コミックビーム2019年1月号

  • クリーム色&銀の表紙カラーリングがカッコいい。過去に『SOIL』もこういうのやってたが、絵が映える。で、片隅に「テクテクテクテク」広告が。



西尾雄太『水野と茶山』/ハサミを投げる、壁村耐三オマージュ!

鳩山郁子(原作:堀辰雄)『羽ばたき』/新連載。ほぼ初めて読む作家なのだが、面白い絵とカットバック。

●原百合子『繭、纏う』/主人公二人がイレギュラーの存在ならば、今回は体制側(システム)の物語。魅惑、魅了。毎回、ラストページの一枚絵を印象的に使ってくる。

●小山健『生理ちゃん』/ナプキン開発者を描いたインド映画「パッドマン」に作者もコメント寄せてたが、こちらも同様のエピソードをゾンビ映画仕立てで。オチがぶっとんでいる。ラフな絵柄だけども、画面構成はしっかりしてるんだよな。

いましろたかし『未来人サイジョー』/1970年大阪。いわゆるビジュアル的な“細部”ではなく、あふれる生活臭という形のディティール。

●伊図透『銃座のウルナ』/あの日々を宿したまま、生きてゆく。グリーンの現状と心境は、未来を思うウルナとの対比でありつつ、かつて彼女が来た道でもあるのだよな。ある意味、『あれよ星屑』とも対になるか。次回、最終回。/余談だが、ハルタ最新号掲載、山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』中の戦場の描写も好きです。

松田洋子『父のなくしもの』/マンガかよ。いいえ、ある人生です。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/あー、確かにパイナップルハンバーグがあるな。かぎばあさんだって作ってたしな。本筋はひどい、というか、二郎が(会食として)関われない領域、になるのか。

三家本礼『血まみれスケバンチェーンソーreflesh』/そりゃ戦闘経験においては、明らかに主人公の方が上だろうしな。

●飯田ヨネ『ハローハロー宇宙』/読み切り。最近のビームは、わりとベーシックな少女マンガ風味のも載せるようになったな。誌面における癒し枠ではある。

上野顕太郎『夜は千の眼を持つ』/クリスマスショートネタ集。こういう構成許されるのも編集の采配ではある。8頭立てかわいい。

●仲能健児『ベムナ』/読み切り。同じ構成のネタを続けている、ということでもあるんだが、ここまで極北の表現だともう変奏曲みたいなものだし。

●うすね正俊『砂ぼうず』/リアルタイムで15年ぶりの登場、というアオリ見て、あれ、俺そんなに長い間ビーム読んでたのかよ、となるっていう。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/前連載は鬱屈、もとい生き地獄の先にカタルシスのある構成だったけれども、本作はとりあえず今のところ、そのカタルシスめいた描写じたい虚構だったという内容なわけで、どうするんだろう、これ。

●ハセガワM『マリアの棲む家』/絵力、エログロ。

●田辺剛(原作:H.P.ラヴクラフト)『時を超える影』/最終回。悪夢から覚めるのではなく、見ていたそれが現前する、という終わり方なのだよな。ラストシーン等、前作『狂気の山脈にて』と対になる作品でもあり。お疲れ様でした。

丸尾末広トミノの地獄』/最終回。尺の問題で唐突感は否めないが、作者らしい幕引きと達成ではあるか。お疲れ様でした。/余談だが、これだけ休載はさんだ作品を「4年10ヵ月の連載」と銘打って記事化するコミックナタリーは雑過ぎるのでは。


  • 市橋俊介のコラム連載200回。こっちの初回はたぶん見ていない。嫌がらせメールも送ってないよ!
  • 次号は『繭、纏う』が表紙&付録つき。売れて!