アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」5話(前半)

  • 第5話「I don't want to become a wallflower」

●ソファに座る、杏のうさぎぬいぐるみからの導入。お腹の袋は端がはがれかけ、横の方から綿がはみ出し、とあまりいい状態ではない。
●その絵に、やや間があり重なる「CDデビュー…?」という声。前回ラストからの続き。
シンデレラプロジェクト事務所に、メンバー全員とプロデューサー。あぜんとする卯月の顔。そこに笑顔で飛びつく未央、よろめいて座り込む卯月、巻き込まれ隣に座り込む凛。背後に見切れる、固まったままの他メンバー。
●あわてて話す未央の背後に映る、蘭子の両手開きかけで固まった手元が個人的に好き。また卯月は、ここまで毎回よろめいたり転んだりする動作が、各話に一度挿入されています。
●笑顔になり、歓喜の声をあげ、未央と凛の肩を抱き寄せる卯月。3話ライブ後の未央のごとく。未央はウィンク、凛はやや困惑顔。
●俯瞰の一同。かな子・みりあの祝福の言葉、李衣菜の感心の吐息。ざわめきの中、アップで美波・アナスタシアの戸惑い。
●「ずるい!私は!?私もCD出したい!」という莉嘉の叫びで、空気が一変。困惑の表情うかべる一同ですが、自然に祝福述べたみりあとかな子はぽかんとした顔。「そ、そうニャ!みく達はどうなるニャ!?」とあせった反応のみく。杏はずっと離れたソファで丸くなってる。
●プロデューサーは一同を見渡し、いつもの無表情で「企画検討中です」と告げる。いつもの伝達口調よりは意思がこもった声音、と結末を知った上でだと、ちゃんと聞こえるのだ。オープニングへ。
●卯月家、朝の食卓。母登場。「昨日のケーキ」の苺を笑顔で頬ばる卯月だが、あらためてケーキに目をやり神妙な面持ち。ケーキのプレートに「CDデビューおめでとう」の文字。
●店の軒先で飼い犬の頭をなで、「行って来るね」と凛。父の背中に告げる。「あのさ。もしかしたら、店あまり手伝えなくなるかも。CDデビュー、決まった。」
●教室、クラスメイトの男女に囲まれた未央。CDデビューの報に喜ぶ友人達、本人も嬉しそう。
●三者三様の描写であり、1話の凛もそうですが、学生生活がきっちり日常の中に存在しています。そも制服姿だし、アイドル活動も夕方からだし。
●その未央の談笑する姿に、ちひろの声が重なる。「新田さん、アナスタシアさんはともかく――」事務所内、座卓のプロデューサーと、向かい合うちひろの背中。「――ずいぶん思い切りましたね」。描写された三人への疑義を口にするちひろ、その表情は見えないが声は冷静。
●プロデューサーは表情くもらせ目をそらす、が、すぐにいつもの無表情でちひろを見つめる。「少し早い気はしますが、本田さん達をイメージした曲を書いていただけるのは、チャンスですし」。いつもの平板な声で、言い聞かせるように。
●ラッキーだよ、と部長。「確かにあの三人はよかった。」「はい。ライブに出演したことで、多少知られましたし。タイミング的には今かと。」室内の三人が描かれるアングルでも、体の向きが変わっていてちひろの表情は映らない。忙しくなるね、と部長。「会社も期待してるよ」という言葉がプロデューサーのアップに重なる。「はい」とうなずくプロデューサー。
●この場面で描かれているのは、部長・プロデューサー・ちひろの立場の違いではないかと。いわゆるアニマス765プロ的な、アットホームな形での“絆”はそこにはない(まだ見えない)。彼らは「会社」の一員であり、プロジェクトとして動いている。その“夢”への途上でアイドルという少女に向かい合う際、部長は正しく会社人で計画的に指示を行う。ちひろは画面に映らない表情、公には出さない感情も持ち合わせている。
●で、プロデューサーはその間にいる存在なんじゃないかと。ちひろへの弁明は、一瞬だけのぞかせた俊巡もあわせて、自らに言い聞かせてるようにも見えるのだ。2話のラストで折れたように、個人的な気持ちを抱えつつも「上」や“流れ”に従い、アイドルを進ませなくてはいけない。それが本作品におけるプロデューサー。
●エレベーター内、レッスン用ジャージ姿の卯月・凛・未央。「ライブ!?」「できるんですか!?」という未央と卯月に「はい、CD発売イベントのミニライブですが」と首だけ向ける、階数ボタン前のプロデューサー。色めき立つ三人、凛も、おお…という表情から声かけられ笑顔。
●ここで四人の背中側からのアングルになり、三人の喧騒を見つめたプロデューサーはゆっくり首を戻し、前方を向く。続けての場面はエレベーター扉前。4階に着き扉が開き、卯月・凛・未央の姿が現れるが、階数ボタン前のプロデューサーの顔は隠れている。前段のちひろや2話同様、プロデューサーの表情を見せない、ということを描く場面です。
●きょとんと周りを見ながらエレベーターを下りる三人、「曲って、もうできてるんですか?」という未央の問い。初めて来た階、新たなる一歩、歌のレッスンターンです。そこへ「ちょっと待つニャ!」の声。
