週刊少年チャンピオン2019年26号

西修『魔入りました!入間くん』/まあさ、とりあえずさ、幼児化≒無垢だの、生来の形質だので物語の本筋すかす展開てのは一般的にありなわけよ。ありだけど、普通、能力のある、それをメタネタなり技巧なりとして用いる作家というのは、その邪道さに対しても十分自覚的なわけじゃん。なればこそ、そこをアンチにおいての本筋たる状況設定や内面も描きうるわけじゃん、物語が作れるわけじゃん。その辺の構成力のなさを、なーんちゃってノリの“ゆるさ”に逃げてごまかせると思ってる作家が大嫌いなんだよ、俺。いわんや、それを世界法則・上位概念として貼っつけられた作品なんぞ。

板垣恵介『REVENGE TOKYO』/再収録。シコルスキーは本編でだいぶ株下げちゃった印象のキャラだけども、そこで見せる芸当が無意識下での優位(?)というのは抜け道になってるんだかどうだか。それにしてもバキ道開始時のアンケートでの処遇はあんまりだと思うの。


●村岡ユウ『もういっぽん!』/大会前に原点の夢。サブタイトル「埼玉拳」でなんぞやと思ったが、十個の拳のコマよいね。

浜岡賢次『あっぱれ!浦安鉄筋家族』/ルパン三世ネタ、というよりほぼ宮崎ディスな気も。PART5の試みはいい挑戦だったと思うんだよ。

板垣巴留BEASTARS』/なにも、そんな形で運命を重ねあわせなくても…。過去を殺すか、過去にしがみついたまま生きるか、なのか?

●盆ノ木至『吸血鬼すぐ死ぬ』/きめる時はきめる猿おじさん、よい緩急。でも設定レベルでのシリアスは別に望んでないというか。

●古田朋大『謀略のパンツァー』/主人公、そっちもいけるクチだったか。ある意味強いけど。そして謎の陰謀展開。

桜井のりお『ロロッロ!』/これも男女逆転ネタっつうか、なんなんだよこの少年マンガ誌。バズりなあ、さちおみたいなの描きたいのかみんな?(真顔)

佐藤健太郎魔法少女サイト』/男衆大活躍。

平川哲弘『ヒマワリ』/詞も曲も提供されてた身で、デビュー直前で全員一斉にやめて、またみんなでアイドル目指すぞーって、あのさあ。

奥嶋ひろまさ『ローンウルフ』/読み切り。だいぶ青年誌っぽいカラーの復讐アクション。武装した車イスといえば、ヤンチャンでやってたブラック・ジョークは…。

●いづみかつき『鬼のようなラブコメ』/男同士の馬鹿な友情、殴り合い。元凶お前らだったんかい、しかし。次回最終回、なのだが、終わるの意外とか恋愛方面の理由でキレたと思ってたみたいな感想も見かけて、まあ見方も人それぞれよねえ、と。

●灰谷音屋『ジュニオール』/ある意味ナイスパスだから吉村。皆が前に出るようになる、という展開が気持ちいい。

古賀新一エコエコアザラク』/リバイバル掲載。元ネタは二瓶のソースだけどもアイディアストーリー寄りというか、黒魔術は呼び水にのみ使うんかい。人骨と豚の骨というと、エイリアン通り思い出す。

石黒正数木曜日のフルット』/ある意味読者批判なのだろうか。


  • 3代目編集長、阿久津邦彦インタビュー掲載。発言の一つ一つに自覚性と理性がのぞく。あすなひろしの名もちらりと。阿久津氏にふれたツイートが、とり・みき氏の今はなきアカウントからRTされたこともありましたっけ。

 青い空を、白い雲がかけてった 1巻 青い空を、白い雲がかけてった 完全版 上 (ビームコミックス文庫)

  • インタビューはザ・ギース尾関高文。わりとチャンピオン作品にもくわしい。
  • (追記)新人賞審査員の漫画家の半数が、歳脇将幸・鈴木大・平川哲弘という面子だとそれはそれでどうかという気もする。