ハルタ感想記事の更新再開にあたって

いや~、福島聡『バララッシュ』、2巻もむちゃくちゃ面白かったですね!(挨拶)
バララッシュ 2巻 (HARTA COMIX)
バララッシュ 2巻 (ハルタコミックス)



というわけで。サワミソノの連載『丁寧に恋して』の突然の中断&編集部からのそれについてのコメント一切なし、という不義理にブチキレて停止していた当ブログの「ハルタ」感想記事ですが。掲載作である『バララッシュ』新刊もすごく面白かったことだし、楽しませてもらったからには継続的に言祝ぎたいものだし、気分を変えて更新再開したいと思います。
一応、ハルタ誌面の現状への認識を明言する意味でも、感想記事の停止期間中にした言及ツイートを貼っておきます。





というわけで、雑誌単位での愛着は全然ないままですね(正直)
それでは8号ぶり、10ヶ月ぶりのハルタ感想記事です。

ハルタ 2019-FEBRUARY volume 61

※上であおったわりに、まあ先月号なんですけどね。



丸山薫『図書室のキハラさん』/帯裏連載。湿気とカビのファンタジー化か。本の痛みはねえ。

●富沢未知果『卵色の幸福』/読み切り。学園もので友情、地に足の着いた展開。正直読みにくさもあるが、画面構成により演出を作る意図がしっかり見えるのでよし。面白かった。描き文字のサイズについては編集側から指導してほしい点だが。特にラスト。

九井諒子ダンジョン飯』/続・チェンジリング。扉絵は種族表(?)。

→本編1ページ目、冒頭から構成が上手い。1コマ目、上と右に断ち切りのコマ。現状が描かれているわけだが、左右に壁の見える構図により背景=環境の図示。コマ右側の壁、次に構図奥での人物の動作とオノマトペ「もたもた」が目に入る。左方向に視線は進み、構図手前の人物と「スタスタ」まで見て、移動中であること、各キャラの進行状況が見てとれる。
/そこから次のコマ、下方向に視線をやるわけだが。1コマ目左から右に折り返しつつ下段に向かう視線は、二段目コマの左右を分かつ、左に傾いたタテ枠線に誘導される。「がっ」というオノマトペ、衝撃示す破裂漫符、“足元”の絵が目に入る。コマの大きさ、コマ内の空間は2コマ目で急に狭くなる。また、2コマ目でつまづいている床の鉄枠は、ページ上では、ちょうど1コマ目で描かれたそれの“下”に位置し、より大きく描かれている。
/ここで読者に意識される“アングル”の変化は、1コマ目の構図から、2コマ目は下方向に移動して一部アップ、という形。つまずくという描写・キャラの足元にあわせ、視線移動の方向、コマ(絵の枠)の縮小、部位の拡大もあわせて意識されることで、描写がより効果的に映える。
/2コマ目の描写を受けて、3コマ目は転ぶ絵。「がっ」(つまずき)の結果としての転倒&「ズベ」(“転倒後”のオノマトペ)。ここで面白いのは、2コマ目から3コマ目、右から左への視線移動の中で、右側コマにおける左上カドの鋭角さが、左側コマにくい込んでいる・かぶさっているような感覚を覚えさせる点である。それがコマ間の影響のスムーズさ・連続する瞬間であることを意識させる。どちらのコマもフォント無しで集中線あり、「がっ」「ズベ」という連続オノマトペのテンポ、という点も、読者に瞬間の連続と読ませる上でより効果的である。
/1コマ目から3コマ目という尺で通して見ても、「もた もた」「スタ スタ」というオノマトペからの、あるいは断ち切りコマの広さからの、話運びとしてはテンポアップと映る作用である。1コマ目と2コマ目における鉄枠にふれたが、さらにここで転ぶキャラの1コマ目と3コマ目の位置関係を見ると、二つのコマの鉄枠を経由した曲線上に位置するといえる。2コマ目と3コマ目の間の左に傾いた枠線が、1コマ目から2コマ目へにおいては視線の誘導、2コマ目から3コマ目へにおいては描写の連続性、と異なる効果はたす点も技巧の妙味だ。

→やっぱり九井諒子はすごいなあ、と、冒頭3コマでこんなダラダラ語ったりするから感想書くの大変だったんだよ、思い出したわ。さて。前回のバトルで種族の能力差にふれたが、今回は年齢という生態にも言及。飛行するモンスターの描写において速さを表現するべく、ページや段の切り換えにあわせての“出現”。一方で、左への視線移動の中においては、スクロール・分節としての描写。背の低くなったマルシルのハプニング描写においても、この描法は通用。人の輪は強い(意味が違う)。お楽しみチェンジリングには『鉄鍋のジャン!』の冷凍食品餃子を連想。

