ハルタ 2016-NOVEMBER volume 39

  • 帯裏連載、設楽清人『オカ研のユーレイ部員』は食品の霊。ちょっと朝倉世界一(の現連載)っぽいノリ。
  • 裏表紙、『ハルタカルタ』は「畑水練」。さつま芋畑でスク水姿で泥まみれ、フェチを感じる。

大武政夫ヒナまつり』/E.T.のこのシーンも、もはや若者にはネタでしか知られていないのかも。あれも異邦人で超能力者で、て話ではあるか。しかし本当、各キャラ(暴走としての)日常系だな。
●緒方波子『モテ考』/お見合いパーティー編。これ、ツッコミ役が他人の姿として出てこないと、作者の自己逡巡が前面に出ちゃって個人的にキツい。他人事として読めない…(行ったことはないけど)。
九井諒子ダンジョン飯』/ここにきて不安をあおる扉絵、からの急展開。タイトルのナンバリング続いてるのは、それがいまだ生物として存在するからか。あの絵も他パーティーの背景語りも伏線に、舞台・作品世界の創造主としてのラスボス(今度こそ?)登場。出血したからこそ抗戦も可能に、というのは巧い緊張感。緊急時も探索しかできないチルチャック、というのはリアルな切迫感だけどギャグでもあり。ダークファンタジーに踏み込む、というより作者の持つ物語としては、そこに差異はないのだろうな。
入江亜季『北北西に曇と往け』/サービスサービス。
●菊池まりこ『公安部特異人種課56』/操られている体をさらに乗っ取る、て精神的にどういう状態なんだろう。
●大上明久利『HEXENHAMMER』/読み切り。絵は上手いし親しみやすいと思うが、それをマンガとして読ませることまでは意識されてない印象。
八十八良『不死の猟犬』/変態だー!!(またかよ。)タイトルはそちらの陣営を指すのか。「模造品」呼ばわりという事は、ママ側が分派なのかねぇ。
中村哲也『ネコと鴎の王冠』/これぞまさに家内制手工業、てか。日常の中の家業として、かつ受け継がれる伝統としてあるわけね。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/ここまでの盛り上げ方考えるに次回ヤっちゃいそう、あ、素の感想出ちゃった。電話越しの分断された会話をくり返し、という構成。ダメな大人、美術系予備校内のベタつき、奇っ矯な彼氏、と微妙な人々の光景による群像感。以前から言っているが、絵と文字(吹き出し)が等価なんだよなあ。U子の瞳が怖い、白目の存在が像ぼやけさせてて。
森薫乙嫁語り』/得意なパン作りや素の元気さで喜ばれてきた彼女が、ここにきて苦手だった縫い物を贈り物として渡せる、達成の形。これが成就なのであり、ゆえに二人の未来も思えると。猫はアニス編とは違う種類になるのか。パリヤ編もこれで完結。次回掲載は4月とのこと。
●長野香子『マリーのダイナー』/読み切り、ひさびさの登場。思い出の場所であり、夢の場所。かつてその人が選んだ、居たことによって自分にもそうある場所。その共有。つまりそれは家(home)なのである、前連載タイトルにあった「ノラ猫」に対して。こういうドラマ枠、キャラや設定への回収ではなく、筋そのものを人の心の機微として読ませる作風も、誌面に残しておいて欲しいですね。おもしろかった。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/船旅はサイズ的に困難も多かろう。食材集めはなるほどだが。
●宇島葉『世界八番目の不思議』/最終回。最後にこのノリというのが、いまいち信用できない部分なのだが(選んだのが作者か編集かは不明だが、いずれパッケージングとして)、楽しい奇想作品であった。お疲れ様でした。
●浜田咲良『マシュマロメリケンサック』/不良高校という設定も、言わば面子に支配された世界法則なのであり。意地のみの馬鹿が張り合う、そこの描写をこそねちっこくやる、というのはドラマツルギーとして有効だろう。好みの特異さ。
●百名哲『野宿の墓』/シリーズ読み切り。今回は語り手自身が異郷へ招かれる側で、しかし導き手の内面は、という話。影響を与えたい、という願望を抱えるからには、影響されたい・されていたかった、という希望がかつてあったはずでな。
高橋拡那『しらまり』/読み切り。あえて無内容をやる、という構成の四年ぶりの新作は、始まりすらせず終わる、と。
佐々大河『ふしぎの国のバード』/「留守」という名字がある(トリビア)。
西公平『ゲス、騎乗前』/まあ美人局に走らないだけマシなのかも(ひでえ)。
長崎ライチふうらい姉妹』/家事と差し入れ。


  • 次号より、進美知子新連載。