「アイドルマスター ミリオンライブ!」3rdライブツアー・幕張1日目雑感

そもそも私のアイドルマスターへの入り口はTVアニメ版でしかも初めてちゃんと見たのはあの怪作8話あずささん回でしかしシリーズ終盤では涙していてあげく脚本家・土屋理敬を気に入ったことから氏の関わるプリパラやヒミツのここたま鉄血のオルフェンズにまで手を伸ばす現状になっているわけですよ。(挨拶)

(上:「アイドルマスター」24話、下:「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」22話)

(上:「アイドルマスター シンデレラガールズ」11話、下:「かみさまみならい ヒミツのここたま」17話)
そういうわけで、おはなしとしての入力がまずくる嗜好で性分で。前記事に続き、「アイドルマスターミリオンライブ!」3rdライブツアーで見ることのできた2公演の内、幕張1日目の感想をセットリスト見てふり返りながら、ゆるくしたためます。ライブビューイング利用、最前列で着座デフォルトの身です。ゆるい語りです、よろしく。
あと、書いている内に異様に長くなったので、その点もよろしくお願いいたします。雑感です。




  • 幕張1日目(4月16日)

●いつもの地元の映画館利用(ありがたい)。今回は若干空席も残っていた。
●開幕の全員曲「Dreaming!」、各メンバーの挨拶、からの阿部里果氏と渡部恵子氏による「Cut. Cut. Cut.」。大規模のライブステージには、阿部氏はこの日が初参加、恵子氏はこのツアーで初参加である。おお!?と思わせる組み合わせをいきなり出してきてからの、ステージ後は、よかった!にちゃんと結んでみせる。当方も手の上、それが心地いいのである。いいよね、かわいい曲で、無表情瑞希とツンロリ桃子で。
●ここから、かわいかったり楽しかったりさわやかだったりが続く第1パート。渡部優衣氏による定番「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」をはさんで、またも大規模ライブ初参加の斉藤佑圭氏による「ビギナーズ☆ストライク」。個人的にこの曲には思い入れがある。私にとっては初めて買ったミリマスCDの収録曲で、ドラマパートでは永吉昴の、彼女と仲間たちの達成の形としてある曲だ。ミリマス本当いいな!馬場このみさん最高だな!(そっち?)と思えた体験の中にあるものなのだ。CD第1シリーズ中のソロ曲としては最後に収録されていた、この可愛らしさ、爽やかさ、青春の形をライブで聞けてうれしかった。





●そこから、夏川椎菜氏&伊藤美来氏、麻倉もも氏、藤井ゆきよ氏とライブ常連の強者勢を経ての、「Legend Girls!!」→「Growing Storm!」という流れ。この2曲は、“始まり”を象徴する曲である。
○「Legend Girls!!」は、CD第1シリーズ中の「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER PERFORMANCE 02」収録曲であり、アイマスの赤・天海春香をふくむメンバーによるユニット曲。テーマ曲「Thank You!」のみ収録した「01」に続いて出された、初のドラマパートも存在するこのCDこそが、ミリオンライブにとっては真の“始まり”とも言えるだろう。そこではアイドルの先達、765プロの春香もまた同士として、新たなスタートを共に切ったわけである。

ここからはじまる伝説へLet’s join
(「Legend Girls!!」歌詞より。全体コーラスだが、天海春香ソロパートの部分もある。)

