アニメ「ハピネスチャージプリキュア!」29話

  • 8月24日放送

●脚本・成田良美、絵コンテ・長峯達也。
●ベランダで椅子に座り、アクシアを見つめるブルー。本当に単なる木箱、置物って造型なんだよねアクシアは。笑顔で階段あがってきて、ブルーのもとに来るめぐみ。あくまで情だから!
アクシアを開けているブルーを見て、「それ開けていいの?」とたずねるめぐみ。「ああ…このアクシアの中には誰もいないからね」とブルー。クイーンミラージュだけをとじ込めていたのか、それ以前から何か入ってたのか。
●「またクイーンミラージュをアクシアに封印するの?」とたずねるめぐみに「ああ…世界を守るためにはしかたがない…」とブルー。悲しそうに見つめるめぐみは、合宿の時言ってたように「私たちの世界も幻影帝国も、みんながしあわせになれればいいのにね」と言う娘ですからね。それに比べるとブルーの、(本心では嫌だけど)世界の為にはしかたない、という考え方は、めぐみとは対極の思考でもある。その上、セリフごとに「ああ…」とつけるほど消極的ですから。そんなブルーが「僕は決心したよ」と言い出すわけですが、この“痛みをともなう正義”が作品テーマにとっての敵なのかなあ、などと。
キュアピース・のど元過ぎれば・なんとやら(おい)。前回のキュアマリンが強過ぎてな。それにスマプリメンバーはチームあってこその各人だと思う。じゃんけんチョキ!
アクシアの真の力、プリキュアをパワーアップさせる効果について語るブルー。ところがここで流れるイメージ映像が、星空に浮かぶアクシアから赤黒い光が流れ出して画面を真っ黒に染める、というすごい否定的な内容です。しかもこの赤と黒の光は、クイーンミラージュを操るディープミラーのまとうものでもある。ディープミラーもかつてアクシアに閉じ込められていた?
●ひめいわく「もーう!そんな最強アイテムがあるなら早く出してよ!」せやな。というか、これまでは幻影帝国の所業に対処、という形だったわけですが、これを以って幻影帝国を倒す、というブルーの意志表示なわけです。
●今すぐアクシアの力を解放してクイーンミラージュを倒そう、と言い出すいおなに、厳しい顔でうなずきかけるブルー。そこに「だめだよ!」と叫ぶめぐみ。目を見開くブルーと一同。「だめだよ!クイーンミラージュを倒すなんて!だってブルーは…本当はクイーンミラージュと戦いたくないんだから…」とめぐみは言うのですが、これを両手ひろげてブルーの側に背を向けて、他のプリキュアの前に立ちはだかる形、ブルーを守る格好で叫ぶわけです。ちょっとびっくりした。守る側なんだよな、めぐみは。
●驚いた表情のブルーですが、また厳しい顔つきでめぐみの肩に手を置き(触らなくてもいいじゃん!)「僕は地球の神だ。神として、この世界に災いをもたらす者を倒さなければならない」と告げます。すると今度はめぐみが厳しい顔つきで、ブルーに背を向けたまま「ミラージュを倒して…」と口を開き、ふり向いて悲しげに「ブルーは本当に幸せになれるの?」と問いかけます。息をのむブルーですが、目をそらして「僕はいいんだ…」とつぶやきます。つまり、そうはなれないと自覚しているわけですね、ブルーは。
●「私はみんなで幸せになりたい。誰かが不幸なまま、自分だけしあわせになりたくないの」と、めぐみ。「その幸せを壊しているのはクイーンミラージュよ」といおな。「彼女を倒さないと、この世界から不幸はなくならない」。「でも!」「もう甘いこと言ってられないの!クイーンミラージュは倒さなくちゃいけない。世界の幸せのために倒れたプリキュアや、お姉ちゃんを救い出すためにも」。押し黙るめぐみ。沈黙する一同、からのタイトルコール。
