ハルタ 2016-JULY volume 36

  • 表紙は山本ルンルン。ホラー風味ながらかわいい。作者ツイートによると「漫画家生活18年目にして初めての表紙」とのこと。コミックビームのウエケンも夜千100回記念で同じようなこと言ってたな。



山本ルンルン『カバー・ストーリー』/可愛らしくもダーク、メルヘンの世界である。これもまた持ち味の作家なんだよな。
●菊池まりこ『公安部特異人種課56』/新連載。設定的にはいかにもありがちな超能力バトル&更正組織もの。まあ個人的には前連載も、最初は凡庸としか思ってなかったのに話転がる内に惹かれていったもので。
佐野菜見『人よんで8823』/『坂本ですが?』スピンオフ読み切り。アニメ放送中には間に合わなかったのか。今回はハヤブサ先輩の日常でアウトロー寄り、でもあつしで海でクラゲ。オチは笑った、そこは坂本的な計算ではなく覚悟の証なのね。
長崎ライチふうらい姉妹』/連載復帰、よかったよかった。やっぱりだらだらしゃべってる方が合ってるな。脱皮。
中村哲也『ネコと鴎の王冠』/新連載。ドイツでビール。ヒロインとビール造りがメインになるのか。個人的に電車のコマが印象的、風景だからかね。
森薫乙嫁語り』/パリヤさんのヒロイン力とは働き者ぶりなのだ。この作品世界における正統派のラブコメ文法とは、ヒロインとは、という。
八十八良『不死の猟犬』/いや、もらうも何も、一旦見殺しで現在の監禁状態にしたのお前だから。ゆえに惚れられはしない、という自信なのかな。
西公平『ゲス、騎乗前』/乾杯とか寝袋とか、こういううまやもん的な喜びの態度にはちょっとグッときちゃうんだよなあ。ギャップ効果か。
●宇島葉『世界八番目の不思議』/七夕。確かに恋愛関係が前提の話か。
大武政夫ヒナまつり』/いわゆる、作者が過去の単行本読み返してて思い出したネタ感。イカルガさんはどんどん株落としてくな、もう。
●緒方波子『モテ考』/いらないものはいらないんだよ、うん。
●百名哲『愛なき巣』/シリーズ読み切り。前2回の感想で言ったけど、傍観者の語りなのが魅力であって、当事者になると意味変わっちゃうんだよな。でもまあ、大学生というこの距離感の猥雑さはね、青春でもなく。いしかわじゅんあたりが描いたらまた全然違うノリなのだろうが。
近藤聡乃『A子さんの恋人』/回想とモノローグメインだった前回の構成はやはり特殊だったんだな、と思わせる会話描写の巧さ、フキダシの位置取り。いや、このフキダシを読ませる・目で追わせる“間”まで計算してるのすごいでしょ。今回は丁々発止のかけ合いじゃないのよ、言葉が口に内面に出るまでのタイムラグいちいちはらみつつのぎこちないやりとりで、そこまで“描く”のよ、セリフではなくフキダシで。一コマ内で同一人物複数描く、というマンガ表現もこの人がやると視線全然泳がせない、がっちり視線誘導示す絵になっているわけで。技巧のみでは、とメタツッコミ、羽目外した遊びも入れられてますが。アメリカ人男女、日本人女性の造形の差も、まあキャラクター性というはなしの領分だよね。
九井諒子ダンジョン飯』/冒頭でライオスの昔の夢。普通この手の話は兄妹の立場逆だろう、というかファリンのこの覚醒(?)設定はマルシルの回想ふくめ、物語に関わりそうな気も。骨が定位置に戻る音、て怖いよ回復魔法。解体描写の冷静さはよいけど、さすがに血まで描くのはキツかったのかなあ(ちょっと残念)、とも思ったが、その為の逆鱗の位置、退治=血抜き、ということかしら。
佐々大河『ふしぎの国のバード』/日焼け船頭、寝息のすぴー、と微妙に読み切りの深瀬さん&のりちゃんとシンクロ。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/虫用の家具とは一体。ビフォーアフター
●梶谷志乃『想幻の都』/彼岸はすぐ側に。別れが訪れる、すべてが終わる、とこういう形での幕引きか。次回最終回。
●川田大智『まかろにスイッチ』/老眼、てこれはずるいわ。デジタルならでは。