「アイドルマスターシンデレラガールズ」11話(後半)

●CM明け、鳴り出す目ざまし時計を止める手、カーテン開けて横を向き「朝ニャー、起きて起きて」とみく、寮食メニュー、とホームドラマな雰囲気。いつも朝は食べない、とだるそうな李衣菜の目玉焼きにソースかけるみく、醤油だろと怒る李衣菜、またもめる二人に引き気味輝子。
●ボイスレッスン後、寮食は8時まで、ということでスーパーに向かう二人。値引き惣菜買い込むみくに「そんなに食べるの?」と呆れ気味の李衣菜だが、体のことを考え夕食は30品目食べる、というみくの返事を聞き、感心した様子。
●そして入浴シーン。100まで数えて、と言うみくに、うるさいなあ、と返す李衣菜だが、続くシーン見るとちゃんとつき合った模様。湯上がり、廊下で紗枝と美穂に会う二人。緊張する李衣菜をからかうみく、言い返す李衣菜、とCM明け2分で好感度達成フラグ成立してませんかもう。
●オーディション会場にてアピール中の李衣菜。控え室、膝の上で両手を握りしめているみく、入室してくる李衣菜。「もう終わったニャ?どうだった?」「うーん…」といったん目をそらし、「まあまあかな」と苦笑して肩をすくめる李衣菜。きょとんと見つめていたみくは、笑顔作って立ち上がり、両手をグッとこぶしに。「大丈夫ニャ、きっと受かってるニャ。みくもネコ耳つけて、頑張ってアピールするニャ!」きょとんとする李衣菜だが、「…うん。みくちゃんも頑張って!」と彼女もまた笑顔に。いいなあ、この口には出さないけどわかってる、だからこそ励ましあえる関係。
●先に帰宅することになった李衣菜は、みくと行ったスーパーを見かけて足を止める。疲れて部屋に帰ってきたみく、「おかえりー」とドヤ顔で迎える李衣菜は料理中。個室に炊事場とコンロのある寮かぁ。「いい匂い〜」と嬉しそうなみくに「カレイの煮付け!」と鍋の落としぶたを取る李衣菜。カタカタ震えるみく。「みくはお魚が大の苦手なのニャ!」から「何それ、せっかく作ったのに!」へと会話は流れ、ああ好感度がフラグが!
●ちゃぶ台を間にはさんで背中向け合い食事する二人、ある意味律儀。「きっと好きだろうと思って魚にしたのに…」という李衣菜のつぶやきに、ハッと悲しい表情になるみく。前半でプロモーションしていたキャンディで、李衣菜のわき腹をツンツン。「さっきはちょっと言い過ぎたニャ。この大粒ミントキャンディで機嫌なおすニャ」「ああ、ごめんパス」実はミントが苦手だった李衣菜。またケンカ、と、ひどいよもう、おもしろいよ。
●346プロ内。廊下で言い合うみくと李衣菜、仲裁に入る未央と智絵里。卯月と凛のセリフにありますが、端から見ると同居前と何も変わらないわけですね。ああ、ギター弾けないのもバレてしまった、と思ったが、5話の時点でみくは「一人でエアギターでもやってニャ…」と言ってたか。それはつまり、勘づいてるけどその“キャラ”にことさらツッコミはしない、という同族意識から来る優しさ(容赦?)かもしれない。
●深夜、目覚めるみく。ガラス戸の向こうに見える、バスルームで電話中の李衣菜の影。声出しても部屋まで響かないんですよね、水曜どうでしょうで見た。寝ぼけまなこだったみくだが、李衣菜の「じゃあね、お母さん」の言葉にハッとする。ネコ耳つけた幼い自分と両親の写った、壁の写真に目をやる。みくも家を出てここにいるからには背負うものがあるわけで。やよい回、「約束」の土屋理敬脚本回です、はい。
●雨の中の346プロ社屋。商談中のプロデューサーの「歌える、アイドルですか?」という言葉に反応するみく。断る流れでプロデューサーがドアを開けた所へ、「あの、そのお話、みく達にやらせてもらえませんか?」と緊張ぎみに声をかけるみく、驚く李衣菜。ここからの事務所内の一連の場面には、みくと李衣菜以外のメンバーが登場しません。彼女たち二人が取り残されている現状です。