○「LIVE THE@TER PERFORMANCE」は、いずれも“765プロメンバー+ミリオンスターズ(ミリオンライブオリジナルキャラ)”というユニット構成のCDシリーズである。それは公式設定としては既存作品とパラレルながら、私ふくむ受け手はそこに“先輩に手を引かれてきた後輩”としての、お披露目的な意味合いも見ていたはずだ。(たとえドラマパートでは765キャラの方が舞台かき回していたとしても!)そしてそれを見ていた身にとっては、続くCD第2シリーズ「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER HARMONY」には最初からちょっと感心するしかけがあった。同時発売の「LIVE THE@TER HARMONY 01」「02」のうち、片方は765プロメンバーのみ、片方はミリオンスターズのみ、というユニット構成だったのである。
○「Growing Storm!」は「LIVE THE@TER HARMONY 02」に収録された、ミリオンスターズのみのユニット曲。CD第2シリーズ第2弾収録のこの曲は、新たな“始まり”も意味していた。アイドルマスターミリオンライブ!オリジナルキャラによる、ライブステージに向けた等身大の頑張りと夢が歌われた曲。ミリマスの赤・春日未来をリーダーとするユニット“乙女ストーム!”、その名のごとく猪突猛進な、へこたれない、元気で明るい女の子たちの歌、なのである。
●「Growing Storm!」は、1年前の2ndライブでも印象的な曲だった。なにせ2日間のライブで両日、開始の挨拶に続けて披露された曲だったから。当時私がうっすら感じたのは、ここにあえて据える、これは「アイドルマスター ミリオンライブ!」の新たな開幕宣言なのだなあ、ということだ。
●2ndライブのさらに10ヶ月前、ミリマス1stライブが開催されたのは、CD第1シリーズ最終作発売からほぼ1ヵ月後のことだった。当然ライブ開催発表時にはCDシリーズは継続中であり、ミリオンスターズ37人の内8人は、いまだソロ曲が世に出てないという意味で“デビュー前”だった。2日間の1stライブの出演者数、それぞれ10人・11人、両日で17人という数字はけして少なくないが、それでもタイミング的に、CDシリーズ終盤デビューの“出られないアイドル”の存在が「不完全」として映ったのも事実である。765プロ楽曲のカバーコーナーも、最後の挨拶で小鳥さんが“アイドルマスター9thライブ”を宣伝するのも、コラボレーションの楽しさとして見るより、後輩ミリマスはまだ独り立ちしていない、と感じさせる一面ではあったのだ。
●しかし、2年目の、2回目の単独ライブ、ミリマスは開幕の挨拶後に「Growing Storm!」を歌った、2日間とも。CD第2シリーズの開幕にて、765プロメンバーのみのユニットと対峙するミリオンスターズのみのユニットの持ち歌を。開幕の全員曲に続いて、各日15人・計21人のアイドルによるセットリストのスタートをこの曲が切ること。それは私にはきっぱり“始まり”として映ったのである、ミリオンライブとしての新たな歩みの。そして、CD第1シリーズにて、アイマスの赤・天海春香と共にその開幕を告げたユニット曲「Legend Girls!!」は、2ndライブでは歌われなかったのだ。
●という前史(?)を、おはなし見た者としての言い分を前置きしての。今回の3rdライブツアー、ミリオンスターズ全37人がいずれかの公演に出演するという、その夢がかなった幕張1日目に、セットリスト序盤にすえられた「Legend Girls!!」→「Growing Storm!」の流れである。これは一つには簡単な話で、「Growing Storm!」を歌うユニット、乙女ストーム!のメンバー5人全員(山崎はるか氏、Machico氏、阿部氏、伊藤氏、夏川氏)がこの日勢揃いしたのだ。ミリマスCDには、(シナリオに準拠した)4人あるいは5人ユニットによる曲が22曲あるが、オリジナルメンバーによるその歌唱が大規模ライブでなされたのは、これが初めてである(ほとんどの曲に765プロメンバーが入っている為でもあるが)。この機会にこれは来るだろう、という予感は私含む多くの人にあっただろうが、「Legend Girls!!」の後とは。二つのスタートを並べてくるとは。この時は、ほほう、程度の反応であった私だが、セットリストが進むと、その脈絡での感慨は増すこととなる。
●「Legend Girls!!」を担当したのは、元のアルバムでも歌唱メンバーであった田所あずさ氏、小岩井ことり氏、麻倉氏。田所氏は本公演リーダーでもある。それに続いて、もう一人のライブリーダー・山崎氏が(作中でも)リーダー役をつとめる乙女ストーム!による「Growing Storm!」。この流れで披露されるそれらはしかし、ここまでごちゃごちゃ書いておいて今更ひっくり返すけれども(えー?)、2ndライブのセットリストで私が感じた、あるいはCD発売における発表順に込められていた、マニフェスト的な内圧ではない、曲本来のもっと自然な明るさと楽しさが感じられたように思う。片やミリマスの青とお嬢様アイドルと女王様アイドルで、片やミリマスの赤を中心に5人勢揃いした女の子アイドル達で、その好日の只中にある歌声で。ミリオンスターズ全員のライブツアー中での登壇がかなった今、その2つの“始まり”をあらためて笑ってふり返れる、というような。それらを公演リーダー二人がオリジナルメンバーとしてそれぞれに歌う、というのは素敵な構成だったと思う。





