コミックビーム2018年1月号

  • 3号連続実写表紙。



●片桐健滋・梅本竜矢・羽生生純『ルームロンダリング』/新連載、映画コミカライズ。霊が見える女性主人公にして、占有屋の別形態みたいなものか。巻末コメントで「初コミカライズ」と述べているのは、これまでの“原作もの”と異なり忠実な漫画化ということだろうか。題材的に『アワヤケ』でプレゼンしたのかね。

イシデ電『猫恋人』/新連載。タイトルどおり、猫を模倣する恋人。うむ、猫好きじゃないのでそこまで仮託できる脈絡が正直わからん。

新井英樹『KISS 狂人、空を飛ぶ』/衝撃の展開だが、この為の世界観だったってことよな。この作家の筆力でいかに“戦争”が描かれてゆくか。

おおひなたごう目玉焼きの黄身 いつつぶす?』/すごい求婚ギャグ、と思ったら実話ネタだそうで。


→初期の光景のリフレインということで、やっぱり完結に向かって進んでるっぽい。

●伊図透『銃座のウルナ』/サブタイトルと巻末コメントに笑う。しかし、ここまでいちゃラブされると崩壊近そうだよなあ。最後のページの隣も『フリージア』新装版広告だし(それは関係ない)。

三宅乱丈イムリ』/ラルドの信じていた、まやかしに思われた希望が、敵に利するだけとも思われた行為が、彼の望みを断ち切った者によって再び、真の希望として体現される。胸にせまる場面だ。ガラナダもいいキャラに育ったよな、当初ちょい役の予定だったというのが信じられん。情報&心理戦の描写は、『ペット』のそれを思わせる。抗体がカギかねえ、やはり。

●谷口菜津子『サセコちゃん愛をさがす』/読み切り。因果応報、なのかしら。

カネコアツシ『デスコ』/偽者が代わりに消え、そしてこれは新たな偽者?次回最終回。

●conix『青高チア部はかわいくない!』/ブラバン顧問、こういう突き放ししたがる嫌味教師いるよね…。折り鶴苦行のリアリティも、籠落の戦術としてある“かわいいは正義”も、欲も業もある女子キャラ前提のエピソードの立ち方ながら、なればこそ部活モノとして立つという。

山川直人『小さな喫茶店』/すわ食マンガ、いやさ掲載月にあわせて同人誌ネタ(資料系)、たぶん。以前に百名哲作品の感想でも触れたが、ナポリタンというガジェットだか表象だかの占める独特のおはなし上の地位ってあるよね。名古屋喫茶といえば鉄板ナポリタン。

山田参助あれよ星屑』/狂気の酒宴。しかしそれがこの男にとっての意地であり。死を負って死の淵へ行くことが宿命と思えてしまうほどの、戦争の中にいた者、帰れなかった者、その物語の形。次回最終回。

●オカヤイヅミ『ものするひと』/普通に業界モノになるのか、これ(今更)。

田中貢太郎近藤ようこ『蟇の血』/ひいぃ。エロゲ的退廃とはまた別の、とか書いたらなんのこっちゃでしょうが、恐怖の形としての絵力のすごみがな。次回最終回。

須藤真澄『どこか遠くの話をしよう』/最終回。帰ってきた、戻ってきた。なんというか、作者従来のファンタジー要素の部分で走りまくった筆致を、ラストであえて土着的なところへ落ち着けた、とも読めるのよね。口幅ったく言えば日常への回帰的な、しかしそこまでに出会いも空想も悲劇も描かれて、その世界に一貫して「思い」がある。そういう物語だ。扉絵の愛しい人物の姿も、最後に浮かぶ空想の光景も、等価にあって息づいている優しい世界。いい作品でした、お疲れ様でした。




  • インタビューは唐沢なをき。北海道出身マンガ家なんだよな、この人も。
  • コマンタレビーマー、いい話だ。
  • 市橋俊介コラム、いい話だ。
  • 奥村編集総長コラム、気になるぞおい。