ハルタ 2017-MAY volume 44

※先月号です。


  • 帯裏連載、丸山薫『図書室のキハラさん』は眼鏡スーツ館長。キツネ(?)しっぽモフモフ。

九井諒子ダンジョン飯』/耳の描写は画力が出るね、エルフ耳導入。仲間救出という形の成長(努力?)回。回復魔法は接触型であり、そこでの心情から広がる話題が世界観感じさせておもしろい。前回、カブルー陣営が言及していた各人の背景からの、それぞれの自意識がのぞく展開でもある。以前登場したモンスターの同型強化版をいかに描写するか、かつ顔芸ネタ強めという回。漬け物石。
●大窪晶与『ヴラド・ドラクラ』/新連載。歴史もの。第1話早々、まるまる主人公のストレス描写に費やすって。
●サワミソノ『丁寧に恋して』/台湾にいるヒロインの友人の、恋人との日常。ピアスの穴開けという行為をイチャイチャこちょばゆく。地元であれば、という対比なのかな。
森薫乙嫁語り』/売買目的の家畜ではないから、屠殺も季節合わせになるわけか。鷲のオスとメスの話題による間接的おねショタ、深い(?)。アミルさんのハグは強し、しかもガバッ(衝動)としっとり(情緒)の二種だ。
●山本和音『星明かりグラフィクス』/ある意味ハプニングアートオチかもしれんが。
八十八良『不死の猟犬』/前作もラブゲーム的設定ではあったが、本作ではその運命論が世界法則を支配していると。
●高江洲弥『ひつじがいっぴき』/複製(想像)の出すオノマトペはかわいい、敵が出すオノマトペは怖いが破壊される時のそれはかわいい、という物語としての描き分け。殺す際にハートマークのエフェクト舞うのは主人公側の主観になるのかもしれんが、絵面としてすごいな。
●進美知子『今日の柳子ちゃん』/なんというか、目が馴れるのに時間かかった(再読要した)。この構成をショートで楽しませる為には、誌面上での掲載位置、前後の作品との相性も重要ではなかろうか。
入江亜季『北北西に曇と往け』/観光パートなわけだが、この作者の場合は人物も風景も図解もシームレスにつながってる感あるんだよな。今回の二人の行動のつかずはなれず感も、絆や共感というより、層として同じ平面に含まれるカオスの一部分的な。でもそばかす眼鏡っ娘みたいなツボは的確におさえてくる。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/あいことけいこの会話からの、あいことA太郎の会話の回想。ここ最近は展開的に大きな局面続きである。けいことの会話は室内、A太郎との会話は外の場面。場面のノリ自体異なるわけだけども、描写とテンポの差異をいかに作るか、左に流れていく読者の視線への見せ方をいかに変えるか、という点から見ると、やはり今回も構成見事だなと。/けいこパートその1は、吹き出しやキャラの位置どり、同構図でのアップロング変更によりスムーズに読ませる。4ページ目上段の3コマの、部屋またいでの空間のつなぎ方、視線誘導による絵と字の読ませ方なんて、本当何気ない描写なのに構成考え抜かれている観。→

(4ページ目上段)
●→で、A太郎パートに入るとさっきまでの室内での言い合いから、コマ毎に(SNS投稿画像という)各所風景、翻弄されるあいこのモノローグというジタバタぶり。場所名のテロップ感と手前でぼやけた山田の顔の無機質感がまた。さっきまでの室内とは異なり背景を描き込む。A太郎と会ってからは、ここ数回演出として印象的に登場する、背景と人物を浸食するかのような斜線による光と影・白と黒の表現があらわれる、静謐さがいや増す。A太郎との壁はもちろんあいこも自覚していたわけだが、持ち物が少ない、というA子の特徴をいまだ真似てしまうあいこが、それにより飲み物を得られず、一方でA子には最初からそれが与えられていた、というこの落差による構成はね、なかなか乙女漫画チックにしみる。あいこの感情の爆発に説得力もたらす。その中でもモノローグと自覚の記憶は併せて書かれ、しかし大ゴマ続き見開きという悲嘆の場と尺は与えられ、なんだ、大人だよなあ。そして再びのけいこパートでは、けいこはいい人なので共に泣いてくれツッコミもしてくれ顔もアップで激情フィードバック、からの衝撃のヒキ(人物アオリ角)である。
佐々大河『ふしぎの国のバード』/女の裸出すのなら時代的に腋毛まで描いてほしい所。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/この図書館、外観はまだ出てないんだっけ。設定大変そう。
中村哲也『ネコと鴎のクローネ』/1ページ大ゴマで描く各種ディアンドル回。民族衣装も属性別(?)に幅あるのう。胸もろ出しシーンの色気なさは、引き立て役としてあえてなのだろうか。
●長蔵ヒロコ『ルドルフ・ターキー』/男がヒロインじゃん、だった前回。今回は最終ページのアオリが「通じ合ったその瞬間、引き裂かれたふたり。次号、修羅場!」というもので、男の三角関係じゃん。
山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/悪意。ベタながら持ち上げて落とすのはつらいわ。本来なら職業としての仲間内では起こらないはずだろうトラブルが、無邪気だからこそやれちゃうというのがね、ターニャのプロ意識ともまた対比されて。この展開からの新天地、というのも王道ではあるが、さて。目の強さが印象的な回でもある。
●浜田咲良『マシュマロメリケンサック』/威嚇としての自傷はありか。まあそれでも狂気沙汰だが。
●緒方波子『モテ考』/最終回。まさかまさかのハッピーエンドである。いやー、お疲れ様でした。お幸せに!