●腕組みして立ちはだかるみく・莉嘉・みりあ(ネコ耳装着)。「新入りが(略)勝負ニャ!」「ニャー!」いつもの顔のプロデューサーも脂汗。黒ひげ危機一発的なもので勝利するみく組、敗北する未央組、あきれ気味な顔で首元に手をやるプロデューサー。
●「プロデューサー!勝負に勝ったから、みくをCDデビューさせてほしいニャ!」盛り上がるみく組。「え〜と…」と困り顔で言葉をにごらせるプロデューサー。みく達の背後のドアが開き、トレーナー登場。「いーた。休憩終わったぞ」。叫び、捨て台詞(?)を残して去るみく組。脂汗はりつけたまま見つめるプロデューサー、手は首元から離れてる。座り込んだままの未央組。
●で、この場面。「えーと…」と、らしくない言葉もらしたプロデューサーは、もう少し間があったら告げてたと思うのです、ラストのあれを。1話で卯月に「レッスンを〜」と言い続けていたのが、首元にやろうとした手を止めて「すいません」と告げた時のように、ここでも手を離して。でも“タイミング”が悪かった。あとみく組のテンションがきつかった、脂汗出させるレベルで、そこは仕方ない。
●ベテラントレーナーの前でレッスン中の美波とアナスタシア、「失礼します」と入室してくるプロデューサーと三人。トレーナーへの反応の背後で、むっつり無表情のプロデューサーがちょっとおもしろい。「よろしくお願いします」と頭下げる三人、背後で会釈して退室するプロデューサー。
●廊下のベンチでお疲れのみく組。次はトランプしよう、と騒ぐみりあに「これは遊びじゃないニャ!アイドル生命をかけた真剣勝負なの!」とみくはデコピン。通りがかり、あきれ気味の反応示す李衣菜・かな子・智絵里だが、「みんなはCD出したくないの!?」という莉嘉の言葉にはたじろぐ。ふくれてプルプルみくにゃんかわいい。
●イヤホンつけて曲を試聴するデビュー組5人。カッコいい、と喜ぶ一同。凛も耳につけてハッとしてニコッ。そこへ乗り込んでくる、先ほどの廊下の6人。
●ドアの前で立ち止まる足。目を閉じ、大きく息をつき、ドアノブを握るプロデューサー。こうして外面を保っていたのです。ドアを開け、目をぱちくりさせ、「あ…」と脂汗のプロデューサー。
●現れるネコ耳装着のみく、美波、アナスタシア。また首元に手をやるプロデューサー。あざと過ぎ、とツッコむ李衣菜の美波アーニャ自分ユニット妄想はロック風、ギャーン。ギターの自分は中心で後方、て図がおもしろい。莉嘉のみなアニャ自分妄想はへそ出しセーラー、エロじゃん、ナンチャラナンチャラ。ここでみくが李衣菜に「一人でエアギターでもやってニャ…」とニヤついてみせるのは、ネコ耳実践者から虚勢ロックへの言い渡しぽくもあり。
●脂汗はりつけたまま、状況をたずねるプロデューサー。美波・アナスタシアのユニットは二人だから、もう一人加わってもOKでは、というみくの発想。無邪気にアナスタシアに飛びつき「ねぇねぇ、私楽しいユニットがいいな〜」と笑顔のみりあ。こわばった顔で「うん…いい、と…思います、が…」とたどたどしく告げるアナスタシアは、みりあと共にプロデューサーの方を向く。一同、プロデューサーを見つめる。みりあの挙動の場面から、周りの喧騒消えての転調がいい。
●軽いため息をつくプロデューサー。「新田さん、アナスタシアさんは、このまま二人ユニットで行きます」。えーっ、という叫び声で体動かすのは、みく・莉嘉・みりあ・李衣菜。「申し訳ありませんが、すでに準備を始めているので。」と、このプロデューサーの言い分は正論だけどよくない、というのが今回の話の内容です。
●「そんニャあ…」とうなだれるみく。謝るアナスタシアに「ううん」と首振って悲しげな笑顔見せるみりあ、それを見るアナスタシアと美波。一同それぞれに悲しげな表情の中、凛はプロデューサーを見る。彼はいつも通り無表情。
●場面は事務所内へ。スケジュールを読み上げ終えたプロデューサー、メモをとる卯月・凛・未央。「最後に宿題を」と、ユニット名を考えるよう言い渡すプロデューサー。
●「あのさ。どうして私達なの?」とプロデューサーに尋ねる凛、真剣な表情。ここで卯月が悲しげにうなだれる。意外な反応に思えるんだが、選ばれなかったメンバーの気持ちを考えて?
●プロデューサーは、こわばったような顔。「みく達じゃなくて、私達を選んだのは何で?」と重ねて聞く凛に、プロデューサーは無表情に「総合的に判断して、です」。「よくわからないんだけど」と首をかしげる凛、「歌とかダンスとか度胸とか?」と未央。うなずいたプロデューサーは「タイミングやバランスも」。話し出す卯月と未央、うつむいて「ふーん」とつぶやく凛。凛を見て、また大きく息をついたプロデューサーは、伏し目がちに曇った表情。
●実はまだ「選んだ」ことの理由は「タイミング」だけなのでは、と私は思っている。能力的には、メンバー一同そう変わらない。だからあの結末になるし、そういう問い方の答えとしてはプロデューサーは口にできないのだろうと。



※続く。