●プロデューサー部屋。「二人で歌ったことなんて一度もないのに!」と責める李衣菜に、みくは謝り「でも、チャンスを無駄にしたくなかったの。」まとまれてない自分達はユニットとしてフェスに出てはダメだ、と語るみく。「プロデューサーが組ませてくれた意味、今、納得しておきたい。もし、これでやっぱりダメだってわかったら…李衣菜ちゃんに先にデビューして欲しいの!」驚く李衣菜。みくカッコいいよみく。猫語尾が消えている、5話同様に心情の吐露なわけですが、今回は決意のそれです。ずっと夢見ていたデビューだからこそ、誇りと共にかなえたいわけです。
●ちなみに5話・6話でのみくの行動、立てこもりからデビュー組へのエールへ、という流れを私は、選ばれた(選ばれなかった)理由探しではなく、選ばれた事実に意味を生むのが大事、という物語に解釈した感想を書きました。そりゃ原作ゲームやコラボCD発売との兼ね合い、みたいな背景あるのはわかりきってますよ。その上でアニメはアニメとしてどう物語るか、と目するのが三次元にて夢見る生身、語り手&読み手の本分でして。だからここでみくが「意味」に「納得」したい、と発言し行動を始めるのが私にとっては嬉しいんです。キャラの成長、新たな可能性、それを見せ語る流れが“設定”に熱と内実を生むんです、物語にするのです。私がシンデレラガールズの「アニメ」に見たいのはそれなんです。
●みくの決意に、イベントは2日後なのに歌詞はついてない、と抑揚なく告げるプロデューサー。ここは重く冷静に言い渡さなくてはいけない。たじろぐみくだが、「2日で作ればいいんでしょ?」と李衣菜。「私も気持ちは同じだから」と、みくに向かって笑顔でうなずく。ベタだが好きだ、この王道。
●プロデューサーの「本気、なのですね」と言う問いかけに「はい!」とうなずく前川みく多田李衣菜。「わかりました」とうなずき返すプロデューサー。「衣装と曲の伴奏は、なんとかします。お二人は当日の朝までに、作詞の方をよろしくお願いします。」「はい!!」ああ、これが見たかったのよ。アイドルの若さが熱量が自由に多少の無茶しても、その価値を許容し認め、支える側の大人としてきっちりサポートし立たせてくれる“プロデューサー”の姿が。
●みくの部屋、ちゃぶ台はさんで向かい合いノートに歌詞を書き連ねる二人。いやあ、二人ともひどい、もめます。シリアス展開になるかと思わせて、ちゃんと笑わせにきてくれます。
●李衣菜の目玉焼きに醤油をかけるみく、お礼を言う李衣菜、というワンシーン。プロデューサー、みく、李衣菜、それぞれ奮闘しているカットが流れる。協力パートです。ここでちゃんとプロデューサーの様子も平等に出てくるのがよいのです。同じく土屋脚本の6話でも、プロデューサー仕事の描写に割と尺さかれてましたが。
●みくの部屋にたい焼き(なるほど)さし入れに来る、蘭子とアナスタシアの寮生組。今回はプロジェクトメンバー全員登場しますが、その出番とセリフの合わせ方がうまい。二人で眠りこけたり、怒鳴りあってそっぽ向き合うもすぐ協力して考え直したり、頑張るみくと李衣菜。
●イベント会場、観覧にきた卯月たち、たくさんの観客。控えテントのプロデューサー、みく、李衣菜。「リハーサルも不十分でしたが、大丈夫ですか?」「はい、大丈夫です!」「まかせといてニャ!」静かに「お二人を、信じていいのですね?」と問いかけるプロデューサー、「もちろん!」と二人。声に力をこめ「頑張ってください」とうなずくプロデューサー、「はい!」とみくと李衣菜。
●このやりとりに、私は前半感想でも触れた、アニマス6話中の春香の言葉を連想しました。失敗を犯して自戒し苦悩するアニマスPに、天海春香が「大丈夫です。私達を信用してください!」と告げる場面。6話自体は土屋理敬脚本ではないです。しかしこのセリフはのちの土屋脚本回で、プロデューサーの姿勢に大きな影響を与えたものとして扱われます。
