ハルタ 2016-DECEMBER volume 40

※先月号です。


  • 「レコメン・ポップ・フェローズ」応募要項掲載。執筆陣に今描いてない作家もいるとちょっとほっとしたり。宮田紘次の名前も。

●山本和音『星明かりグラフィクス』/新連載。美大の才能ある潔癖症と、そんな彼女を利用するべく近づく友人。誌面的に内面のおはなしに飢えてるので、こういう黒さもまあ。
●嵐田佐和子『青武高校あおぞら弓道部』/いや、普通に危ないから。
●久滋光久『新兵ゾフィ』/読み切り。スイス連邦国軍の訓練風景、と前連載から地続きともいえる内容。国家と民衆の殺し合い=対等に並ぶ物語からの、今作の永世中立・国民皆兵思想、と確かにおはなしとしては入ってきやすいが。
九井諒子ダンジョン飯』/オークの女隊長、いい造形。状況による目的のため移動する際に映る来し方について、同行者と会話することで体験ふり反り意見こぼし内省し諭される、上手い構成。落とし物(フラグ)も拾い、重要箇所は往復で二度見る(再コマンド)。ここで一旦帰還という選択できるのが“ダンジョン”然としてあるわけだが、しかし竜の死体消えたのは再構成(ファリン的には再々)なのだろうしなぁ。
●進美知子『今日の柳子ちゃん』/新連載。段ごと・ページごと・見開きごとの、構成の丁寧さ。正直予告見て、この手のキャラ物描かせて浪費していい才能でもないだろ、とは思ったので、今回の8ページという短さ、不定期掲載という連載形式には微妙にほっとしたり。
●井上きぬ『まだ見ぬ春の迎えかた』/新連載。百合?
山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/シリーズ連載。あらあらまあまあ、恋心の自覚をばクリスマスの日に。扉絵の夢想とは落差ありつつ、地に足着いたメルヘン。周囲との距離も埋まりつつ溝残りつつ、進歩と生活感がのぞく。新キャラの顔見せ、一人での逡巡と間の読ませ方がうまい。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/こええよ。密室劇と雨。白い空間の黒い棒線がふいに闇の中の白い、針というか光というか傷というかに変わる(その逆も)、それが心象表現にも侵食してくる、という雨の絵。扉と最後のコマの対比。コミカルさでギスギスぶりが、手馴れた日常行動で現在の隔たりぶりがいや増す、ゆうこサイドもだけど。A太郎の告げる内容もA君の記憶も、かつては男性陣もそっち側にいた、て話で、では今のA子は、と。
入江亜季『北北西に曇と往け』/仮にも探偵モノの主人公ならもうちょっとさあ、と思ってしまうのは間違ってるだろうか。弟登場。トラブルはあったのか。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/今回は目的の進行に対して、主人公勢の能力は蚊帳の外感ある非日常。水上メシ。
●菊池まりこ『公安部特異人種課56』/能力対策・即殴ってもらう。やっぱりディストピア設定か。
●浜田咲良『マシュマロメリケンサック』/刺したらくりっと回して空気入れろ、て『ぼくんち』でも言ってた。地味がゆえに痛い、特異な暴力。いいね。
中村哲也『ネコと鴎の王冠』/イチャイチャしやがって!鳥のいるオノマトペ
長崎ライチふうらい姉妹』/やっぱりこれ羽生生純的なセンスを感じる。博多ぶらぶらぶら下げて。