●タイトルコール明け、おなじみハニーキャンディーを放りこむいおなの口元。カット変わって、しゃがんで飴をなめているいおな。その頭の上に腹ばいの、グラサン装着ほほ笑みぐらさん。隣に立つ、ほほ笑む口元だけ見える、顔の上半分は画面外にはみ出しているゆうこ。紫色の空、夕焼けの黄色い光を示すカラーリング、背景の斜面の草むら。さらにカット変わって、いおなの視界であろう、向こう岸の建物と夕焼け空を反射した、桃色の川。おなじみの川原。ブルーがめぐみと話していた冒頭では青空でしたが、ここでは夕焼け。この演出のために、ブルーは室内ではなくベランダにいたのかな。
●いおないわく「私っていつもダメだわ。めぐみの気持ちもわかるのに、厳しいことばかり言っちゃう」。反省の弁、声音と表情。復活回22話では、彼女自身めぐみと同じこと言ってましたしね。「誰かを助けるとか、誰かを消すとか、そういう願いではどこかに不幸が残ってしまう。私はみんなを助けたいの。みんなの願いをかなえたい」と。プリキュアとしてそう夢見る、願っているというのは同じなのです。
●いおなの言葉を聞いて、ゆうこいわく「しょうがないよ、お姉さんのこともあるし・・・」と、これを言えるのはゆうこの役割だな。二人を背中から映したカットに変わり、ゆうこはさらに続けて「私はいおなちゃんがああ言ってくれて、よかったと思ってるよ」。「え?」といおな。「(空を見て笑顔で)私はみんなで笑ってご飯を食べられたらいいな、と思ってる。(伏目がちになって)でもそれが難しいってこともわかってるの。(いおなを見てほほ笑んで)だけど私じゃめぐみちゃんに強く言えなかったから」。同じく夢見ていても、厳しいことを言うべきだ、と理解はしているのがゆうこ。反射的に言ってしまう、もとい率直に言えるのがいおな。このゆうこの言葉にいおなは、ただほほ笑んで返すんですよね。この通じ方は、めぐみやひめとのそれとは異なります。
●で、ぐらさんのアップが映るんですけど、このでかいサングラスかけたがゆえに表情見えないんだけど、口元はほほ笑んでいる妖精の顔が一切動かずアップになっている、ておもしろいんだよね、やっぱり。シリアスな空気をちょっぴりなごませる効果があきらかにある。またこれが、何も言わないけど(だからおもしろいんだけど)、いおなが悩める時はちゃんとそばについてる、てのがいいんだよな。
●「これからどうすればいいと思う?」と立ち上がるいおな。手をかしながら「私にもわからない。でも、みんなで答えを見つけましょう!」とほほ笑むゆうこ。「そうね」と笑顔のいおな。きらめく桃色の水面を背景に二人のつないだ手がアップに、と、ここで“握手”になるわけです。こういう会話を交わせる、というのがこの二人ならではの友情です。
●画面変わって、鳴り出したプリートフォンの画面に表示されるめぐみからの着信、取る手。夜の闇、アパートの遠景に重なる誠司の声「めぐみ、わざわざ電話でどうした?」顔を合わせては話しづらいことを、夜まで考えていためぐみなわけです。取る手がちゃんと男の手ですね。
●「うん・・・」「なんだ?悩みか?」「はぁ・・・」「(苦笑)」「あのさ・・・みんなが幸せになるって、難しいね。あたし、ブルーにもいおなちゃんにも幸せになってほしい。どうすればいいか、全然わからないよ・・・」「それをそのまま言えばいい」「(息をのむ)」「いつもみたいに思いっきりぶつかっていけよ。たとえケンカになっても、お前の気持ちは伝わるさ」「・・・」「悩みならいつでも聞いてやるからさ」「うん。ありがと」。と、何を丸々書き起こしてるんだって感じですが、このめぐみと誠司の会話はよい場面です。