福島聡『バララッシュ』/グッズショップにアッコと鶴太郎、という90年原宿の背景。宇部最低だな、な前半の率直な当初の感想はおいて、天才が感情を得るターンに入るのか。凡人の感情は理解できずとも、天才同士においてここで威嚇されていることは通じる、というのは恐怖であろうし、またその狂気とその後の悲哀の描写が上手いんだよ、凡人のそれとの対比あわせて。そこから、しばらく物語中で“通じて”なかった山口の手たたくアクションが、近寄ることで両手で顔はさむという形にここでなるっていう、このカタルシス。すでに心酔する監督も変わった、一歩踏み出してるのよな前回で。だから宇部との別離も必然で、宇部がこういう心境になったらまた出会うのも必然で。見事だよなあ。

●荒木美咲『リトル・ホテリエ』/読み切り。ホテル支配人は小学生!作家名も前作も失念してたが、読んでて芸風思い出す。ドラマとしてのノリのよさに、構図・断ち切りコマの効果的な構成が映える。背の低い中心人物もコマ内でスムーズに読ませてくるあたり、やっぱり上手いんだよな。面白い。

中村哲也『キツネと熊の王冠』/最終回。シリーズ前作もだが、職業ものとしての本分であるディティール描写と、日常設定としてある主人公カップルの描写が、物語として上手くかみ合ってるとは言いにくいのよな。特に終盤では、結果の形としてイベントと成就を両方こなさねば、となると。しかし本作のラスト、カウンターに乗った二杯のビール、その間にヒロインが座ることで身長差も埋まりキスも可能!という状況は、シメの情景としてはうまくいったかな、と。お疲れ様でした。シリーズ続編も準備中とのこと。

樫木祐人ハクメイとミコチ』/親方の家は和風、あと夫人は強い。夏の瓦の熱さは正直ものすごいぞ。

山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/男と女。絵の男もサーカスの男も、どちらも芸術でしかしその追求においては、という対比なのだよな。一人でやって形に残るものと、集団でやる一幕の演舞という差異も物語として利いてくる。作り手といち観客の関係性も通底しつつ。ミロンのしっぽはわざとだよなあ、いい抜け。

●設楽清人『忍ぶな!チヨちゃん』/敵(仕事相手)に対しては素直(冷徹)というね。ワタルのこれはフラグでしょ、しかし。

●浜田咲良『画家とモデルと魚たち』/2号連続読み切り1回目。女体盛り…いやさ、北斎のタコみたいなもんか。サンマはおいしい、生きるに値する価値。このイカれてるんだか熱いんだかっていうノリが面白いんだよね。以前も言ったが、柴田ヨクサル系というか。

●百名哲『止めろ、メロス』/シリーズ読み切り最終回。連載続く内、好みだった当初のフォークロアっぽさからは離れた印象もあったのだが。エンディングをこのような知られざる者のハレという形で決められると、やはり山松ゆうきち的なおはなしの脈絡を感じ取ったのは間違いではなかったかな、と。お疲れ様でした。

近藤聡乃『A子さんの恋人』/事後の日常、のような異国の日。いずれ、“日常に戻る”ことはもうないのだろうな、この物語においては。A君にとっては、選択を延ばすことが決断であったと。

週刊少年チャンピオン2019年15号

  • 弱虫ペダル60巻着せ替えカバー付き。60巻ぶんの表紙絵一覧にもなっているのはよいね。
  • 入間くんのアニメ化スタッフが掲載されているが、筆安一幸(ふでやすかずゆき)は断じてプリパラのシリーズ構成ではなくいち脚本家である、という点は重々言っておきたい。大体、全編がふでやすレベルでいいと思った結果が、現状のキラッとプリ☆チャンのグダグダぶりだろうが。(飛び火)/それはそうと、監督が森脇真琴で放送局がEテレとなると、脚本に土屋理敬が入っている可能性は十分あるので、これはチェックせねばなるまい。





西修『魔入りました!入間くん』/2周年巻頭カラー&作者インタビュー&リバイバル掲載。まあ全編通してテンプレ異世界チートの薄っぺらさで、俺本当この作品嫌いだわ(正直)。誤字にあらずで低脳ヒロインの萌えしぐさにうんざりきたところで、次回予告が『オヤマ!菊之助』掲載という大オチ。

板垣巴留BEASTARS』/入れ歯なあ。肉体の変化が精神にまで影響およぼすのかどうか。

板垣恵介『バキ道』/ノリノリだな、金竜山。猪狩のフィクサーぶりはこいつに継がれたのでは。しばらく普通に相撲なのかね、しかし。

渡辺航弱虫ペダル』/なるほど、主人公だけ再会パワー発揮するのはチート展開だからライバルも再会する、マイナスにマイナスをかけてプラスにするという、いやいや。でも正直、してやられた感じ。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/ホワイトデー。なんかこう、いい影ぐあいのオチ。

安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』/机を横にくっつける際に机の足が二本ぴったり接するわけないだろ、な上にその内側についている横向きの鉄棒までぴったり接してて、なんだ、だまし絵?

