「プリパラ」43話雑感

  • 5月2日放送。

●脚本・中村能子、絵コンテ・森脇真琴
●2期5話目にあたる今回はソラミスマイル再結成回。結成に協力したら呪いを受けて毛が抜ける、と脅されてたマネージャーのクマが考えを改める回。サブタイトル「ドリームシアター一番乗り!クマ!」にも、それが眼目たる点はあらわれている。タイトルアナウンスもクマだし。(一部情報では当初「ドリームシアター初ライブにゃ」というタイトルだったらしい。)
●でまあ今回も、カオスに片足突っ込むくらいギャグやりつつ、子供向け作品の王道として寓話性こなしてみせる“おはなし”ぶりでした。冒頭から案内役のめが兄ぃがスカイダイビングするわ、「アイドルだらけの大うんどう会」がエピソードの中心となるわ、そんなノリの作品ですが、その楽しさメイン・馬鹿話の地平だからこそ、愚直さという感情の内圧も映えるわけでして。物語の力になるわけでして。よかったよ、いいね中村脚本!
●さて今回の話の立役者はそふぃです。オープニング、ライブのできない現状に「ぷしゅ〜」と脱力し、運動会中もその体力のなさで足を引っ張ってしまう彼女ですが、くじけない心を見せることで仲間の心を動かすという、ベタだ、だがそれがいい。この骨子がもうちょっとウェットな芸風になると、中村脚本回の中でも「レオナ、全力ダッシュなの!」や「ファルルのトモダチ」みたくなるんだろうな、という。
●冒頭でクマに「優勝したら(呪いを真に受けず)立会人になる」という賭けを申し入れる所から、去り際にそふぃは「クマさんもチームなんだよ」と言ってるわけです。仲間になろう、と言ってるわけです。対してクマは「大丈夫、なんてったってこっちにはそふぃがいるクマ。(だから優勝は無理)」とモノローグ浮かべる始末で、しかし間髪入れず罪悪感に苛まれ、それでもやっぱり毛が抜ける呪いが心配。この場面、チーム再結成の障害としてクマの弱気があるわけですが、いいバランスの見せ方だと思う。心変わり自体はちょくちょくしかけてますし。
●また運動会が始まり、最初の競技のメンバー選ぶ際そふぃの意見が流されてしまう、そこでそふぃが悲しそうな表情浮かべる、という場面があるのも、後の逆転展開にきいてます。しかもあっさり描くんですよね、ギャグにもとれそうなくらいに。
●運動会自体はギャグパートですな。なんで太鼓たたいてファイヤーダンスなんだよ!みかんは大食い&運動能力高く、あろまは運動音痴らしい。みかんとらぁらがちょっと打ち解ける場面も。
●最終競技の三人四脚で絆を再確認するという、うんベタだ、それでいいのだ。ルールの無茶苦茶さに対する「こんなのプリパラの常識ぷり」は自己言及感ある。
●このレースも、そふぃのアドバイスがきく→そふぃのかけ声が足引っ張る(優勝してしまわないか不安げに見つめるクマ)→そふぃの体力がつきる(アイドルの体調を心配するクマ)→再結成への意志を見せそふぃが復活する(見つめるクマ)、という展開がよくて。追い抜くチームを励ますみかんの天真爛漫さは謎だが、あろまと楽しめればいい、といった立ち位置だろうか。
●主人公の相手チームは、(呪いを気にする)マネージャーのウサギ振り切ろうとしてバランス崩す。一方、主人公達の頑張りを見たクマは「わかったクマ、結成式やろうクマ!ハゲがなんだオイ、ミーは男ぜよ!」と泣きながら(笑えるけど腹の中で泣ける)、脱毛の呪いを受ける覚悟を決め、主人公チームは歓喜のラストスパートで勝ったやったー!さっそくチーム再結成、呪いもデマで一安心。
●ライブ開催。ここでメイキングドラマのムービーにクマが入ってるんですよ。やっぱり仲間なんだよ、そこがいい。ライブ見て「ミーは目が覚めたクマ!」と泣くクマ、馬鹿だけどいいヤツなんです。なんだよコイツ…だったキャラが、話進むにつれて、いいヤツじゃん!になるのがプリパラというおはなしのすばらしい点でして。今回はその再生産でした。
●引きを見るに次回は、相手チーム・ドレッシングパフェの話。
●予告編、シリアス調のナレーションと涙目のメンバー達を見て「これは土屋理敬脚本では?」と思ったら、やっぱりそうでした。楽しみ。
(※根拠:土屋理敬脚本担当回の画像いろいろ。)