●まず前段となるブルーがアクシアについて語る場面に、誠司が同席してなかったのがそもそもどうなの、というのはあるわけですが、ここで出てくるんですよ彼は。めぐみにとって、やっぱり誠司は頼れる、弱さを見せられる相手なわけです。(それがお母さんではない、というのはこの後の話にちょっと関わる点になりますが。)で、めぐみは変な顔のニワトリぬいぐるみを抱えてますが、これはひめの部屋にあったのと同キャラです、大きさ違うけど。ひめからもらったか、めぐみがひめにあげたか、流行ものなのか。まあつながりです。誠司の部屋には「温故知新」という習字が貼ってあります。プリキュア10周年だから、かな?あるいはブルーとミラージュの因縁の暗喩かも。あとため息をつくめぐみに、何も言わずに笑って待つ誠司がえらい。悩みを吐露するめぐみに、いつものままのお前でいい、と笑顔で明るく声をかけられる誠司がよい。誠司の後ろの棚のオーディオコンポは似合わない気もするけど、今どきは普通なのか。誠司の言葉に笑顔をとり戻すめぐみがいい。目を閉じてほほ笑んで「うん。ありがと」と誠司に告げるのがいい。プリートフォンを切って、宙を見てほほ笑む誠司がいい。誠司との会話を終えたプリートフォンを、抱きかかえるかのように両手で握って目を閉じてほほ笑むめぐみがいい。て、もうできあがってんじゃん!心配することはなかったよ!たぶん。
アクシアを抱えて、クロスミラールームで座り込んでいるブルー。そこへ自作のおにぎりを持ってくるひめ、いい子!「見た目は悪いんですけど、味はそこそこですから」というリボンのセリフがひどおもしろい。ひめいわく「ゆうこが言ってたよ。お腹がすいてちゃ力も出ないし、元気も出ないって」。「すまないね、心配かけて」と言うブルーに、「心配できて嬉しいんだ」とほほ笑むひめ。「だって私、ずっと神様やめぐみに助けられてばかりだったからさ。今度は二人の力になりたいんだ」「悩みがあったら言ってよね、ひひっ」。ゆうこにならった形での、ひめの二人への返礼、という構造。「ありがとう、ひめ。いただくよ」とブルー。ここでアップになるおむすびのぐちゃぐちゃぶりがすごいんだけどほほ笑ましい。「すまない」が「ありがとう」になる、というのも定番ですがよし。
●で、おにぎりの映像が薄くなり、地球と月の遠景が濃くなっていく、という形で画面切り替え。クイーンミラージュ登場。胸に手をあて、鏡に映るそれを見つめている彼女です。これ、地球上にはいない、という演出ではないよね?「青い星、地球・・・」とつぶやく彼女の口元。さらにほうけた顔で鏡の中の地球に手をのばし、そこにブルーの背中を幻視して、瞳ゆらして頬を紅潮させる(!)、と完全に未練あるじゃない。よかった、一応ここでは。
●しかし、そこにさすディープミラーの声。「ミラージュ様、また地球を見ているのですか?」と鏡の映像が変化。「不幸に染まりきる前の姿を見ているだけよ」と、ぷいっと体そむけて言い張るミラージュ様、ちょっとかわいい。あと、いつも見てるのね、浸ってるのね。「それならよろしいのですが・・・」とディープ。
●場面変わって、ぴかり神社にたたずむ険しい顔のブルー。背景の社殿→逆のカットから鳥居、という形で場所を示唆。空も明るく、一晩たった様子。そして鳥居に向かい石段をかけ上がっているめぐみの遠景。冒頭といい、めぐみはブルーまでのぼっていかなくてはならんのか。「おはようブルー!」とかけ寄ってくるめぐみに、虚をつかれた顔のブルー。
●笑顔のめぐみは目を閉じ、いわく「ブルーが悲しいと私も悲しくなるんだよ・・・ブルーはミラージュのことを話す時、いつも悲しい顔をしてるよ。」で、彼女も自身も悲しい顔になり、続けて「そんな時、私どうしたらいいかわからないの。お願い、ブルーとミラージュに何があったのか教えて!」と、あー、これは完全に恋してるセリフだなー。いや今更かよ、かもしれんけど、これまでは大人の男にドギマギしてた女の子、でもあったのが、この言葉を発する立ち位置って時点で、完全に男女の関係、ではないですか。
●「私たちも知りたいよ!」とそこへとどろく声。ここで足元のみ映ってますけど、おしゃれなサンダル・運動靴・ブーツ、と履き物の描き分けがいいですね。めぐみとブルーがふり向くと、たたずむひめ・ゆうこ・いおな・誠司・リボン・ぐらさん。「申し訳ありません、立ち聞きしてしまいまして」とリボンが言いますが、立ち入ってはいけない男女の会話なのかやはり。