●そこから諏訪彩花氏の「フェスタ・イルミネーション」(ルミルミルミルミ)、夏川氏の「VIVID イマジネーション」(ビッビッビッビッ)とユニークな曲調が続いての、阿部氏ソロ「In The Name Of。...LOVE?」。機械のような効果音やエレキギターも入る中、かわいらしい旋律が転調したり一部はラップのようだったり、それでいて歌詞はわりと切ない、と無表情朴訥アイドル・真壁瑞希を象徴するような歌である。これを透明感ある声でロボットのような振り付けもまじえ、フロントステージで歌う阿部氏。とぼけた味わいもかわいらしい瞬間も、しみじみよかった。
雨宮天氏・田所氏の「piece of cake」、愛美氏・藤井氏の「エスケープ」、と安定した流れをおいて、アイマスイベント自体初参加の浜崎奈々氏による「求ム VS マイ・フューチャー」。これは言いますね、笑いました。おもしろい!浜崎氏演じるアイドル・福田のり子は、格闘技観戦を趣味とする気さくな姉ちゃんであり、この曲の歌詞にもプロレス的意匠が盛り込んであるというかまんまプロレスなのだ。で、この曲を四角いセンターステージで歌うわけですが、それはもうリングじゃん。四人のダンサーさん達の振り付けもアクション強め、というか全員中腰で両手キツネって武藤じゃん!間奏でプロレス始めてるじゃんラリアット!!演出に支えられた、と言うと語弊あるけれど、初登壇である浜崎氏のステージが、この威勢のよさとダンサーさん方の抜群な動きと共にあるのは、とてもよかった。ラスト、のり子の「ヨンテンイチロク!」という日付呼称からの勝ち名乗りとゴング音。そこに至るまでの、元気さと明るさを堪能させられるステージでした。





●そして続けて、ミリマスの赤・春日未来役の山崎はるか氏のソロ「素敵なキセキ」。前奏時から、マイク通して直前の浜崎氏のパフォーマンス讃え、負けてられない!と名乗る山崎氏。終演後にツイッター見てたら、浜崎氏の次に出てくる山崎氏のマイクパフォーマンス含めてプロレス的演出、という指摘があり、おお!と納得したのですが、その後のラジオ聞いたらとにかくテンションが上がっていたらしい山崎氏、ノリかあ。
●しかし大阪公演2日目でもそうだったが、とにかく今回のライブでの山崎氏は観客をあおる。大阪公演を見た時は、1st、2ndライブで担っていたリーダー役を離れての変化か、と思えた。2ndライブにて、締めとなるソロ曲「未来飛行」を歌う山崎氏にあった堂々たる風格は、氏自身の研鑽と仲間達の存在により観客の前にあった。私にはそう思えていた。ステージ上の物語の達成として、それを担える存在のアイドルとして彼女がある、そう見えていた。それから1年、あの時とはまた異質な山崎氏のパフォーマンス。大阪公演の「素敵なキセキ」にて、客席に何度もマイクを向ける山崎氏の姿は、共に舞台を作ろうとしているようだった。引っぱる立場ではなく、ステージ上の物語をサポートする振る舞いにその時は見えていた。
●そしてリーダー役でもある、幕張公演での「素敵なキセキ」。山崎氏は、とにかく動いていた。驚くくらいにステージ上を走り回っていて、その上で歌いこんできたこの曲の元気さと共にある笑顔をふりまいていた。すごくアイドル力を発揮していた。ちょっと俺、松田亜利沙役・村川梨衣氏の姿がだぶった。いや、村川氏ことりえしょん(?)の曲も、ステージ上走り回るパフォーマンスと笑顔が持ち味なのだがそういうことではなく、あの人は性格として舞台上では嬉しくなっちゃうはしゃぎたくなっちゃう御仁なのである。で、その面を春日未来のキャラクターとして出しているのでは、と今回は思えたのだ。楽しむことへの積極性とその出力までを、歌唱技術と共にこなせるだけのパフォーマンス。あれが山崎氏の、さらなる成長の姿だったように思う。





