ハルタ 2016-JUNE volume 35

大武政夫ヒナまつり』/お、田中圭一への挑戦状か(やめれ)。ヤクザビジネス漫画といえば、大抵手法解説がメインになるわけだけれども、その点こそが相手のターンと。
九井諒子ダンジョン飯』/辛くも勝利。いや、緊張感すごかった。主人公達の負傷が痛い、重いのもこれまでの物語の積み重ねであり。今までだって殺し合いだった、という言葉はこの物語における真理だな。それを告げるセンシの真顔の、眉間にちょっとだけのぞくしわ、脂汗、背景の集中線、コマの枠線からはみ出す頭、といういかにもマンガ的表現の、しかし説得力よ、巧さよ。コマ単位での断ち切りもアクション見せるのに効果的。俺、マンガの構成を“映像”として語る向きには基本的になじめないんだけど(苦笑)、ここまでパンやアップとしての読書体験させられると、なあ。/ただ、この作者にしては珍しく、今回切微妙に切り返しが上手くいってない場面あるのよね。それはタームとしてはワンセットなのかどうか。
山本ルンルン『サーカスの娘オルガ』/シリーズ連載。芸にあこがれる主人公。成長というよりは順応かもしれないが、それがここでの生き方であり。出番決まったならば、それまで遠くに見えていた周囲も仲間としてバタバタ世話焼いてくれて、いざ舞台に立つと克己と幻想、達成と心残りがあって、と。階層差という側面もさらっと出てきて、すれ違いつつ通じあえもするメルヘン、と古典的な少女漫画フォーマットも。
●松本水星『燕のはさみ』/新連載。大正時代の床屋。
久慈光久狼の口 〜ヴォルフスムント〜』/逆襲開始。端からプチプチ。
森薫乙嫁語り』/オヨヨて。そしてようやく、ようやくパリヤさんにも幸せが。あなたはこんな顔で死ねますか?(死んでない。)
近藤聡乃『A子さんの恋人』/A太郎とA子、元恋人同士の見た夢、として語られる、記憶・回想・モノローグ。もとより(現在は遠距離恋愛中の)主人公の恋愛も、それに類する形でしか描写されない、視点も視線も引いた所にある作品なのだが、今回はそれがさらに引き気味というか、構成の賜物というか。二者間の夢と現実をシンクロさせて、“過去の記憶”はどちらに位置するか、も込みで読ませる。そこで「元恋人」の終わった関係、ありえる絆というかたちが提示されている、という印象です、はい。普段は会話劇でセリフの利きで読ませる作品が“伝えられない”ことをこう描く、それはやはり作品の核にあたるのではないかと。白と黒とカケアミの対比がシームレスさが流れが巧くてね、もう。回想コマ(四角が曲線)を隠す効果の章題(コマ)もおもしろい。
樫木祐人ハクメイとミコチ』/ハロウィンとなまはげの合体イベントというか。オチはその、なんて言えばいいんだ、逆青い鳥?以前あった樹上の酒や見知らぬ同居人の話も、この伝承の存在あわせるとまた異なる見え方か。
なかま亜咲健全ロボ ダイミダラーOGS』/最終回。前号のトトコ最終回同様キャラ総出演、てすげえ適当だー。ある意味長期連載の境地かもしらんが。お疲れ様でした。
●加藤清志『THE TOWN 〜復讐者〜』/最終回。最後まで異色なノリとテンションで走りきった。ドドドは開き直った感あるけど。