メモ“デレマス23話にて、なぜ土屋脚本はプリパラと同じセリフを言わせたのかともお”

アイドルマスターシンデレラガールズ コンプリートアニメファンブック」の発売が迫ってますね。目次画像によれば、脚本家・土屋理敬のコメントや監督・高雄統子による第23話へのコメントも載るそうで。大変だ!デレアニは土屋脚本回が好きだと言っておきながら、そのうち第23話の感想を書いていない!本が出てしまったら、好き勝手に感想を書けない!いやまあ別に書けるけど、やっぱりちょっと。
というわけで、一旦書こうとしたものの話がまとまらず放置してた、アニメ「アイドルマスターシンデレラガールズ」第23話感想をメモ的に今さらながら羅列。記事タイトルみたいな“テーマ”書きたかったのであるが、そりゃ公式資料集出された後では、やっぱりちょっと。




  • 第23話「Glass Slippers.」

●「笑顔」「大丈夫」「頑張ります」。冒頭からくり返し提示される、この三点。
●13話ライブ後の写真との対比、作り笑い。



●卯月が戻る養成所。←“原点”にならないという話?「笑顔」という端緒への問い。
アニマス土屋脚本回:6話(やよい)・9話(亜美真美)・18話(律子)・20話(千早)・24話(春香)。いずれもキャラクターの原点を語る物語。以前出した例え:大河ドラマ新選組!」はアニマス。→“歴史的英雄”の再話。説話・フォークロア。それゆえの「背景」を語る話法。講談。
●デレマス土屋脚本回:6話(未央落ち込む)、11話(みく&李衣菜)、14話(キャラ祭、あるいは他Pとまゆ)、19話(李衣菜&夏樹)、23話。アニマスと異なり、“原点がない”前提の物語。モバマスのシナリオ形態自体がそう。踏み出す回は「ろこどる」の綾奈ゆにこ脚本。19話での“夏樹の内面”は、アニマス話法と半々。



●ダンスレッスン中の卯月:笑顔が減ってゆく。「頑張ります!」の弱化。←1話の笑顔、個人レッスン描写との対比。
●凛・未央との会話中での、言い回しの変遷。「明日から」→「すぐに」→戻る、と言えなくなる:「大丈夫」「頑張ります」
●「できないことこんなにあるんだって。」←これまでの「やりたいこと」が答えられない描写。
●Pは傍観者。「個別の活動」「前に進むため」



●土屋脚本回(14・19・23話)中での加蓮&奈緒



●「自信がない」「自信がついたら」。
●凛と未央の別活動は、卯月の不調と無関係?24話:1人で立つ。19話:夏樹が“本心ではなく”李衣菜を誘う場面の前段・李衣菜の笑顔「ギンギンのカッコいいステージ」→目をそらす夏樹。今回:「凛ちゃんも未央ちゃんもすごくキラキラしてるし、本当にすごいです。部署のみんなも本当に。」友情や、アニマス中の“家族”とは異なる関係性。
●卯月のポーズを真似て誘う未央。→後の卯月の笑顔への言及。
●「今まで何やってたんだろう。もしかしてアイドルになるのちょっぴり早かったのかなあ、なんて」。個別性になった時の“今まで”の否定。13話:アイドルみたい。
●「島村卯月、頑張ります!もう一度基礎からしっかり頑張って、みんなからはちょっと遅れちゃうかもしれないけど、いつかきっと、キラキラしたアイドルに――」。集団から、個別へ。ゼロへ。
●怒鳴りつけ、手を引いていく凛。→後の卯月の笑顔への言及。



●「アイドル一人一人の気持ちを尊重する、その結果がこれか」。←アニマス24話:「きっと、みんな千早と同じように感じていると思う」



●「あの時、言ったよね。夢だって。キラキラした何かになれる日がきっと来るって。今は?」「逃げないでよ!」「舞踏会のこと、ニュージェネのこと、どう思ってるの?卯月の答え、私まだ聞いてない。」「大丈夫じゃないじゃない!今はまだ、とか、頑張る、とか、そんな嘘の言葉、もう聞きたくない。」「嘘の笑顔なんて見たくない!」「あの言葉も笑顔も、嘘だったの?」「信じられない。」「今の、あんた見てると。」冒頭からの、笑顔・大丈夫・頑張ります、をひっくり返す。卯月の答えを聞いてない→それを卯月が認識できていない、内実を見れていない。“あんた”呼び。“夢”が“キラキラした何か”のまま・信じられない←アニマス24話対比。
●「私の中のキラキラするもの。なんだかわからなくて・・・。」「こわいよ。」アニマス24話:春香「こわくて。」→「だいじょうぶだよ。きっとだいじょうぶ。だって、私はみんなを信じてるもん。大丈夫。」自覚性と信頼。←対比。
●「笑顔なんて!笑うなんて誰でもできるもん!」「何にもない・・・私には何にも・・・」。←1話「笑顔だけは自信があります!」自信を失う?当初より“夢”のまま?
●「誰にでもできるなんて言わないでよ・・・踏み出したんだよ。自分も輝けるかもって。あの時の卯月の笑顔が、キラキラでまぶしかったから。」「前にさ、私が逃げちゃった時もずっと待っててくれたじゃん。なんかね、安心してた。しまむーどんな時も笑って、頑張りますって言ってくれるって。そんなわけないよね。」凛と未央には卯月の笑顔が価値、という“過去”の存在。→見た・向けられた側にとっての「夢」がある。
●「私達さ、もっかい友達になろうよ!今から!」→プリパラ25話。アニマス6話(待田堂子脚本)・20話・24話ではセリフにおいても「みんな」「大丈夫」「信頼」がワンセット。このデレマスの物語において、現状失われているそれを作れる間柄、とは。≒夢。←この点は脚本家間のズレ?