●続いて765プロ楽曲カバーパート。1曲目は“ミリオンライブの天海春香”の持ち歌であり、CDシリーズ収録順ではミリマス最初のソロ曲となる「キラメキ進行形」。やはり、というべきか山崎氏もこの曲を担当。しかしあらためて聞くと、意外なほどにこの曲は“アイドルソング”である。個人的な思い入れでは、シナリオあわせのユニット曲の印象が強いミリマスなのであるが、その意味でも新鮮な原点である。
Machico氏、斉藤氏で「マリオネットの心」。伊吹翼と永吉昴、アイマスカップリング的にはみきまこであろうか。いや、アニマスで歌われた流れとしては、ゲッサン連載コミカライズでの翼、CDドラマでの昴をなぞっているのかもしれないが。
●雨宮氏、麻倉氏、阿部氏による「虹色ミラクル」。劇場版アイドルマスター「輝きの向こう側へ!」のエンディングテーマである。劇中には雨宮氏演じる北沢志保、麻倉氏演じる箱崎星梨花も、765プロライブのサポートダンサー役として登場していた。ライブに向け練習する過程で仲たがいも起こるけれども、エンディングでは協力し合う仲間になっている二人。その二人を演じた、ライブでは常連組の雨宮氏・麻倉氏と、ライブ初参加の阿部氏が共にこの曲を歌う。その光景には、やっぱり映画の展開を重ねて見てしまうわけで。今度は彼女たちが先達として仲間として受け入れ、ステージ上で共に並んで輝く姿を。
●最後に出演者全員で「THE IDOLM@STER」を、このカバーのみフルサイズで。ミリマスライブにおいても、特別な意味合いを持つこの曲。1stライブでは765カバー企画とは別に、両日ともアンコールとして歌われた。2ndライブでは765カバー企画はなかったものの、セットリスト上唯一のミリマス前史曲として、両日とも中盤MCパート後に歌われた。初代アイマス、アーケード版のエンディングとしてあったこの曲は、ミリマスライブにおいても歌われ続けている。
●それはミリマスが、765プロメンバーも新キャラと等しく活躍するゲーム世界だから、という面はもちろんあるだろうが、私はもう幾分か“おはなし”としてとらえたい。私が初めて通して見たアニマスは8話であるが、たまたま見かけてその“ただ者でなさ”を感じた入り口は、「THE IDOLM@STER」が流れた6話エンディングだった。アニマス6話「前に進むという選択」が、物語全体における歩みの始まりであり核である、という私見については何度もこのブログで触れているので省略。とまれ、私にとっての「アイドルマスター」のきっかけ、思い入れ、物語として見る原点にまつわるのがこの曲なのだ。この歌の象徴する熱と成長と輝きを、物語の精神を継いでほしい、そう読む、というのが私の「アイドルマスター ミリオンライブ!」好きの由来である。ライブで耳にするたびグッとくる。ミリオンスターズが「THE IDOLM@STER」を歌う様は、見られることがうれしい夢でもあるのだ。





●休憩時間入りのアナウンスにて、シルエット姿の音無小鳥さんが、765カバーパートで歌われた「待ち受けプリンス」をハミング。小鳥さんが・・・待ち受け・・・プリンスを・・・くっ・・・!





