週刊少年チャンピオン2016年28号

●伊藤智義・松島幸太郎『永遠の一手-2030年、コンピューター将棋に挑む-』/新連載。AI将棋と羽生名人の対戦の可能性出てきたこのタイミングでか、パンダといい。機械の方が優秀な将棋マンガ、という点では目新しいかな。しかし電王戦後も礼節あるコメント交わされてる現状からして、このリアクションはピュア過ぎだろう、原作者テイストではあるが。
板垣恵介刃牙道』/杉浦茂の『少年西遊記』という漫画に、斬りかかる妖怪とぶった斬られる孫悟空の「りゃーっ」「まっぷたつ」「こんどはよこにえいっ」「つまり四つになりました」という会話があって、それを思い出しました。
浜岡賢次毎度!浦安鉄筋家族』/ちょこちょこ刃牙ネタ。そういえば一軒家の全体像を一コマで横のアングルから切り取る、というのがある種レトロな表現だよな。それこそ“家”という空間に対する認識の話だけれど。
●掛丸翔『少年ラケット』/センターカラー。なるほど、作品内容にあわせて51回目でカラーか。ラケットのカスタマイズは今後の発展への期待もふくめ、おもしろいパワーアップ展開。アニメ版『ピンポン』でも触れざるを得なかった要素だしね、この辺。強豪のいる地域にあっては目の前の目標も至難、というのはスポーツ漫画の定番ながら、あらためて突き付けられるとな。
福地カミオ『猫神じゃらし!』/三毛猫は有名だがさび猫か、へー。(基本、猫に無関心。)会話メインながら、個人的にはやはり構成力で読まされる。
増田英二『実は私は』/げぇ、嘘だったのかよ。(ここ数回グッときてた読者としても顔真っ赤。)しかしそれはそれで、語られたウソの内容は作者の本気であり“真実”だったんだろうな、とも。物語は死なない、と前回感想に書いたけれども、先々月には須藤真澄福島聡の短編連載最終回にふれて感じたけれども、それが単なる状況描写でも設定説明でもないと知るから、読者の体感を信じるからこその“おはなし”という虚偽の扱い。どうだ、騙されたフォローになってるか?あすなひろしの描いた真理とギャグのコントラストにまでは行けない、だから夢ですよ。熱を生きる形なんです、このコメディは。信じあえるキャラクター達の情景なんです。先取り約束機!(のび太の大魔境)
水島新司ドカベン ドリームトーナメント編』/侮辱行為、そんな概念あったのか。
●瀬口忍『囚人リク』/これは怖い、そしてそれを意地で抑え込むのもよい。今さらながら負傷コンビは線目なのね。
木佐貫卓『マル勇 九ノ島さん』/運な。今はこの物語の主人公に味方する、という意味ではメタ的でもあるが。
藤田勇利亜『ミドリノユーグレ』/怪獣プロレス。意外な展開ではあるが理屈的にはどういう。使い魔展開でしょうか。
●山田胡瓜『AIの遺電子』/境遇の差という現実を、そのままに可視化させてしまう存在自体が否定されるべき罪であるという。まあ作中で描かれる意識自体、読者の常識と感傷頼みという点で、やはりSFというよりはメルヘンなのだが。