●中村勇志『六道の悪女たち』/学内にて顔合わせ。初見だとなあ。委員長は無事なのか。

桜井のりお『ロロッロ!』/先輩の卒業、て時間進むんだこれ。美術部でDJとは、てオチのためかこれ。

●灰谷音屋『ジュニオール』/鼓舞。この辺は少年だな。閉塞感の読ませ方においても、また画面構成が効果的。

荒達哉『ハリガネサービスACE』/その理屈だと腕の長さが竹刀並みって話では。相手は不良あがりだから応用できる技術もないんだ。(ひどい)

平川哲弘『ヒマワリ』/そこまで出ばるのか。会社側は信用ないんだな…。

●宮崎克、野上武志『TVアニメ創作秘話~手塚治虫とアニメを作った若者たち~』/最終回。『ジャンピング』の話を最後に持ってくるのはツボ押さえてるな。この終わり方は、ハードワークがたたって、という感じがどうしても。アート側の話になると、久里洋二古川タクといった大人漫画の方面からはどう目されてたか、てのもなあ。

佐藤健太郎魔法少女サイト』/なんだそのシステムの穴は。しかし、このB級ガジェット感こそ本分よのう。

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/どの部分で逆鱗にふれたのか、という鬼側の倫理観が今一つわからないのだが、パパ!ママ!終わったよ…。

●村岡ユウ『もういっぽん!』/風呂シーンと電話シーンの両立は文明の力。6話の“絵”の良さで、もうふっ切れたと見ていたので、まだ続いてたのかよってのはある。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/ももひきはいいものですよ。


  • レジェンド作品は『京四郎』『特攻天女』。どっちの紹介文も最後には、40周年時の読み切りにふれてるってのが。

ミリシタ雑記

起きぬけのうつろな頭でプレイしたら、「ビッグバンズバリボー!!!!!」のフルコンボいけた!


「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」ゲーム内楽曲『ビッグバンズバリボー!!!!! 』MV



以上。

コミックビーム2019年3月号

  • 表紙は映画『血まみれスケバンチェーンソーRED』。先月号と女子学生つながりだ!主演女優・浅川梨奈のインタビューも掲載。



三家本礼『みかもとまいにち日記』/映画宣伝読み切り。アイドルとアクションの親和性というのはわかる気がする。自分が映画の『テルマエ・ロマエ』や『アベックパンチ』見た時も、大体「ビーム作品が立派になって…(ホロリ)」みたいな気持ちでしたね、はい。

中野シズカ『てだれもんら』/新連載。設定的に『きのう何食べた?』がだぶってしまうが。スクリーントーンによる料理の表現がよい。

●とりのささみ。『N極物語』/ページ差し替えネタ…いや、いいんだけどさ。

●福富優樹、サヌキナオヤ『CONFUSED!』/ラジオという媒体の“リアル”も体験に左右されるもんだろうな。柱の文通的な書き込みは、うーん、狙ってるのか?

やまじえびね『かわいそうなミーナ』/集中新連載。哀しい幽霊。ちょっと山本ルンルンっぽい雰囲気も感じる。

鳩山郁子(原作:堀辰雄)『羽ばたき』/盗賊あらわる。町の喧騒から少年たちへ、見得を切る絵から情景へと、変化する描写の読み心地がいい。そして、ラストにまた決め絵。

三宅乱丈イムリ』/和解はまだ始まっただけにすぎないという、この上意下達の困難さを見せるモブ描写よ、セリフのディティールよ。大河作品だよな、本当。場面としては、受け継がれる意志を見ることができる側にも、すでにその萌芽は存在する、というカットインが良い。シーン最後の、一人が動作により背景と化すことで、二人の絵になる1ページコマが巧い。

●小山健『生理ちゃん』/宇宙にてSFチックに生殖をおりまぜ。やっぱり物語のツボの押さえ方見せ方が上手いんだよなあ。映画化、はどうやるんだ。

●十日草輔『王様ランキング』/出張再掲載、第1話。出だしは直球のメルヘンですな。

いましろたかし『未来人サイジョー』/漫画家マンガやってるんだけども、このあふれる生活感よ。

●谷口菜津子『彼氏と彼女の明るい未来』/お、おう、それほどにか。なればこそ過去との、彼氏との対比がな。

●冬川智子『華子のこと』/読み切り。思い出の彼女。これも女性マンガ風だな。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/新井作品といえばディティールが持ち味なんだけども、すべての存在が空白としか見えなくなった時、としての妄想世界という構成か。で、ここからどうするんだ。

●うすね政俊『砂ぼうず』/ひぃ、なつかし過ぎる顔が続々と。物語も大きく動くのかな。

松田洋子『父のなくしもの』/犬の話だけど犬漫画にはならない、この位置付けがやるせない。それにしても、ちば先生のお顔…。

●黒崎冬子『開運怪奇 吉原くん』/読み切り。ホラーギャグ。なんというか、懐かしいテイストの少女マンガコメディが重なる。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/騒音も文字も避けて、とヤってしまうのか。思えば田中ユタカあたりの描くエロも二人の世界≒静寂ではあったかもしらん。

●ハセガワM『マリアの棲む家』/最終回。人間力!(意味が違う。)最後までド迫力B級ホラーとして完結。すごかったな。お疲れ様でした。