○2ndライブで私が落涙したセットリストに、「HOME, SWEET FRIENDSHIP」→「Eternal Harmony」という流れがある。俺より先に隣の人泣き出したんだもんつられるだろ!という言い訳もあるけれど、しかしどうしたってアニマスの物語を入り口に来た身には、感動的な2曲なのだ。「HOME, SWEET FRIENDSHIP」は天海春香をリーダーとするユニット・リコッタの、「Eternal Harmony」は如月千早をリーダーとするユニット・エターナルハーモニーの持ち歌である。これらの歌の背景を描いたのが、ゲーム中のプラチナスターライブ編(未プレイでも今から回想で見られるよ!)。その内容が、アニマスの群像劇ぶりに泣かされた私としては、非常に好ましいものだった。新しい舞台で新キャラ・ミリオンスターズに囲まれた中、変わらずある信念、新しく生まれる絆。アイマスの赤・春香と、アイマスの青・千早がそれぞれに歌う次なる光。楽しい、あたたかい曲なんですよ。だからこそ、そこに至る背景込みで、おはなしとして“テーマ”としてグッとくる曲。その物語世界を歌う並びに泣かされたわけです。
○そもそも直前に「Marionetteは眠らない」「Blue Symphony」「Believe my change!」「フローズン・ワード」「ライアー・ルージュ」と衝撃のつるべ打ちおいてからの、ライブ2日目のセットリストも残り2/3切ってからの、この並びで出す時点でもう狙ってるだろうと、撃ち抜かれましたわよ素直にと。
●休憩時間後は、諏訪氏・小岩井氏による「HELLO, YOUR ANGEL♪」で開幕。ヒメヒメ!(違う。)そこから浜崎氏、恵子氏、優衣氏の「HOME, SWEET FRIENDSHIP」、山崎氏、麻倉氏による「Smiling Crescent」、愛美氏、諏訪氏による「Eternal Harmony」と続く。
●私はアニマス好き、それによる「HOME, SWEET FRIENDSHIP」「Eternal Harmony」好きたる身である。昨年のライブでは個人的に感動のクライマックスでもあったこの2曲だが、今年はまた別の印象を持った。楽しいのである。背景の切なさを残しつつ、かわいい。
●2ndライブにて「HOME, SWEET FRIENDSHIP」を歌ったのは優衣氏と村川梨衣氏。原曲の中でも、おもしろい声色残しつつ情感もり上げる巧者ぶりを発揮していた二人だ。のちに艶やかデュエットソング「夜に輝く星座のように」を歌う組み合わせでもある。その二人による「HOME, SWEET FRIENDSHIP」では切なさの色も濃かった。今回のライブでは優衣氏の続投にあわせ、オリジナルメンバーから恵子氏・浜崎氏というキュートさと元気さ、ライブにおいては新人の登板。くわえて今回は、歌詞にあわせて3人が記念撮影のポーズをとる、という演出もはさまれていた。これは新鮮だった、楽しかった。そういう一面もいいよね、あってこそだよね、と思った次第。
●2ndライブにて「Eternal Harmony」を歌ったのは愛美氏と末柄里恵氏。ロックテイスト愛美氏と、のびやかな透明感末柄氏の高めあいがすごかった。今回のライブでは愛美氏続投にあわせ、オリジナルメンバーから不思議系キュート担当諏訪氏。原曲の中では異色寄りの二人の組み合わせなのだが、この曲のにぎやかさが出ていてよかったと思うし、衣装の脚部の対比もよかった(おい)。このセットリストの流れに配置することで、前回のライブとは別の魅力を出せていた2曲だったと思う。





●藤井氏、斉藤氏、雨宮氏による「Shooting Stars」。ミリマスライブにおいてはカッコいいユニット曲の定番、と呼べる歌である。しかし、そこからさらに圧倒されたのがMachico氏、優衣氏による「深層マーメイド」。原曲においては、Machico氏と我那覇響役・沼倉愛美氏による激しいかけ合いがくり広げられるのだが、渡部優衣の歌唱力も負けじとガッチリはまっていた。双方パワフルかつセクシーに、ちゃんと殴り合いソングしていた。迫力であった。あと、決めの歌詞“視線で抱いて”で優衣氏の腰の振りドアップにするカメラ、ざわつくライブビューイング会場!
●その興奮に続いて(歌にだよ、歌に。)、斉藤氏・浜崎氏による「Dreamscape」。大規模ライブ初出演の二人による持ち歌である。先ほどの衝撃のステージからこの新鮮なさわやかさ、と心地よい転調であった。キャラになりきって叫ぶ二人の、その元気さがかわいかった。