●数歩歩み寄り、険しい顔つきのいおないわく「私は幻影帝国もクイーンミラージュも倒すべき敵だと思ってます。彼らを倒して世界を取り戻さなくてはならないから」。このセリフに重なる映像は、幻影帝国に変貌させられた世界各地の光景。「悪」をちゃんと印象づけてきます。うすくほほ笑んで「そうだね、君の言うとおりだ」と返すブルーと、悲しそうに彼を見るめぐみ。すると、いおなの表情と声音がやわらぎます。「でも・・・めぐみの気持ちもわかるんです」。はっとしていおなを見るめぐみ。
●胸に手をあてて、いおないわく「私も本当は誰かを倒したりやっつけたりしたいわけじゃない。世界を取り戻してもお姉ちゃんを助けられても、(手をにぎりしめてブルーを見据え)どこか不幸が残ってしまうのではダメだと思うんです」。22話の再現。「もし、みんなが幸せになれる方法があるなら、私はそれをみんなで考えたいです!」これがいおなの本心。「そうね。事情を知らないとどうしたらいいか考えられないしね」と、ほほ笑んでゆうこ。「もっと俺たちを頼ってくれよな」と誠司。みんなが最善を知りたいのだ。
●受けて「みんなありがとう」とブルー。見せてくれたその意志こそが、まず感謝するに値する。「ミラージュのことは僕の中で解決しようと思っていたけど、確かに僕たちの間で秘密があるのはよくなかったね」。妖精ふくむ全員の厳しい顔のカットがはさまれ、「今こそ話そう、僕とミラージュの過去を・・・」と、ここで画面に映る過去ミラージュは、やっぱりかわいい。黒髪黒目、ってプリキュア的にはひさびさなのか。鈴の音に重ねて、ブルーと彼をきょとんと見上げるミラージュ、ミラージュの上目づかいの笑顔、ミラージュの左目の下で光る涙、という三カットの切り替えが抜群。「そして・・・僕の本心を!」と胸に手を当てるブルー、やっとか。CM。
●ブルーいわく「あれは300年くらい前のことだったろうか・・・」と、いきなり大きい話。日本だと徳川幕府時代ですね。というかミラージュ日本人なんだよな、たぶん。ブルーが空中に出現させた鏡に映る、ふり向いて「神様!」と笑う巫女さん、やっぱりかわいい。並んで歩く二人を鏡に映しながら、腰に手をあて「これは僕と出会った頃の彼女だ」とほほ笑むブルーが若干自慢してるっぽいぞ、この野郎。
●「ぴかり神社の巫女をしていた、普通の女の子だよ」と、ここでぴかりが丘との因果が明言されます。仲よさげな二人の様子。ミラージュの笑顔映す鏡の前に割り込んできて「ちょっとちょっと!もしかして!神様とミラージュって恋人同士だったの!?」と叫ぶひめは、我々の代表。「僕は彼女を愛していたよ。そして大切だと思っていたんだ」と静かに語るブルーに、ちょっと表情くもらせうつむくめぐみ、それに気づいてちょっと顔をそむける誠司。でも、ここでの誠司はどっちかというと無表情なのよね。合宿の時みたいな悲観というよりは、静観の態度。
●「でも僕は地球の神だから、地球のすべてのものを愛さなければならない。そう思い込んでいた・・・。だから、ずっとそばにいてほしいと望む彼女の思いには応えなかった・・・かたくなに。」散る桜というイメージは、ゆうこの失恋話とも重なります。(と思ってたら、最新回でオチついたけど。)そして以前も述べましたが、『キャプテン・ラヴ』で言うところの「愛の共産化」問題です。「思い込んでいた」という言い方するってことは、後悔はしてるんですね。
●「僕はミラージュを傷つけてしまったんだよ・・・。(鏡の中でミラージュがこぼす涙に触れ)僕のせいで彼女は変わってしまった。本当のミラージュは、他人の不幸を望むような人ではないんだ!」と苦悶の表情を浮かべるブルー。この言動から考えられるのは、ミラージュの変化がディープミラーによるもの(らしい)とブルーは知らないのでは、ということ。あと恋愛禁止を言いわたすに至る心境も、この経験からくるうるさ型の親みたいなキャラとしてなら理解できなくもないんですけど、天然ジゴロな点がよくなかったですよね、反響的に。いや、私個人としては、そうディスられなくてもいいと思ってますよ、脚本構成上の必然だし。前年のずさんさとぐだぐだぶりに比べればさー、みたいな。