●「彼女は必ず戻ってきます。私は彼女を待ちます。いえ、待たせてください。」常務に頭を下げるプロデューサー←16話、プロジェクト提出時より礼が深い。(土屋脚本中でのPの仕事描写:6話・記者を見送る、編集部への礼。11話・アスタリスクと共に活動、走る。)



●「待ってるから。」アニマス20話・24話と同様。アニマスとは異なり“信頼”のみの提示。



●エンディング「心もよう」。歌詞:約束だよ、待ってるよ。
●プロデューサーはライブ準備、凛と未央はダンスレッスン、シンデレラプロジェクトの仲間は飾り作り→待つ。
●卯月、現れる“まで”。リスタートという瞬間←これまでの土屋脚本回も?




●デレマス11話:「リハーサルも不十分でしたが、大丈夫ですか?」「はい、大丈夫です!」「まかせといてニャ!」「お二人を、信じていいのですね?」「「もちろん!!」」
●デレマス19話:「李衣菜ちゃんを信じる。Pちゃんにもみく達を信じてほしいニャ!」「わかりました」



アニマス6話(シリーズ構成担当・待田脚本):「プロデューサーさん、一人で頑張り過ぎですよ。私達だっているんですから!」「大丈夫です。私達を信用してください!」
アニマス20話:「もう一度、みんなの仲間として、やり直そうって素直に思えた。春香には感謝してるんだ」「大丈夫。春香の気持ちはちゃんと届いてる」。
アニマス24話:「それが正しいことなのか、自分にできることなのかわからなくて・・・」「きっと、みんな千早と同じように感じていると思う」「大丈夫。みんなのこと、信じてるんだろう?」
●“信じて・大丈夫な・みんな(仲間)”が力をくれることを描いてきたアニマス



●「プリパラ」25話:“待っていた”人物の物語。
●「プリパラ」25話:「でもね、なぜかしら。私は信じてたの。いつか必ずシュガーに会えるって。何年経っても、大人になっても、いつかきっと会える。私達がプリパラで過ごした、あのキラキラした日々は嘘じゃないって」。過去をふり返った時、“嘘じゃない”ものとしてあるキラキラ。“信じて”いるから、(今も)ある。
●「プリパラ」25話:「裏切っていたのはわたくしの方。今さら友情など・・・。」「なら、今からもう一度友達になりましょう?」“キラキラ”の象徴としての“友情”。ある、から戻れる。←未央「私達さ、もっかい友達になろうよ!今から!」
●「プリパラ」55・56話:ガラスの靴を脱ぎ、それと決別する話。
●そもそも土屋理敬がシリーズ構成を担当する「プリパラ」という作品においては、“友達”が大きなタームであり、“アイドル”になれるのは虚構空間内でのことである。



アニマス18話・律子回:ふり返った時にあらわれる“夢”。「渦中」が無いこと。人物の原点のかたち・物語。←アニマス24話サブタイトル「夢」のダブルミーニング



●「団地ともお」16話「父さんを召喚するんだともお」、18話「幼なじみは元気かいともお」:夢(幻影)が(悲劇としてある)現実(の中に生きる人)の救いになる話。それを信じること、の物語としての力。
●「団地ともお」36話「よその子になっちゃいなさいともお」アニメオリジナルエンド:癒えない傷に対して。原作・全員が悲しみを覚えて終わる。アニメ・悲しむ主人公が寝てしまう。その寝顔を見て、別の人は微笑むことができる。現実を見ないことを見る、一瞬の救い。



●「夢」の為に主人公がボロボロになっていく話であるところのMAJORも、土屋氏がシリーズ構成なんだよなあ。



(デレマス完結後)
●「かみさまみならい ヒミツのここたま」17話:主人公「(嘘をついている)私のこと、信じてほしいんだ!」→嘘だと理解しつつ、彼女を信じる友人、という救い。
●「かみさまみならい ヒミツのここたま」、おはなしの定形でいえば、主人公の願い(自己実現)は完結時には自然にかなっている、という展開かと予想されるが。



●「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」:“夢”という呪縛。キャラクターの「背景」という物語も描かれるが、それらは失われる前提だったり、それを持つ者の死んだ後が描かれたり。
●主人公の動機は“夢に向かうこと”なのだが、その内実は空虚…なのか?卯月なのか?(2期待ち。)



以上。