●20話では、自身の態度に思い悩む春香にプロデューサーが「あの時のキャラメル、うれしかったよ。」「もう一度、みんなの仲間としてやり直そうって、素直に思えた。春香には感謝してるんだ」と告げる。24話では「正しいことなのか、自分にできることなのか、わからなくて…」と動けずにいる千早の背中を、プロデューサーの「大丈夫。みんなの事、信じてるんだろう?」という言葉が押す。どちらもシリーズ中の大きな山場です。そこでは“信じて大丈夫な仲間”という存在が力をくれることを、アニマス土屋脚本回は描いてきたわけです。
●それをふまえて同じく土屋脚本である、ここでのデレマスPとみく・李衣菜のやりとりを見ると、これはプロデューサーが二人を“信じる”瞬間であるわけです。“大丈夫”として託すことで生まれるかもしれない力を、二人に見ているわけです。だからプロデューサーは「頑張ってください」と信じ、二人のアイドルは「はい!」と応えます。
●並んで立つみくと李衣菜。「本当、気が合わないね」「そこがこのユニットの持ち味ニャ」苦笑しあう二人、そしてステージへ。このやりとりと、6話で初ステージ前に手を握りあうラブライカを、同じ人が脚本書いてるわけですからね。うまいもんですよ。
●「みくアーンド!」「李衣菜でーす!よろしく!」芳しくない反応の客席。デビューでいきなりイベントだもの。たじろぎつつも、必死でテンションを保ち言葉をつなぐ二人。「みんなで「ニャー!」って言ってね!」「せーの、ニャー!」客席はまばらな反応。ステージ脇に立つプロデューサーは客席の反応を見て、体ごと壇上の二人の方へと向ける。
●二人は言葉をはさみ(わりとウィットに富んでる)、もう一度「ニャー!」と呼び声。先ほどよりは盛り上がるも、まだ低い反応。弱り顔の二人は、そろってプロデューサーに目をやる。プロデューサーはいつも通りの無表情で、「うん」と続きをうながす首の動き。みくと李衣菜に笑顔が戻る。プロデューサーを見ながら、二人は大きくうなずいてみせる。ここのやりとりがすごく好き。プロデューサーがアイドルの姿勢と行動を認めてゴーサインを出し、そのことがアイドルにとって励ましとなり自信も与える。仲間として頼りあえる。本当、この関係が見たかったんですよ。
●思い切り息を吸い込み、「ニャーーー!!」と絶叫するみくと李衣菜。「もう一回いくニャン!」流れ出す曲、イントロはニャン!ニャン!連呼、ノリノリの二人、表情ゆるめるプロデューサー、大盛り上がりの客席!嬉しそうに曲タイトルを叫ぶみくと李衣菜。いい構成、この幸福な光景からエンディングへ。客席見つめ嬉しそうなプロデューサーのカットも。そういえば歌声と客席の変化が演出に関わる、アニマス律子回も土屋脚本でした。
●エンディング後、15時46分になる時計の文字盤。みくと李衣菜を取り上げた雑誌見開きに重なる、二人とプロデューサーの会話。このユニットでCDデビュー決定、「ネコ耳もロックも、どっちも大事にしていくニャ!」というわけで、ようやく全員デビューです。
●入室してくるちひろ、アイドルフェス企画書について質問。ユニット名はプロデューサーの仮入力してた「*(アスタリスク)」が通ることに。「ロックかも!」「かわいくていい感じニャ!」「え?」
●見せられる衣装案に、これはかわいいかロックか、でまたもめ出す二人。「二人とも、気に入ったようですね」と泰然自若のプロデューサー、おい。喧騒を聞きながら、またケンカしてる、と微妙な反応の一同だが、「んふふ、仲良しだにぃ〜」と笑顔になるきらりを見て、皆も笑顔に。あー、きらりはそこを察することが、喜びとして受け止めることができるんだな。アニマス春香さんポジションは彼女だよ、やっぱり。



※ところで、みくと李衣菜のカップリングが「みくだり」と呼ばれているのを見かけたのだが、それだと紗枝に呼ばれた場合「みくだりはん」になってしまい不吉ではないか。(呼ばない)