●ブルーの話を聞いて真っ先に立ち上がるめぐみ、ここでも靴がアップに。「ブルーは元のミラージュに戻ってほしいんだね」と、その心情を理解した発言。「できることならミラージュの笑顔を見たい、もう一度」と答えるブルー。「じゃあその気持ちをそのまま、伝えちゃえばいいと思います」と、めぐみの両肩を握って笑顔のゆうこ。明るく、肯定的に。「傷つけちゃったんなら、ちゃんと謝らなくちゃね!」と両手を握りしめて叫ぶひめ。いおなにも謝れた彼女らしく。「相手の話も聞かないで、一方的に倒すとかも、よくないと思いますし・・・」とたどたどしくいおな。これも彼女らしい譲歩。「クイーンミラージュが今何を思ってるのか、話さないとわからないしな」と腕組んでしたり顔の誠司。まとめ役らしく参謀らしく。「私もミラージュに気持ちを伝えた方がいいと思う」と、ブルーを見据えてささやくめぐみ。悩める大人を説得するまっすぐな子どもたち、という光景。シリーズ構成が共通のプリキュア5でも同様のシーンあるらしいですが、私は未見なのです。
●受けて、顔をふせるブルー。「僕はずっとミラージュから逃げていたんだ・・・。」彼の後ろの鏡に映るのは、今の姿であるクイーンミラージュの背中。その鏡の方を向き、言葉を続けるブルー。「ミラージュに憎まれていると思うとつらかったから・・・」鏡に映るクイーンミラージュの背中に触れ、「でもそれでは、お互いの気持ちは伝わらない。」プリキュア達に向き直り「アクシアの力を解放しよう!そしてミラージュがいる幻影帝国に行こう!」鏡に映る幻影帝国、そしてクイーンミラージュの無表情な顔。もちろんこの一連のセリフは続けて口にされるわけですが、映像の演出が本当うまい。流れる曲も穏やかなピアノの音なんだよな。
●で。それを聞いたゆうこが「幻影帝国の中ではプリキュアの力が100万分の1になっちゃうわ」と心配そうに口にするんですが、このチープさ、やっぱりギャグだよな。転調。ちなみにブルーによれば、アクシア目覚めさせれば大丈夫だそうです。心配そうな三人の前にスライドしてきて「アクシアすごごご〜い!」というひめが、うん、ギャグだ。
●ここでブルーが心配そうな声で「力を貸してくれるかい?」という聞き方するのが、すごくよい距離感だと思います。彼はプリキュアにとって上司のような立場であり、しかし感情にまかせての判断を今回おこなうわけです。それに必要な助力を願うわけです。正義の味方プリキュアであるところの彼女らは、それに応えます。めぐみが「もちろん!」と叫び、ひめは「どーんと来いだよ!」と胸をたたき、みな笑顔です。「みんな、ありがとう・・・」とブルーは目を閉じます。救われる側です、今のブルーは。ある意味旧シリーズの妖精と同様、なんだけどこういう内実を持ってはいなかったもんな。
●そんな温かい場、ぴかり神社の遠景がゆがみ、ディープミラーの光る紋様(目?)が浮かびます。「ミラージュ様と話し合う?無駄なことを・・・」と冷笑するディープ、ミラージュの部屋の背景は灰色。クイーンミラージュはソファで横になってます。ここでちゃんと見ていれば!という感じですが、ぴかりが丘についてはファントムも出陣させてませんでしたし、ブルーがミラージュ避けていたのと同様、ミラージュもブルーとの思い出の場であるぴかりが丘の直視は避けていた、のかもしれない。
●「しかしアクシアの力は厄介だ・・・」とつぶやいたディープは、ブルーがあなたを倒そうとしている、とミラージュに吹き込む。「あなたを倒すために、キュアラブリーを使って。」とささやく、ここで初めて、ディープミラーの人間体としての口元が見えます。赤毛のセミロングっぽい。「キュアラブリー・・・」とつぶやいて開いた目が赤く光るミラージュ。煽るディープミラーは、完全にミラージュの恋心と嫉妬心利用してますね。ひどいことするなあ。三幹部を呼び出したミラージュは、アクシア復活を阻止させるためにぴかりが丘へと向かわせます。
