。

木々津克久『開田さんの怪談』/シリーズ連載最終回。ハロウィンネタ。普通に不思議体験オチなのだが、それはライバルの怪談(体験談)によるもので、開田さんの話は人間の悪意にまつわる(そして言霊的に危機を招く)というのがミソかなあ。前回のオチと連続感あるのはわざとなんだろうか。


  • レジェンド作品は『ふたりと5人』『実は私は』。
  • 次号より『ハリガネサービス』再開。で、新刊表紙絵はそのちょろい敵プッシュでいいのか。結局、主人公チーム側が監督から言われてた改心させて的なお願いは棚上げに終わったんだよな…。

月刊コミックビーム2018年11月号

  • 巻頭カラーは、『ハード・コア』特集としてシーン集と映画化までの経緯解説。「奇跡の映画化」と打ちたくもなるな、これは。



いましろたかし『未来人サイジョー』/新連載。オリンピック後の近未来日本、という閉塞感のイメージ。主人公の『まんが極道』じみた境遇がまた別ベクトルの重さでからみ合う。そうだよな、ストーリーものでもこのやりきれなさが持ち味だもんな。

●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『時を超える影』/謎機械を使う謎生物集団の見開き、よいなあ。『恐怖の山脈にて』読者にとっては、古代と未来、前作主人公と本作主人公、という対比の光景。

西尾雄太『水野と茶山』/新連載。『繭、纏う』読んで、俺にも百合がわかる!と思ったけれども、これ読むにやっぱりよくわかんないぜ(正直)。なんか絵柄メインのハルタ作家にありがちなカットバック文法だけども(ちょっと前のビーム誌面なら志村貴子?)、こっちは意図のもとやっているのはわかる。その核自体は見せたくないのね。

三宅乱丈イムリ』/選択する時。人の心が伝わり燃える様が静かに熱い。この説得を冷静な信念として描く為にこの紙幅は必要だったし、だからこそ、その物語の内圧は揺るぎない。俺達は地蔵じゃねえっ…人間だ…!(ごめん、言いたかった。)

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/脈絡なきサービスカット(腋毛)。これも百合要素ありはするんだよな…。主人公の一喝も健在。

●谷口菜津子『彼女と彼氏の明るい未来』/VRによる過去の疑似体験、て衆人環視かよ。この体験との対比でタイトルにある「未来」なのかな。

イシデ電『猫恋人』/猫アレルギー。題材的にはもっと早めに出ててもよさそうなネタだが、ここまで練り込むのがストーリーテラーらしさではある。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/酢豚のパイナップル。これはかなり難問に思えるが、どう結論づけるかねえ(次号休載)。どくフラワーの設定は後付けだよね?

●オカヤイヅミ『ものするひと』/田舎の夜はコンビニないと闇だからな、本当。

丸尾末広トミノの地獄』/終戦を機に境遇は好転しているようにも見えるが、さて。

羽生生純(原案:片桐健滋、梅本竜矢)『ルームロンダリング』/すんなりといい話でしめさせないのが羽生生節、にしてもテンション変わりすぎでは。霊って便利なガジェットだよな。次回最終回。

●伊図透『銃座のウルナ』/そういう戦いを選ぶのか。原点はぶれず、認識が変わった、生きてきたが故に。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/えええ。いやいや、どこに向かってるんだ、この作品。赤ん坊の視界という構図の巧さは流石だが。

●二宮亜子『のんびりたのしく』/読み切り。ソーラークッカーかあ、『ヘウレーカ』の太陽光ビームみたい(おい)。調理に時間をかけるという贅沢ではあるのかもしれん。“自然”の楽しみ方でもあり。
アースダンボール ダンボール製 太陽光調理器 エコ ソーラークッカー 1個 0131
上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/ベンちゃん、そんな姿になって…。まあおなじみ落差ネタなんだけども、このテンポとずらし方が楽しい。

●青色イリコ『ワシとゆきさん』/出張掲載。転生落差コメディ、かつ子供の世界。

●うすね正俊『砂ぼうず』/あっさりと散ってゆく。予想できた展開にしてもつらい。作者コメントにも「描いててつらかったです」と。

●ハセガワM『マリアの棲む家』/元々のグロ系ギミックの絵力に、デジタル処理あわさってさらに気持ち悪い絵面に。すごいな。


  • ビームのニコニコチャンネル閉鎖。資金面の理由ではなく。貴重な映像群は何らかの形で残してほしいが。
  • 次号、松田洋子、小山健が新連載。

週刊少年チャンピオン2018年48号



渡辺航弱虫ペダル』/巻頭カラー見開きで水槽といえば、『ワールドトリガー』連載再開おめでとうございます!