●恵子氏による「MY STYLE! OUR STYLE!!!!」は、ある意味では女の子の頑張りを歌ったロックナンバーだろう。それに続く愛美氏の「プラリネ」。こちらはロックアイドルによる人気ロックナンバー、のはずなのだが、今回のライブではそのステージに不思議な印象があった。2ndライブで見たそれは衝撃だった。激情が込められた歌だった。しかし今回の「プラリネ」は、歌う愛美氏の笑顔が印象的だったのである。うれしそう、楽しそう、と感じさせる表情。そう思うと、少しだけ声もやわらいでいるように聞こえてくる。歌い続けてきたことによる心境の変化かな、とその時は思った。それはそれで魅力的だけれども、正直物足りなさもあるかな、と。しかしそのパフォーマンスにあったのは、この後のステージに対する愛美氏自身の期待だったのかもしれない。
●「プラリネ」を終え、拍手をあびる愛美氏はセンターステージに立ったまま。そのまま指輪にキスをすると会場内がどよめく。後方の席でマンガでもうんたらとか余計なこと叫ばなくていいんだよ同僚、知ってるよ、CD聞くたび参加メンバー見かえすたび期待してたやつ、でもそれ以上のものを目の前の描写が再現している。ふり返る愛美。通路の向こう側のステージ、セリから上がってくるMachico阿部里果。ステージに向かって歩いていった愛美はMachicoとハイタッチを交わして、彼女の傍らに立つ。歌が始まる。
●「アイル」はコミカライズから生まれた歌だ。ゲッサン連載の『アイドルマスター ミリオンライブ!』、作者は門司雪、担当編集者は佐原ミズ『鉄楽レトラ』と同じ人、私の目するところのいいマンガ、視線誘導考えた画面構成上手いしドラマツルギーはコンテンツに踊らない丁寧さだし。ともかく“作品”として一ついい。その物語において、翼・ジュリア・瑞希という個性的な面々の協力の中から、翼を輝かせるべく生まれた歌、なのだ。出自に物語をおった歌。それを聞ける、とは思わんわ、連載で読んでいた時には。まず物語の展開が意外だったし、そこに聞いたことない曲名出てきて虚をつかれたし、実際に新曲としてCD収録されるなんて予想外だし。それがこんないい曲だとは、おもしろいマンガの、物語の上に成るとは。それをライブで聞けるなんて。
●翼がロックを歌う、瑞希がコーラスを、ジュリアがギターを重ねる。そのマンガの光景が再演されたステージは、はるかに想像以上だった。Machico氏、阿部氏、愛美氏、三人の声がある、姿もある、音もある。コーラスが加えられている。マンガで語られ、CDで語られた物語が、もう一度ここではるかな内圧をもって作られる。とてもカッコよく、美しいステージだった。ロックだった。
●ちょっと時間をとばすと、Machico氏は最後の挨拶で涙声だった。三人でアイルを歌えた、ということを取り乱したかのような調子で話すMachico氏は、明らかにいつもと様子が違った。演者にとっても夢としてあった物語に、このような幸福な出会い方ができて、本当によかった。





●「アイル」の興奮さめやらぬ中、激しいイントロから始まる、雨宮氏の「ライアー・ルージュ」。順番的にも重責だったと思われるが、さすが雨宮氏、負けじとカッコいい。2階席を移動するトロッコ上に一人で立ち、ミリマス初期から歌い込んできたソロ曲を堂々と披露する姿は、「アイル」の圧を迎えるにふさわしいものだった。スポットライトに照らされ、壁に映った雨宮氏の影からパンするカメラワークも印象的。
●小岩井氏の「鳥籠スクリプチュア」、伊藤氏の「空想文学少女」。15歳アイドル、と並べるには落差あり過ぎるかもしれないが、しかしその歌声により、ステージ上の世界へ連れて行かれる感覚は共通のもの。私はそう思うんですが(弱気)。女王の荘厳、少女の夢。
●ソロ曲ラストは田所氏の「Precious Grain」、至高。背後からのカメラワーク演出も相まって、さらに堂に入った仕上がりだった。