●「シャン!」と鈴の音、タンバリンじゃないよ。「ジャーン!」と回転して見せるひめはドレス姿。「ひめステキ!」「そんなこと・・・あるけどー!」のやりとりもひさしぶり。「ブルースカイ王国の王族の衣装」をまとったひめにより、アクシア解放の儀式が始まります、解放少女。そういえば23話での回想に出てくる、「アクシアに祈りをささげる儀式」でもひめがドレス着てましたっけ。鈴を鳴らしながら舞い始めるひめ。「踊りでアクシアを解放できるの?」とめぐみ。ねえ。「ブルースカイ王国の王女であるひめが踊れば、聖なる力を集めて、ブルー様の力を高めることができますわ」とリボン。ふーん。「プリキュアのフォームチェンジが踊りなのもその為なんだぜ?」とぐらさん。そうだったのか!両手広げっぱなしでたたずむブルーは、ちょっとシュール。
●発光し始めるブルーとひめ。そこへ「そうはさせないわよ!」とホッシーワの声。三幹部の表情も、心なしか真剣です。ひめ以外の三人はプリキュアに変身。なんかひさびさに変身シーンちゃんと見て思ったんですが、キュアハニーが「大地に実る」と言いながら両手あげて足そろえて体くねらせてるポーズって、稲のジェスチャーなんでしょうね。ご飯好き過ぎだろ。三幹部との直接対決へ。ちゃんと強敵!
●「輝け!シャイニングメイクドレッサー!」と叫ぶブルー。アクシアは白い光を放ちながらアクセサリーケースらしきものへ変貌。その光をあびて動けない三幹部に、めぐみのポップンソニックアタック→いおなのスターライトアセンション。頭上に天使の輪をつけ真っ白な服になった三幹部は、恍惚の表情うかべながら浮いてゆき「ゴクラ〜・・・」とすわ浄化されるかという矢先、暗転した画面に浮かぶ赤い紋様。
●聞こえてくるディープミラーの声。「幸せは一瞬、愛は幻。心を惑わす災い。思い出せ・・・お前の怒りと悲しみを!」オレスキーの顔に怒りが戻る。光が消え、その場に立っている三幹部。「私は幸せなどいらんですぞ」とナマケルダ。「自分の幸せより、他人を不幸にしたいわ!」とホッシーワ。「ぬるい幸せよりも、俺様は一番になることを選ぶのだ!」とオレスキー。全員の声に怒りが含まれている。姿を消す三人、顔をひきしめる面々。
●この一連の場面から推測できるのは、ミラージュやファントムがくり返し口にする幻影帝国側のイデオロギー(?)はディープミラー発祥らしいこと。その中では愛や幸せこそが「幻影」で、怒りや悲しみを忘れさせ心を惑わせるゆえに「災い」であること。その理屈に納得できるような悲劇の体験を、三幹部もそれぞれ背負ってるらしいこと、ですかね。しかしミラージュに嘘吹きこんで操るディープミラー見ていると、それらの言葉も“甘言”まじりっぽいんだよなあ。余談に近いんですが、「スマイルプリキュア!」の大塚隆史シリーズディレクターはインタビュー上で、悪役の設定については作品の性質上あえて掘り下げなかった旨を明言しています。そこからするとハチャプリの場合は、すでにクイーンミラージュの設定からして異質なわけですが、三幹部についてはどうなるんでしょうかね。
●シャイニングメイクドレッサーの力を感じ取るクイーンミラージュ。「ブルー・・・そんなに私が憎いの?」ここでもディープミラーに憎悪あおられるのが痛々しくてなあ。ファントムを呼び出し、ブルーを倒すよう命じるミラージュ。緊迫感あおる音楽で、つづく。
●予告は黒ラブリーのインパクトだな、やっぱり。本編見た後だと、「みんなの思いを受けて、私は自分を超えてみせる!」というめぐみの叫びがいいね!



※というわけで、ひさびさにプリキュアの感想書いたらえらく時間要してしまいましたが、ここ三回大変楽しんでおりますよ、はい。