→あれも頭いいSF漫画だな、うん。ピエールの沈黙期間とワートリの休載期間、どっちが長いんだろ。

●中村勇志『六道の悪女たち』/アイテム使うとあっさり恋も冷めるんだな。どちらが真っ当な矯正なのかという。あれ、そもそも乱奈に使う予定だけど、当人どこいったの。

板垣巴留BEASTARS』/ビースターと主人公とのまさかの因縁。爺さんは毒手使いだったのか。目の前の共存、というのは重みある言葉だ。サブタイトルは妊娠による悲しい別離、てとこですか。

安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』/ハロウィンネタ。馬鹿にしてるの?と作中人物が言ってますね、はい。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/ハロウィンネタ。↑と連続掲載されてると、漫画としてのクオリティの落差が。多重コスプレから普通にかわいいの見せといて画太郎メソッドからの重ねオチ(バイオレンス)。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/センターカラー、おさげの先まで見せるべく円形を畳むという細かい芸が。

→勝利の思い出は甘美ながら、その価値であり物語が他者とも共有されるのはなお嬉しかろう。いい父ちゃんじゃないか。

●灰谷音屋『ジュニオール』/敵をあざむくにはまず、て次元でもないわな。

●ニャロメロン『ベルリンは鐘 ヤッホー!』/擬人化プリクラ、これも仮装ネタといえるか。

西修『魔入りました!入間くん』/キャラの地位の割にえらくチープな能力だけども、ベタに覚醒展開の前フリとかかなあ。その頃には迫力ある描写もできるようになるかもしれない。あと、斧の形状を描けてないのは、安部真弘が鎌の形状を描けないのと同じものを感じる(婉曲)。

●瀬口忍『ボスレノマ~「囚人リク」外伝~』/心理的弱点(カツラ)を突く。独房送りは思いやり、いやまあ。

桜井のりお『ロロッロ!』/ハロウィンネタ。むしろロボット様を人間ごときの似姿にする方が差別的なのでは?(SF的発想。)エロとアートの境目とは、それより警察の制服借りる方が普通にアウトだろうけど。それより美術部部長の格好かわいいですよね。『猫神じゃらし!』の猫キックオチを思い出す。

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/なんか世界観のボーダー示すような教師キャラだな。

平川哲弘『ヒマワリ』/二次元アイドルコンテンツもCDレーベル単位で作詞・作曲家かぶりまくってるんだから、作品別に楽曲の特色どうこう言っても詮無いよな、閑話休題。理由は言おうよ。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/こっちの親父はクズである、痔だし。(痔じゃない)

増田英二『週刊少年ハチ』/作品の背後に個人の業を認めた上で、なおそれは共鳴であると。

木々津克久『開田さんの怪談』/アーノルドッ!


コミックビーム2018年10月号

※先月号です。


  • 表紙は映画『血まみれスケバンチェーンソーRED』。連載開始時は「追悼 狩撫麻礼」の文言を携えていた『繭、纏う』が、単行本発売の報にはチェーンソー携えてるという(意味不明)。

 



三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/新連載。全員復活でまさかの学園マンガ…にはならないよな。恩赦て。設定上、旧学友メンバーは未登場か。

●原百合子『繭、纏う』/めぐりあう誰か、後輩への想い。物から見守られる、というファンタジー性に、ここでは生者の思いとしてのそれが重なる。リフレインとしての絵力で見せて“夢”に畳むと。ここたまとは似て非なる(そりゃそうだ)。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/一口ちょうだい。やだよ(素)。相手による、という結論はまあ当然なのだが、やっぱりコミュニケーションのグルメとしてあるわけで。

桜玉吉『じわじわ』/本当、ひどい暑さだったよなー。夢の世界(卑近)。

●伊図透『銃座のウルナ』/一人の人として見られるという、その情景が温かいながらも、その身の内には。

●ハセガワM『マリアの棲む家』/また直球のホラーガジェットで来たなあ。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/こちらはガジェットだけ見てると旧エヴァ劇場版みたくも見えてくるのだが。

松田洋子『父をなくす』/読み切り。エッセイ漫画、ホームの話である。意味が増える、か。

●植田りょうたろう『はなちゃんの草騒動』/読み切り。そう、野焼きは田畑としての再利用前提なのである(田舎出身)。謎ギミックの戯画化、カートゥーンっぽいノリでもあり。

三宅乱丈イムリ』/心ある者と、傀儡をかかげ続けようとする者の明暗の対比が恐ろしいほどに。しかし、権威を捨てられる者と守りたい者と見ると、その内面を育んだ運命の差という残酷さでもあるのだよな。ドネーク…。そして、両者を見つめる者の心は。

●田辺剛(原作:H. P. ラヴクラフト)『時を超える影』/おのれ、本を粗末にするとは。『恐怖の山脈にて』のダイアー教授のいる側で、地の底の者を夢見るという状況が読者にとっては感慨。

上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/童話ギャグと見せてSF、たぶん。

●倖田青空『外出のススメ』/読み切り。老夫婦再登場。イシデ電『猫恋人』も年の差夫婦が前作から再登場、で老人と新体験というテーマでシンクロと。松田洋子の父亡くす話もあわせて読むとなあ。ビーム読者の年齢層どれくらいなんだ、しかし。

羽生生純(原案:片桐健滋、梅本竜也)『ルームロンダリング』/作者ツイートによると、このあたりから原作映画とは異なる展開だそうだが。緊迫感と抜けの描写が流石。ひとまず落着か。

●conix『青高チア部はかわいくない!』/最終回。熱がみんなを一つに、そして夏は続いてゆく。リアルで俗で、それでも熱くて面白かった。お疲れ様でした!


  • コマンタレビーマー、すげえ話だな。
  • 市橋俊介のコラムも玉吉とシンクロっぽく。