○ソロ曲ラストの小岩井氏、伊藤氏、田所氏という並び。この3人は、上述のCD第1シリーズ第2弾(実質的にはアルバム1枚目とも言える)「LIVE THE@TER PERFORMANCE 02」にて、天海春香と共にデビューした3人でもある。そのアルバムでも、ソロ曲ラストは「Precious Grain」であった。(「鳥籠スクリプチュア」「空想文学少女」はCD第2シリーズの曲。)
○そして田所氏が「Precious Grain」を歌い終えると、「LIVE THE@TER PERFORMANCE 03」収録のソロ1曲目を歌った山崎氏が、春日未来として声をかけながら登場し、田所氏も最上静香として応える。「Legend Girls!!」と「Growing Storm!」という、それぞれに“始まり”を歌ったリーダーユニットの二人が、(挨拶と全員曲パート前の)最後に「合言葉はスタートアップ!」を歌い出すのだ。
●山崎氏と田所氏の歌う「合言葉はスタートアップ!」は、CD第2シリーズ第1弾「LIVE THE@TER HARMONY 01」収録曲。765プロメンバーのみのユニット“レジェンドデイズ”の持ち歌である。同時発売された「02」収録のミリオンスターズのみのユニット曲、「Growing Storm!」に対する存在とも言える。なにせ先達が歌う“伝説の日々”なのだから。そこで歌われる経験と矜持、それらを通しての絆のあたたかさをふり返る内容は、確かにミリオンスターズから見た先輩が歌うにふさわしいものだろう。しかしそれは、けして聖域めいたものではない。

We are LEGEND DAYS!
Looking for MILLIONSTARS!
Let’s sing together!
Let’s get going!
(「合言葉はスタートアップ!」歌詞より。コーラスパート。)

●冒頭からこのような歌詞である。この“We are LEGEND”で一旦伸ばすのがポイント、我々は伝説である。しかしすぐに続けて“DAYS Looking for MILLIONSTARS”と歌う。我々は(ミリオンライブのユニット)レジェンドデイズである、ミリオンスターズを待ち望んでいる。共に歌おう、進もう。これは天海春香と共にミリオンライブのスタートを切ったユニット曲、「Legend Girls!!」にも通じる。その歌詞では“ここからはじまる伝説へLet’s join”と歌われる。新しい伝説に加わろう。“伝説”、あえておはなしと目するならば神話的構造でありフォークロア、私なんぞはアニマスの話法を大河ドラマ新選組!』になぞらえたこともあるわけですけど。とまれ物語として共に歩んでゆく、その地平としてある、という宣言だ。「合言葉はスタートアップ!」もまた、別の角度から“始まり”が歌われた曲である。
●で、私はここに来て落涙したのだ。2ndライブで歌われた時もうれしかったのである、ちゃんと765プロメンバーも同士としてあるのだなあ、と思って。しかし、ライブツアー最後の地で、リーダーユニットによる結びとして「合言葉はスタートアップ!」が歌われる事。これは、少しだけだけれども、期待してはいたのだ、最終日に歌われることを(その点はズレた)。アニマスというおはなしから入って、前回のライブでも春香と千早のユニット曲に落涙して、そんな身だから、今回は最後に総決算として765のあれを継いだら感動的だよなあと。そしたら歌われるんですもの。
●アイドル・春日未来と最上静香としてのかけ合いから入った、「合言葉はスタートアップ!」。ああ、受け継がれていくんだ、という気分になる。765プロの魂、みたいな言い方では口幅った過ぎる、私がアニマスにおいてここまでのミリマスにおいてそのおはなしの中で“よきもの”として見たものがちゃんとある。それが今、彼女たちの歌として歌われる。これまでの3年間をかけて、経験も矜持もちゃんと彼女たちの物語としてある。ミリオンスターズ全員参加のライブツアーがかなったこの日に、その始まりに招かれた“伝説”へと、これからも共に歩んで行く。
●すごくよかったというか、うれしかったのが、ラストのコーラスも全力で歌っていた点で。定かではないが、歌詞とコーラスの重なり上、“(※溜め)スタートアーップーー、DAYS Looking for MILLIONSTARS”という形で、英文コーラスパートに突入したと記憶している。その奮闘が、歌う意志がうれしかったのだ。とりあえず“Let’s sing together!”以降の歌詞は俺も口パクでついてった、思わず。うれしかったんですよ、本当。





以上、長い!とても楽しかったです!来年の“全員武道館ライブ”も見れたら、ちゃんと追えてたらいいなあ・・・。頑張ろう、うん。