中村哲也『坂がちガールズ』

  • ハルタ 2014-NOVEMBER volume 19」より。


●右ページ下段の絵になります。
●自転車で坂を下る二人の少女の図です。曲がりくねった道という一枚絵を、コマの枠線で三つに分節して、その中をコマ移動という時間経過と共に進んでいく、進んだ地点の絵がコマの中にあると。
●この三コマは下段にあたるので、まず「ぐおんっ」というオノマトペと描線が視界に入ります。ちょうど上段が、さあスピードアップ、と走り出す展開なんですね。そこからここで「ぐおんっ」と走ってって、どんどん遠くに向かっていく、そういう場面なわけです。いいですね。

●これは少し先の場面。左ページ下二段になります。
●まあメインはページ最後にあたる、女の子のアップのコマです。「はっはっはっはっ」と笑ってセリフ言いつつ、表情もその言葉に合わせつつ、胸元から「ドキドキドキ」と吹き出しが出てます。かわいい。
●で、ここに至るまでの三コマ。いずれもロングショットの絵で、左に左に視線が進んでいきます、スムーズに。で最後に、それまでとは逆に右向きの顔のアップが、しかも左側にも下側にも断ち切りのコマで出てくるんですね。大きな絵、になります。これは目が止まります。で「はっはっはっはっ」とはじけた吹き出しと「ドキドキドキドキドキドキ」ですから。強調されるんですよ、感情出た女の子のかわいさが。
●あとこのオノマトペ、これはデジタル作画ならではの絵への重ね方です。なんか独特な浮遊感あって、いい効果です。以上。