谷川史子、遠藤憲一

長い。遅い。突発的。本日より原原カカリヤのブログ、本文スタートです。



谷川史子『清清と』1巻(少年画報社)
谷川史子、好きです。初めて読んだ作品は、一昨年に出た『くらしのいずみ』。少女マンガの良質なファンタジー再生産してる、その真っ当さにどハマりいたしました。
・さらにその年は『くらしのいずみ』以外にも、『草の上 星の下』『おひとり様物語』『東京マーブルチョコレート 〜ハロー、グッバイ、ハロー〜』と、あわせて四冊も本が出た。どの作品も楽しかったです。いい時期に出会えたもんだ。
・その後「りぼん」系誌掲載作品も文庫本で読んだのだが、やっぱり今描いてる作品の方が面白いのである。つまり、ちゃんと時代と共に成長している描き手なのである。上の四冊にしても、作品ごとにしっかりテイスト変えてきてるし。うむ、「作家」だ。ますます気に入ったね僕ぁ。
・さて『清々と』1巻です。名門女子高の生徒や先生が、ちょっと泣いたりニッコリ笑ったり。
・かーわーいーいー。いやさ愛おしい。てか巧いのよ。読者をそういう感想に至らせるだけの、つまり読後感としては幸福ですよ、それ感じさせる為の技術。話運びの緩急にしても、絵の見せ方にしても、巧いんですよコレは。
・谷川絵によるキメ顔、表情のアップ(もう!もう!)とかSD絵の入れ方とか、少女マンガ然としたモノローグそれ自体の読ませ方も。さすがベテラン、と感じさせるだけの強みなんですよなあ。(「絵は達者だけど…」な人もけっこういますし。)
・ちょっと気になったのは、大コマに飛んでる、複数行にわたるネームの読み順がわかりにくいページがあった。これむしろ、写植貼る位置の問題かもしれないが。
・他方、これ左手だけど右手に見えない?てのは気にしません!(笑)
・続きも楽しみ、なんですが不定期連載なんだよなー。『おひとり様』2巻と、どっちが早いかしら。



湯けむりスナイパー お正月2時間スペシャル」
狩撫麻礼作品にはイマイチ“乗れない”不肖カカリヤですが、漫画サンデー掲載作品『湯けむりスナイパー』は割と好きです。なんといいますか、「抜け」がいい感じ。話として楽しめます。
・昨年放送された、ドラマ版の方も絶品でした。主演・遠藤憲一の名演、原作どおりマジも変も込みでの“シブい”脚本(「男の夜食」は名作!)、CKB-Annex(クレイジーケンバンド別動隊)によるイイ音楽、そして遠藤憲一のナレーションと共に字幕として映る“ネーム”!ちょくちょく映る女性の裸もご愛嬌。なんかもう見事に「テレビドラマ」、B級テイストであることの誇りを体現したかのような快作でした。
・そんなドラマが好評を受けてか、今年1月2日にスペシャル放送。実家で見たかったけどホラ、正月から茶の間のテレビで女の裸見たら気まずいじゃない。あと前半がNHKの「星新一ショートショートスペシャル」と被ってたし。(『午後の恐竜』泣けました。)そんなわけで、録画しといてやっと見れたよ、という次第。
・「50年愛」素直によい話。大杉漣の演技はややくどい気もしたが、このドラマではけしてマイナスではないか。でも源さんは泣かなくてよかった、むしろ泣いちゃダメ、と思うな。(原作でのムッツリ顔も微妙だけど。)
・「春よ来い」冒頭とラストのモノローグは、ネームで読めば、アンチ大衆文化、て感じで狩撫節炸裂なんでしょうが、遠藤憲一のナレーションでやられるとまた別の味わい。このぎこちない進行というか、生っぽさはこの作品ならでは。今回のスペシャルでは、これが一番好みな回でした。
・「初詣」長門裕之のセリフは飛び道具ぽくて、見ててちょっと焦ってしまった。そんなバイアス抜きにして、素直に楽しめばいいんだけどね。トラが今後出ないのは残念だなぁ。テレビドラマの起用としては、珍しい試みだったと思うし。
・さて、ドラマ部分のラストは、初詣に行った源さんの以下のモノローグで締められます。くどいですが、エンケンの声です。「血塗られた殺し屋の過去が払拭され、俺の人生がリセットできているとすれば、神様、お願いです。どうか、どうかこの土地に長くとどまらせてください。そして、この人たちに多くの幸せが訪れますように。」
・うわベタ。しかしここまで見てきた視聴者は、多少なりともこのナレーションに感じ入るはずです。そこに成立を見るはずです。実際グッときた俺です。それだけの文脈咀嚼できるだけの回路は、すでに備わってるはず現代ニッポン。
・やっぱりいいね、『湯けむりスナイパー』。まだまだ見続けていきたいドラマです。期待。
・さて、麻枝准は今、アニメの脚本書いてるそうですが、別にこのドラマみたいなノリでも全然かまわないんだぜ?と、『CLANNAD』プレイしてて、職場のアニキとじいちゃん先生にボロ泣きさせられたオイラは思うのですね。そんなファン層いりませんかそうですか。